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【とらドラ!】大河×竜児【クスクス妄想】 Vol26

1 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/12(水) 19:19:46.18 ID:lFp43yJx0
ここは とらドラ! の主人公、逢坂大河と高須竜児のカップリングについて様々な妄想をするスレです。
どんなネタでも構いません。大河と竜児の二人のラブラブっぷりを勝手に想像して勝手に語って下さい。
自作のオリジナルストーリーを語るもよし、妄想シチュエーションで悶えるもよし、何でもOKです。
次スレは>>970が立ててください。 もしくは容量が480KBに近づいたら。
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           Vトハ{ `ー‐'  ` ー ' .|リ
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               N个 、  ̄   イl
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       |       ∧: :\「: :|  | /   / |   ', |\   〉: : : : :/

まとめサイト
ttp://tigerxdragon.web.fc2.com/

前スレ
【とらドラ!】大河×竜児【ナデナデ妄想】Vol25
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1308756083/

2 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/12(水) 19:20:55.55 ID:lFp43yJx0
過去スレ
【とらドラ!】大河×竜児【ラブラブ妄想】(1スレ目)
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1231122796/
【とらドラ!】大河×竜児【ニヤニヤ妄想】(2スレ目)
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1234443246/
【とらドラ!】大河×竜児【デレデレ妄想】(3スレ目)
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1236695653/
【とらドラ!】大河×竜児【イチャイチャ妄想】Vol4
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1237819701/
【とらドラ!】大河×竜児【ベタベタ妄想】Vol5
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1238865504/
【とらドラ!】大河×竜児【スキスキ妄想】Vol6
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1240317270/
【とらドラ!】大河×竜児【ドキドキ妄想】Vol7
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1241386432/
【とらドラ!】大河×竜児【アツアツ妄想】Vol8
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1242374673/
【とらドラ!】大河×竜児【フワフワ妄想】Vol9
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1243354181/
【とらドラ!】大河×竜児【クネクネ妄想】Vol10
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1244280781/
【とらドラ!】大河×竜児【ワクワク妄想】Vol11
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1245146459/
【とらドラ!】大河×竜児【モフモフ妄想】Vol12
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1246704738/
【とらドラ!】大河×竜児【ナツナツ妄想】Vol13
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1248388647/
【とらドラ!】大河×竜児【ユラユラ妄想】Vol14
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1249487623/
【とらドラ!】大河×竜児【モグモグ妄想】Vol15
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1251296860/
【とらドラ!】大河×竜児【ハフハフ妄想】Vol16
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1253001418/
【とらドラ!】大河×竜児【アマアマ妄想】Vol17
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1255435399/
【とらドラ!】大河×竜児【モジモジ妄想】Vol18
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1258620217/
【とらドラ!】大河×竜児【ニコニコ妄想】Vol19
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1262338222/
【とらドラ!】大河×竜児【ハラハラ妄想】Vol20
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1268576015/
【とらドラ!】大河×竜児【キラキラ妄想】Vol21
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1278256303/
【とらドラ!】大河×竜児【ウトウト妄想】vol.22
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1283692777/
【とらドラ!】大河×竜児【フニャフニャ妄想】Vol23
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1292507029/
【とらドラ!】大河×竜児【ゴロゴロ妄想】Vol24
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1302817738/
【とらドラ!】大河×竜児【ナデナデ妄想】Vol25
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1308756083/

3 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/12(水) 19:22:15.82 ID:lFp43yJx0
【※CAUTION※超重要事項!※CAUTION※】

非エロ(ギシアンレベルまで)はここに投下

ガチエロは新避難所に投稿、ここへは告知誘導のみ

アク禁に巻き込まれたなど直接投下できなかった非エロ作品の代理投稿は作者が望んだ場合に可

大河×竜児ラブラブ妄想スレ 新避難所
ttp://jbbs.livedoor.jp/anime/7850/

★関連スレ
竹宮ゆゆこ113
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1313031034/
【竹宮ゆゆこ】とらドラ4!【絶叫】
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/comic/1277527895/
とらドラ!手乗りタイガー266匹目
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anime2/1317810945/
【間島淳司】とらドラジオ!【喜多村英梨】
http://atlanta.2ch.net/test/read.cgi/netradio/1229772543/
【PSP】とらドラP!part12【ポータブル】
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/handygame/1306069057/

★キャラスレ
【とらドラ!】キャラ総合スレ
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1222905488/
【とらドラ】逢坂大河は手乗りタイガー可愛い 8匹目
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1280756770/
【とらドラ!】櫛枝実乃梨はフルスイングかわいい14
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1299637373/
【とらドラ!】竜児×亜美【私もいれてよ】
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1273070058/
■とらドラ! 総合スレッド Part.1■
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1215959570/
とらドラ総合スレッド
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1300019672/
【田村くん】竹宮ゆゆこ 35皿目【とらドラ!】(エロパロ板)
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1313928691/

4 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/12(水) 19:22:58.07 ID:lFp43yJx0
まとめサイトより

Q、1話の机が吹っ飛ぶシーンどういうこと?超能力?
A、ちがいます。ラブレターを鞄に入れてたら人が来たので、ロッカー隠れようとして凄い勢いで移動したんです。

Q、とらドラ!ってどんな作品なの?
A、とらドラ!は高校生特有の『思春期』という限られたひとときの中、
 友達と過ごしながら楽しいと感じたり、ある時は落ち込んだり、
 またある時は恋に悩んだりしながら、毎日を過ごしていくという作品です。
 (雑誌インタビューより)

Q、何クールですか?
A、2クール25話(DVD8巻構成)です。

Q、会長とあーみんの区別がつきません。
A、川嶋亜美(あーみん・ばかちー):前髪が朝倉風、ややたれ目、胸がおおきい、モデル
  http://www.tv-tokyo.co.jp/contents/toradora/images/chara/ami.gif
  狩野すみれ(会長・兄貴):前髪ストレート、ややつり目
  http://www1.atwiki.jp/toradora?cmd=upload&act=open&pageid=19&file=up49532.jpg

【一目でわかるとらドラ!一話】
@猛獣が襲い掛かってきた
Aお腹がすいていたのでご飯をあげた
B「気に入った。これからも飯つくってくれ、毛づくろいとかも頼むわ」
C襲われそうだし、ほっといたら死にそうなので、しぶしぶ飼うことに
Dご飯あげたら、ちょっと尻尾ふった
Eいろいろあって付き合うことになっておしまい ←今ここ

実際は竜児を犬扱いしている大河こそが飼われている側っていうのが面白い

とらドラ! まとめwiki
http://www1.atwiki.jp/toradora/
とらドラ! AA保管庫(仮)
http://monabase.net/toradora

5 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/12(水) 19:23:43.17 ID:lFp43yJx0
この板の設定

1レスあたり最大4096バイトで改行は60行まで可能
半角で4096文字・全角で2048文字です

Samba24規制は40秒です
一度書き込んだら40秒は書き込めません

バイバイさるさん規制は40秒以上開けて投稿しても
スレッドに同時に書き込む人数が少ないと発動します
ROMってる人は割り込みを遠慮せずむしろ支援する方向で応援よろしくお願いします

●を持っていると上記の規制は無効化されます
ただし調子に乗ってSamba24規制無視して連投しているとバーボンハウスに飛ばされます
たっぷり二時間は2ちゃんねる自体にアクセス出来なくなるので注意

●売り場
http://2ch.tora3.net/

年間33$(だいたい3500円〜4200円前後 円高だと安く買えます)
登録メルアドはプロバイダのメールアカウントのみ フリーメールや携帯メールは使用不可

携帯もってんならこの方法で簡単なんじゃないか?

1:http://get.ula.cc/pc/ こっから携帯で新規口座作って12000狐PをGET
2:http://bainin.ula.cc/sale/maru/ ここから●二週間お試し券を買う
3:http://maru14.ula.cc/ ここでお試し券を交換
4:完了メールきたら専ブラのログイン設定にIDとパスいれる
5:今までと同じように書き込める

2週間過ぎたらまた同じ手順やればいいだけ。数回分あるし一月半規制続いても安心
iPhoneだったりしたらクレクレするしかないんだろうけどさ

お試し●の交換・利用について
1つの●をPC+携帯で共有可
同じメアドで試用期間内に重複登録はできない。14日経過後、期限切れメールが届いてからであれば、同じメアドで交

換可
同一アカウントから期間が重複した交換をするには、メアドを複数用意すれば可能
ちょっと間使えなくてもいいという人は期限切れのメールがきてから再申請してください

栄光のニダーラン @ wiki
http://www36.atwiki.jp/nida-run/pages/1.html

6 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/12(水) 19:55:20.01 ID:uWMXm5g90
書き込みあったのになんで落ちたんだろう…容量500KBに近づいてたからか?
ともかく>>1乙!
しもやまだっしゅの方も乙!
温泉行きたい

7 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/12(水) 20:29:50.72 ID:5jZx7sFr0
>>1乙です
460KB台だったが、他スレとのバランスで落ちたのかな。
しもやまだっしゅのつづきどうしよう……前スレで8貼ったのが落ち原因だったらすまん。
7までまとめて頂いてるし、4レスくらいだったから8から再投稿しようかと思っていますが、いかがでしょう。
もし不要のようでしたら明日辺り9から続けます。

8 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/12(水) 21:21:56.70 ID:Gy50rOXL0
>>1乙乙

ところでなんで大河×竜児?
いや、26も進んで今更なんだけどw
竜児×大河のほうがしっくりくる

>>7
楽しく読んでます
読む分には余所でも保管できるけど、まとめ人さん的にはどうなんだろう…

9 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/12(水) 21:45:02.23 ID:d3+0EXIlO
>>1

>ところでなんで大河×竜児?
色々な意味で大河が“攻め”だからだろう

10 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/12(水) 22:20:25.98 ID:AFzOVFOz0
>>1乙!
落ちててびっくりしたw

>>7
個人的には8からやって頂けるとありがたいです

>>8
>>9の意見に同意。
的確すぎるw

11 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/12(水) 22:26:08.63 ID:uWMXm5g90
原作は竜児×大河
漫画も竜児×大河
アニメは大河×竜児

なんとなくこんな印象
原作好きだから竜児×大河だな、自分は

12 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/12(水) 22:37:28.29 ID:ADaUqSPr0
竜児×大河
「おい、道草くってんなよ。早くいかねえとタイムセール始まっちまう」
「角煮…カレー…とんかつ…うるさいわね駄犬!まだ決まってないんだから!」

大河×竜児
「とんかつ!角煮!カレー!閃いた!かつカレー!ほらとっとと歩けエロ犬!」
「おう」

あんまり変わらん気がする

13 :まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY :2011/10/12(水) 23:37:06.45 ID:sKhfSo380
>>1乙

DAT落ちしてしまったようなので、とりあえず前スレまでまとめました。
自分の持っているログが25スレの552までなのですが、もしそれ以降のログがあればどなたか提供していただきたく…

>>7
とりあえずしもやまだっしゅ!の8までまとめました。
こちらで勝手にまとめますので、お気になさらずに投稿してくださいー

どうでもいいけど鍋(゚д゚)ウマー

14 :しもやまだっしゅ! ◆0/FKyHtS2M :2011/10/13(木) 12:02:28.71 ID:O+VxF2Tw0
>>13
まとめ人様ありがとうございます。ではお言葉に甘えて続きから投稿させていただきます。
ですので>>10さん御面倒でもまとめサイトの方で読んでいただけたらと。

とらドラ!メイツの温泉旅行も後半、しもやまだっしゅ!の9を投稿します。
↓7レスほど

15 :しもやまだっしゅ! ◆0/FKyHtS2M :2011/10/13(木) 12:03:35.77 ID:O+VxF2Tw0

 9

 1階の大浴場は高原リゾートなロビーとは別棟のようで、男子組が風呂から出てくると入れ
替わりにぞろぞろと日帰り入浴客がやってきた。夕方からはおそらく地元の客で賑わうのだろ
うと二人で話した。混み合う隙間に入れたのは運が良かったな、高須。……おう、ほんとだな。

 浴場を出たはす向かいに小上がりの広間が休憩所となっていて、その隣にはお土産などの売
店や飲み物の自販機も。マッサージチェアや卓球台もこの一角に置かれていた。

「夕食までまだ間がある。ひと勝負いかんか?」
「おういいな。道具は……売店で借りられるみたいだ」

 カッ、コッ、カッ、コッ、カコッ、すかっ!

「いかんいかん。油断した」
「その大胸筋が腕の可動域を狭めてるな北村。バック側に隙ありありだ」
「おおそうかもしれん。じゃああまり開かずに……と」

 カッ、コッ、カッ、コッ、カコッ、カコッ、カコッ、すかっ!

「うん。だいぶいい。ただやっぱり重そうだな?お前はもっと俊敏に動けたはずだが」
「ちょっと慣れればなんとかなるさ。少しラリーさせてもらえるか?」
「おう」

 カコカコ練習をしているうちに、浴衣丹前に身を包んだ女子三人も浴場から出てきた。

「あ。ずるぅい。先に卓球してる!」

 女湯にも地元客が増えて鏡の前を長々占拠しづらくなったのだろう。長い髪を半乾きにした
ままの亜美と大河を見て、竜児は「俺のバッグの中に大河のドライヤーあるぞ」と言い、北村
が懐をまさぐって男子部屋のカードキーを大河に渡した。

「いいよ祐作あとで。せっかくだから卓球勝負に参加しないとね〜♪」
「また勝負かよ……ま、ノリだな」
「そうそう、ノリだぜ?」

 スリッパの片方を脱いで持ち、ぶんぶん素振りをする実乃梨も加わる。……温泉卓球公式ル
ールってーのはな?ラケットなんて軟弱なもん使っちゃだめだろー?……公式なんてあったの
か。……ま、ヘタな方が使ってよしとするかね?

「じゃー勝ち抜き5ポイントマッチで。ほら祐作どいてどいて!」
「おお、一巡して立っていた者がウイナーだな。じゃ俺は後からゆっくりと」
「俺がいちばん不利じゃないかよ」
「だって高須くん巧そうだし、ちょうどいいんじゃないの?」
「竜児はこういうチマチマしたのが得意だもんねー。ま、見ててあげる」

 参加する気はないのか、大河はマッサージチェアにすぽんと埋まると無造作にスイッチを入
れた。ごうんごうんごうんごうん、おうおわわわわ。……大河、まず肩の位置にモミモミロー
ラーを調整してからだよ、頭もんでどうすんのさ。……そうだったそうだった。

「だらけたちっちゃいのはほっといて……さ、いくよ!高須くん」
「川嶋はラケットなのか……そんじゃ」

16 :しもやまだっしゅ! ◆0/FKyHtS2M :2011/10/13(木) 12:04:38.41 ID:O+VxF2Tw0

 パシッ、カッ、パシッ、コッ、スリッパ対ラケットのハンデキャップマッチ。実乃梨と北村
はスタンバって勝負の行方を見守る。大河はローラーに背筋を伸ばされながら体重が軽いので
揉まれるというより上体ごとぶるぶる震わされているが、これはこれで心地よいのか。

「あわわわわわわわわわわわわ」

 よいらしい。

(ほんとうに揺れないなあ……)
(揺れないねえ……)

 横目で気が散る元部長ふたりの耳にも卓上の凄惨な闘いが実況され続けている。

「スマッシュ打てねえ〜〜!」
「ひきょーに打ち分けておいてっ!言えるっ!せりふ〜〜っ?ああっ!?」

 泣きコメントとはうらはら、VS亜美戦はストレートで竜児の勝ち。

「ああいうヤツっているよね〜、弱気なこと言っといてすっごくウマいの!」
「うん、うん、これは燃えてきたよーっ。はぁい、櫛枝!スリッパ申告しますっ!」
「ようし、次!高須竜児VS櫛枝実乃梨、レェディ?……お、逢坂もういいのか?」
「うん。ぐりぐり痛いし」
「切り替えスイッチが『強』のまんまだな」

 あらほんとだ……でももういいや、よく考えたらどっこも凝ってなかったし。大河は浴衣の
袖にふところ手をして腕組み、ふんっと背筋を反らせて偉そうに立つ。じゃ、こんどあたし〜
と亜美が代ってマッサージチェアに腰を下ろした。

「それじゃ仕切り直してサーブ権挑戦者側。レディ、ゴーッ!」

 パシュッ、パシュッ。今度はなかなかにいい勝負だが、やはり竜児の打ち分けに対応するの
は難しいようで、体さばきで食らいつきながらもイージーに返してしまう実乃梨の旗色が悪い。

「ふっ、みのりんと言えどやはり竜児の敵ではないようね」
「なんかコーチっぽいコメントだねタイガー。あは〜ん、きもちいい〜ん……肩こるのよねー」

 ぷるぷるぷるぷる。ちらっと見ただけで迫りくる微妙な敗北感に大河が負けそうになってい
るうちに卓上では勝敗が決していた。

「しくじったー!見栄はらずにラケット申告しとけばなんとかなったー!!」
「いや櫛枝うめえよ。スリッパ慣れさえすりゃいいとこいく」
「はっはは高須、いいとこってどこだよ。……よし次は俺!無理せずラケットで挑もう」
「おう北村、胸貸してやるからかかってこい」

 ふっ。いい気になってるようね?竜児。眉を吊り上げたまま目を伏せて微笑むコーチ然とし
た大河の様子に実乃梨は突っ込まざるを得ない。これは、いわゆる『待ち』だから。

「あー、高須くんが卓球うまいのは大河の薫陶の賜物かい?」
「まあそうよ。『おれのこえ』の上のビリヤード場でときどき稽古つけてやってる」
「ほおお?煩悩をスポーツで発散か、うん、健全だ」
「そんなんじゃないよ……」
「あらタイガー、ビリヤードやるの?今度勝負しよ。あたしうまいよ?」
「うんそうね♪……そう、ね……?」

17 :しもやまだっしゅ! ◆0/FKyHtS2M :2011/10/13(木) 12:05:41.58 ID:O+VxF2Tw0

 盛大に胸を揺らしながら誘う亜美にうっかり目をやってしまい、大河の強気がしゅーんと引
っ込んだ。いまは、なんだろう?勝てる気が少しもしなかった。

 それでも和装が似合い過ぎな若衆頭と筋肉ダルマの決着があっという間につくと、気を取り
直した大河はスリッパ片手に、どぉーれ?用心棒よろしく、ゆらぁっと乗り出した。みんなが
かかされた恥はわたしが雪いであげよう、などと恩着せがましく。

「そんなに態度デカくしてていいのかー?星は五分じゃねえか」
「スリッパと袖では条件違うの……根拠はないけど」
「ないのかよ」

 睨みあう竜虎対決。

 この休憩所で寛いで帰るのだろう。三々五々、日帰り入浴の客も上がってきて、碁を打ち始
めたり、湯上がりビールを楽しんだりし始めていた。卓球台の周りにもギャラリーが集まって
きて眺めている。いつまでも独占してはいられないだろうし、これでちょうど最後の対戦か。

「いくわよ竜児……」
「来いっ」

 大河はスリッパの幅が狭くなった土ふまず部分を持ちピンポン玉の感触をコンコン確かめて、
うん、と頷く。サマになってはいるが……そんな短く持って当てられるかな?竜児も口元に不
敵な笑みを浮かべて。

 スパッッ!!コッッ!!!

 袖の抵抗もなんのその。コンパクトに振ったサーブが竜児の背後へ抜けると同時に二の腕を
突き出して勝利の気合い。

「サァッッ!」


 日が沈みかけてそろそろ夕食どきとなった。
 一行は3階の女子部屋、2階の男子部屋に分かれて荷物の整理をしたり、身じたくを整えた
りしてから、今度はロビーの方に降りて待ち合わせた。

「あ〜〜。すっぴんで頭メチャメチャなのにいろんな人に見られたあ〜。ゆだーん」
「けっこう顔バレしてたよね、あーみん。……しかし決勝戦はありゃなかったよな」
「おう、サービス5本で終わりだもんな」
「仕方ないじゃん。ドライブかかんないスリッパじゃ苦手コース突くしか」
「ギャラリー増えたから早々に終わらしてくれたんだ。逢坂は」
「あんたが要らん気ー使わなくてもよかったのに」
「だーから。なんで私がばかちーに気ぃ使うっていうのよ。考え過ぎ」
「えーー?」

 キャッキャウフフラリーしたかったんじゃないのお?たーいがぁー?……そ、そんなの、い
つだってできるもの……わざわざ旅先でって?意ー地っぱりぃ〜♪

「じゃあさじゃあさじゃあさ!ほらあーみん、送迎の車から見えたじゃん?テニスコート!」
「あ!そうだね。明日なにするか決めてないし」

 亜美はスマホでちゃっちゃと調べた。

18 :しもやまだっしゅ! ◆0/FKyHtS2M :2011/10/13(木) 12:06:55.71 ID:O+VxF2Tw0

「町営のコートだね。道具もウェアも借りられる。このまんま予約もできる。どうする?」

 漠然と川下りかなんかすればいいと考えていたけどな、それは飯田線をかなり戻らなくちゃ
ならないし、来た道をたどって帰るのは少しつまらんなあ?

「予定どおりこの辺で遊べるならそれがいいんじゃないか、高須?」
「おう、俺も構わんが」

 竜児は大河をちらっと見やる。テニス経験者なのは知っているが、なにしろ中学時代のこと
だから、自分が知らないトラウマでも持っていたら……と思ったのだが、ふん!と微かに鼻を
鳴らして(ないない、そんなの)。

「いーよ、私も。っていうか、胸を貸してやろうじゃないの」
「あーなんかほんとにぜーんぶ体力勝負な旅ね〜?何の合宿これ?はい予約完了っと」
「そんじゃあ、いよいよ豪華なお夕食に行くとしますか……あっ!ちょっとまって、あれっ?あれっ」

 吹き抜けロビーの、柱と横木で大きな格子に組まれた背の高いガラスの遠く向こう。中央ア
ルプスに沈みゆく夕陽が雲を紅く染めていく景色を実乃梨が指差した。

「きれい。ね?竜児」
「ああ……すげえ」

 すでに影となった山の端から燃え立つようで、刻一刻と色合いを変えていくさまを数分間。
立ったまま声も無く、山影がくすんだ青紫に移るまで皆で眺めた。


 夕食の席は、畳敷きの宴会場でなく洋間のコンベンションホールをちょうど良い広さに区切
って設けてあった。
 ひと品ずつ出来たてを供してくれる会席料理がここのセールスポイントというだけあって給
仕の仲居さんがテーブルごとに控えてくれているが、たすき掛けの和服なのが少々の違和感を
誘っている。普段は宴会場に設ける席を、若者と年配の2グループしか泊まり客がいないとい
うことでこうしたのだろう。

 川嶋様御一行様と札が立ち、めいめいに本日の品書が置かれていたテーブルに着くと、仲居
さんがまずお飲み物はいかがなされますかと訊ねてくる。

 と、とりあえずビールって言っていいの?……和食はちょっと経験が……あ、実はあたしも、
レストランはそこそこ分かるけど……俺は外食そのものがほとんど経験ねえ。

「飲み物のメニューをください」

 にこっとお愛想たっぷりに大河が言うと、はいどうぞと前掛けの裏からやはり和紙のドリン
クメニューを出す仲居さん。なるほどそういう仕掛けかーと一同得心していると、

「コース料理だけど気張った作法は要らないはず。飲んで美味しいもの食べればいいんだよ」

 お嬢様の本領、ここにようやく発揮。

「そっかタイガー。お品書みると……やっぱり地酒かな?」
「そうかも。みんないい?……じゃ、くせの強くないすきっとしたあとくちの……」

 大河は仲居さんと、料理と合いそうな地酒はどれか相談してチョイス。あとほうじ茶を頼ん
だ。お待ちくださいと引っ込んだタイミングでほーーーっとため息がもれる。

「基本、おつまみっぽい料理が出ると思うよ。酢の物か和え物になったらご飯ね」

19 :しもやまだっしゅ! ◆0/FKyHtS2M :2011/10/13(木) 12:08:10.29 ID:O+VxF2Tw0

 すぐに、陶器の片口に入った酒、盃とともにガラスの小鉢に涼しげに盛られた先付が運ばれ
てきた。ひし型のごま豆腐に茹でた瓜が添えられてダシに浮いている。見た目を楽しんで、そ
のまま味わって、お酒と合わせてまた楽しむという食事が始まった。

 竜児はなんだか味見だけみたいなコースだなと思いながらも、こういう出し方もあるのかと
感心していた。

 椀物、お造り、焼き物、煮物か蒸し物と頃合いを見計らっては運ばれる料理のいずれもが三
〜四くちで終わってしまう量で、もうちょっと欲しいと思わせるところが却っていい。味付け
も薄いものから順に濃い目へと進んで行き、あっさりとした酢の物を味わったらめし!という
のも好みにぴったりだった。
 三種の薬味で柔らかな馬刺しを味わいながら、うん、文句なし。すべからく食事というのは
こうあるべきだと竜児は思う。少なくともその境地を目指すべきだ。大皿にひと品かふた品ド
カっと作ってガツガツ食ったら満腹ぷーーという己が家庭の食生活はなんと過ちに満ちていた
ことだろうか。
 てなことを少しばかり考えながら仲間と差しつ差されつ楽しんでいるうち、次第に気になり
始めた。大河はこういう食事だと食べ足りないんじゃねえか?

 しかし見ると行儀よく、にこやかに楽しんでいるようだった。
 酢の物か和え物か好みで選んだら、ちょうどちびちび舐めていたお酒も終わって。ほろ酔い
にまで至らないいい気持ちだあと思っていたころ。それは小声だったけれど、確かに竜児の耳
にも届いた。

「ああもうっ。お腹へった〜〜」

 そうか。やっぱりか。案の定か。いんげんのくるみ和えをちょぼちょぼ食べていた大河がも
うたまんないと言うような情けない声でこぼしたのと同時に、みんなも堰を切ったように言い
だした。

「やっぱり大河もそう?いやもーあたしさっきから食欲だけ刺激されてさ〜」
「すっごく美味しいけど……やっぱりちょっとずつもの足りないかな?」
「でしょでしょっ?なんかもう、丼でご飯かっこみたいわ!」

 竜児は北村と頷きあって、仲居さんに声をかける。

「すいません。もうご飯にしてもらえますか、できたら多めに」
「かしこまりました。おひつでお持ちしましょうか」
「おう!だったら俺が盛りますからそれで。こちらににお願いします」

 ややあって運ばれるおひつ、人数分の飯茶碗とみそ汁椀、漬物、そして……大皿?

「でら〜海老フリャぁ……だなも。やっとかめ」
「た、大河?なんで名古屋弁ぽく?しかもインチキくせえ」
「びっくりしてう、うれしさの余り思わずでてしまった……なも。っていうか」

 お品書きにはありませんけど間違いでは?と念のため仲居さんに訊ねれば、当ホテルの専務
から川嶋様へお礼とのことですと意外な答え。ああ、あれかー。亜美、実乃梨で頷きあって、
ご馳走になりますとお伝えくださいと伝えれば、かしこまりましたと笑って引っ込む。

 事情が分からない、後から着いた竜児と北村は、なにがあった?とどきまぎしてサイン一筆
のおかげと知る。黙って事情を聞きながらタルタルソースに醤油を垂らして和え、うやうやし
く海老フライに盛り、てんこ盛りご飯の茶碗を手元に受けた大河が、ぱんと柏手を打って亜美
を拝むなり、

「なるほどね。ばかちーにありがとう。遠慮なくいただきまぁす♪」

20 :しもやまだっしゅ! ◆0/FKyHtS2M :2011/10/13(木) 12:09:03.85 ID:O+VxF2Tw0

 お嬢様スイッチオフ!ガッガッガッと、サクっとプリっとしたフライ定食(?)を食べ始めた
その物怖じしない様子に皆の緊張も解けて一斉に箸を伸ばす。若者の胃袋を満たす饗宴がしば
し続いて、終わりに近づくとスッと出てくるデザートメニュー。

「コースの締めは果物になりますけど、他にお好みのデザートもお召し上がりくださいと」
「もしかして……それも専務さんが?」
「はぁい。左様でございます〜」

 そこそこの齢であろうに笑うと童顔な仲居さんは、彼らの食べっぷりに合わせてくれたのか、
いつの間にかくだけた感じで接してくれるようになっていて、別腹装備の女子が思い思いにデ
ザートを注文するなか、男子ふたりはさすがにもう甘いものは入らないと丁重に辞退する。


 お腹を満たし熱いほうじ茶を啜るころ、亜美が仲居さんに頼みごと。フロント氏=専務さん
にお礼を述べたいから取り次いでもらえないかと。

「はい……それがすでに下がらせていただいておりまして」

 聞けば、シフトに入るのも不定期なのだという。昨今の景気では働く人もパートに頼らざる
を得ず、従業員でない専務さんもボイラー係から客室係、フロント、果ては調理場まで、叩き
あげでひととおり経験しているのを幸い、ちょくちょく穴埋めで勤務するのだそう。
 最も得意としているのは宴会が入った時の司会進行で、電線音頭の盛り上げが好評らしい。
デンセン音頭が何か竜児たちは知らなかったが、はあ、そうなんですかーと相槌だけはうつ。

「私もパートでございまして、でしたら……板長にご挨拶させましょう」
「え?お仕事中にご迷惑では?」
「本日はもうおひと方様だけでございますから、ちょうど手が空いている頃と存じます」

 ただいま呼んでまいりますね。仲居さんは調理場へと歩み去っていった。

「いたちょうって?」
「和食の調理主任さんだな櫛枝、レストランならコック長だ」
「ね……イメージ的にきっと爆弾岩みたいな見た目なんじゃない?竜児」
「お前それは失礼だろ?たぶん俳優の故・緒形拳さんみたいな……」
「あたし緒形拳より三國連太郎の方がハマるかんじなんだけど、板前さんっていうと」

 女3人寄ればかしましい、とは言うが、そこに2人男が加わってもあまり変わらない。

 やがて席にやってきた、責任者を示すのだろうか、ラインの入った真っ白な板前法被姿で、
帽子をとりながらきちっと挨拶する板長さんは、彼らの予想を大きく覆し、年の頃なら30前
後か、少ーしだけ額が後退しているところを除くと、意志の強そうな目のまだ青年と言っても
いいくらいの風貌。胸に松岡と刺繍がある。

 幹事の亜美が料理をほめ差し入れのお礼を伝えると、キリッとした表情を崩して人懐っこい
笑顔に変わるところも好感が持て、場所がら新鮮な魚介は敵わないが野菜や肉などは地場のよ
いものを厳選して出していると語ってくれた。東京で店を移りながら板前修行をして、Uター
ンで故郷に帰り、職を定めたのだという。


 仲居さんにもお礼を述べて、一行はホールを後にした。
 絨毯敷きの廊下から階段へと歩きながら、北村が思い出したように、さっき卓球前にカード
キー渡したままだったと言い、大河は懐から出して返す。そうして先に戻っててくれ、俺、ト
イレーと別れた。
 残った4人で土産物の売店をひととおり巡って、2階で女子たちとも別れ、竜児はひとりで
部屋に戻る。

21 :しもやまだっしゅ! ◆0/FKyHtS2M :2011/10/13(木) 12:12:27.80 ID:O+VxF2Tw0

 隅に寄せられた卓袱台、夕食中にふたつ並んで敷かれた二組の布団、板敷きの荷物置きには
北村と自分のバッグ。貴重品金庫とテレビ。なんの変哲もないホテルの和室だが、竜児は幼い
頃に泰子とふたり泊まった部屋に似ていると思い出した。
 カーテンを引いて窓の外を眺めてみればもうとっぷりと日も暮れてすっかり夜の景色となっ
ている。昼間なら遠く山並みが見えるはずだが、今はもう暗く、町の明かりも大橋と違ってず
いぶんまばらだ。
 あれは観光ではなかったのだろう。だって町なかの盛り場の外れの古ぼけた旅館だった。
 泰子ははしゃいで、珍しく一日中ずっといっしょにいてくれてお菓子を買ってくれたりもし
たけれど、たぶん次の仕事と住処を定めるまで二、三日の間だけの旅の記憶だ。嬉しさと、感
じとった不安とがない交ぜになった小さな男の子の気分を思い出してみる。
 そうして、あのときの母の気持ちの方が、今では近いのもわかる。
 竜児はなにげにテレビを点けてみて、自宅の部屋とそんなに変わらないけど家具がないだけ
でずいぶん広いもんだと思った。

 さて、まだ寝るには早い。
 風呂で中断した北村の話を聞くのには十分な時間があるだろう。売店もまだ開いているから
男同士飲み直してもいいし、また湯につかるのもいい。日帰り入浴は7時までだから、湯は空
いているはずだ。布団脇に胡座の腰をおろして、そんなことに考えを移した。

 それにしても北村遅えな?と思っていると、がちゃりと音がしてドアが開いた。ぱったぱた
と履脱ぎでスリッパを脱ぎ散らかす音がして――ん?北村じゃねえのか?と不審に思ったせつ
な、すっと障子を開けて入って来たのは……大河だった。


――つづくっ!






次回、酒盛り+混浴編2(未成年飲酒な展開についてはご寛恕のほど願います)

22 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/13(木) 18:40:57.34 ID:eaDucvIW0
>>1>>13>>14
乙です。まとめ様もいつもありがとうございます。
楽しみに取っておくんだぜ!

上の話題便乗。
原作読むと大河→竜児もなんだけど、竜児視点三人称が基本なだけあって竜児→大河を強く感じちゃうからなあ
大河は一見押せ押せだけどファーストキスの場面とかでも攻められると弱い受け。
竜児はいきなりキスしたり意外に強引だったりするから攻め。
ギャップは偉大だ

23 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/13(木) 23:03:48.37 ID:DUn3PQXc0
>>21
おつ
大河がぷるぷる出来る日は来るのか来ないのかw

24 :しもやまだっしゅ! ◆0/FKyHtS2M :2011/10/14(金) 13:04:04.98 ID:6dMAiaXp0
しもやまだっしゅ!の10を投稿します。7レスほど。
恥ずかしながら昨日の9が完成のひとつ手前でしたorz
違いがあるのはラストだけですので、そこから続けて投稿します。

まとめ人様、重ね重ねお手数をかけて申し訳ございませんが、当スレの>>21がNGとなります。
>>20から本レス以下に繋がりますので宜しくお願いします。

==========================ここから↓

 隅に寄せられた卓袱台、夕食中にふたつ並んで敷かれた二組の布団、板敷きの荷物置きには
北村と自分のバッグ。貴重品金庫とテレビ。なんの変哲もないホテルの和室だが、竜児は幼い
頃に泰子とふたり泊まった部屋に似ていると思い出した。

 カーテンを引いて窓の外を眺めてみればもうとっぷりと日も暮れてすっかり夜の景色となっ
ている。昼間なら遠く山並みが見えるはずだが、今はもう暗く、町の明かりも大橋と違ってず
いぶんまばらだ。

 あれは観光ではなかったのだろう。だって覚えている。町なかの盛り場の外れの古ぼけた旅
館だった。さあ行こう♪大事なもの持った?竜ちゃんって言われて、まだ眠い目をこすりこす
り、小さなリュックサックを背負って出かけた。光る真鍮のドアノブ、かちゃりと音を立てて
鍵をかけた小さな部屋にいまだ帰った事はない。
 泰子ははしゃいでいて、珍しく一日中ずっといっしょにいてくれて、遊んでくれた。お菓子
を買ってくれたりもした。記憶ではずいぶん長いこと手をひかれて旅をしたような気がするけ
ど、たぶん次の仕事と住処を定めるまで、せいぜい二、三日の間だろう。旅行の嬉しさと、感
じとった不安とがない交ぜになった、小さな男の子の気分を思い出してみる。
 そうして、あのときの母の気持ちの方が、今では近く思う。
 辛かったり悲しかったり悔しかったり、それはしたろう。それと一緒に、ふたり笑いあって
暮らせる場所を探し当てる嬉しさもたくさん、両手いっぱいに持っていたんだろう。

 竜児はなにげにテレビを点けてみて、自宅の部屋とそんなに変わらないけど家具がないだけ
でずいぶん広いもんだと思った。

 さて、まだ寝るには早い。
 風呂で中断した北村の話を聞くのには十分な時間があるだろう。売店もまだ開いているから
男同士飲み直してもいいし、また湯につかるのもいい。日帰り入浴は7時までだから、湯は空
いているはずだ。布団脇に胡座の腰をおろして、そんなことに考えを移した。

 それにしても北村遅えな?と思っていると、がちゃりと音がしてドアが開いた。ぱったぱた
と履脱ぎでスリッパを脱ぎ散らかす音がして――ん?北村じゃねえのか?と不審に思ったせつ
な、すっと障子を開けて入って来たのは……大河だった。


――つづくっ!

25 :しもやまだっしゅ! ◆0/FKyHtS2M :2011/10/14(金) 13:05:23.48 ID:6dMAiaXp0

 10

「おう大河。どうした?」
「えへへへ。ちょっとお邪魔しまーす」

 見ると袋を提げていて、中身は下の売店で買って来た缶チューハイにカクテル。ははーん、
上は上で女子飲みをするつもりなんだなと竜児は読んだ。

「持ってかなくていいのかよ。寄り道してると温ったまっちゃうだろ?」
「うん。カードキー、さっき間違えたみたいで」
「ああそっか、オートロックだもんな」
「うん、それで北村くんと交換しようと思って、上まで行って降りてきたんだ」
「ん?だって中に櫛枝と川嶋いるんだよな?ノックして開けてもらえばいいじゃねえか」
「あー、ん〜〜、まあ……ね」

 なんかドンドン叩くのって……なんか……ね?ばつ悪そうにもじもじ、くねくねと。そんな
様子の大河は正直言ってかわいい。つい何でもわがまま聞きいれてやりたくなるのだが、それ
とは別に、竜児にはそんなことで回りくどく北村を待とうという発想の方に、またお嬢様っぽ
さを感じて可笑しくなった。

 ――俺んちでふんぞり返っているときにはそんな態度みせないくせにな?

 まあいい。意地悪くつつく趣味はないし、だらしないのとお上品なのとが入り混じっていた
って誰の迷惑になるわけでもない。なんといっても、部屋にはいったときのメランコリーめい
た気分で、竜児は誰彼かまわず優しくしてやりたい気まんまんだ。

「じゃあ、とりあえずそれ冷蔵庫に入れとこうな」
「う、うん。……あの……軽ーく、一杯飲まない?」
「ん?おう。じゃ軽ーく。な」

 買い物袋から、どれがいい?と訊いてライム味のチューハイをひと缶出し、残りを部屋に備
え付けの冷蔵庫に仕舞う。卓袱台の茶器入れからガラスのコップをふたつ取り出して酒を注ぎ
分けた。

「ほい、乾杯」
「うん、乾杯」

 チンと合わせてひとくち呷る。そして大河はコップをもったまま、膝でにじり寄ってきても
たれかかった。

「……北村が帰ってきたらどうすんだ?俺やお前は恥ずかしくないかもしれねえけど……」
「うん。ちょっとだけ。竜児分を補給しないと。ふひひ」
「そうか。……そういや俺も欠乏してたかもな?なに恥ずかしいこと言わせて」
「いいからいいから」

「テレビ点いてて、なんかうちにいるのと変わらないね」
「あー。ちょうど同じような時分だもんな。なんか習慣っていう感じで」
「うん。落ち着く。……ちょっと部屋が広いけど」
「女子部屋の方は12畳だろ?」
「なんでだろう?あっちは別に広すぎない」

 自分が優しい気持ちになっていたからか、竜児にも大河の考えてることがなんとなく伝わっ
てきた。用があったからついでにいちゃいちゃしたい、で、北村のことも心配。

26 :しもやまだっしゅ! ◆0/FKyHtS2M :2011/10/14(金) 13:06:36.34 ID:6dMAiaXp0

 一杯飲み終えたタイミングで売店の袋を提げた北村が戻って来た。ああやっぱりこっちにい
たのか逢坂、カード間違えたから女子部屋まで往復して遅くなった。……あ、無駄足ふませち
ゃったみたいだね、ごめん。……いやいや何でもない。逢坂もここで飲んでいくか?……あー、
うーん……。
 大河は二人の顔をちらちら見比べて、ううんやっぱり上に戻ると言う。

「こっちはこっちで忙しいの」
「おう。買い物袋忘れてるぞ」
「ありがと。はい北村くん、カード」
「おう。こっちが逢坂のカードだ」
「……ん?そういやオートロックのはずだが。北村、いまここのドアどうやって開けた?」
「ああ高須、スリッパが挟まっててな。閉まってなかったぞ」

 お前かよ……大河はそっぽを向いてぴゅーぴゅー鳴らない口笛。じゃねっ♪と言い置くと逃
げて行った。


 差し向かいでコップ酒……と言っても別に酔いたいわけではなかったから、北村が買ってき
た地酒は多くない。ふたつ注ぎ分けたら小瓶は空になった。なにかつまむものをと竜児がさっ
き同じ売店で仕入れた土産の野沢菜を切り、ちびちびやっていたらポツっと。

「難しいもんだ。高須」

露天風呂でのつづきを話す気になったようだった。

「会長の話じゃない……かといって俺の話だけでもない」
「おう」
「向かう先が厳しい、ということでもなく……」
「うん。野沢菜くえ。結構うまい」
「おう、すまん」

 ぱりっと噛んで、北村は続ける。夢をどうやってかなえるかだ。時間はかかるがグリーンカ
ードを取得して、エアフォースなりマリーンズなり、軍関係の仕事に就いて……。

「そこまで考えているのか……」
「走り出せばいろいろな事もわかってくる。やはり永住権は重要だ。だがな」

 その辺で考えが違うのもわかった。会長は未だ学ぶ身で最短距離を行こうとするなと言う。
夢はアメリカ国民になることじゃないんだからJAXAも視野に入れろって言う。しなやかな
考えで、それはとてもよく分かる……。

「何度も話してな。俺も意地張ってことさらにジムトレーニングに熱中したんだ」
「なるほどな。軍を考えて出来ることから、か。……友人ができなくてってのも?」
「ああ、まあ、嘘だ。一度にいろいろ聞いて焦っていたのかもしれん」

 そうか北村……竜児は親友の語りに耳を傾け、思いを馳せた。なんとなくだが、表向きの理
由を装わねばならない気持ちも分かって、夕食のとき味わったものと同じ酒を含み、香りとと
もに喉をすべり落としてみる。

「会長さんはやっぱり先輩ってことかな?」
「……そうだな。お見通されってやつで、そんな中でピクニックに誘われたんだよ」
「うん……お前の言いたいことが少し見えてきた」
「わかってくれるか」
「おう。俺だって、たぶん似たような気持ちになるときはある」

27 :しもやまだっしゅ! ◆0/FKyHtS2M :2011/10/14(金) 13:07:29.43 ID:6dMAiaXp0

「ほう?どんなときだ?」
「帰宅が遅くなって、大河が夕めしのしたく済ませてくれていてな?それが美味かったときとか」
「はっははっ!おまえたちらしい。なるほどなあ」

 美味くて、嬉しくて、ありがたくて。でも少しばかり追い立てられるような?……そう、そ
うだ。北村ほど大層な話じゃねえと思うけど、気分は似てるだろ?……いやいや、同じだろう
大きいも小さいもない。

「導く方に立ちたい、って思うのは男ならではの欲求なのかも知れねえって、ときどき思う」
「高須もだったか。うん。話して良かった」
「こればっかりは好きな女には知られたくねえっていうか、な?」
「うんそうだ。うっかり主張したらさいご、馬鹿にするなって思われてしまう」
「ん?おうっ、そうか。……それで叩き出されたんだなお前。ぶははっ!あ、悪りぃ」
「なんのことだー高須。それじゃまるで夫婦喧嘩じゃないかー」

 否定しながらもにやにや顔で、北村は残り少なくなったコップをかかげ、竜児もそこに軽く
合わせて澄んだ音を立てると、ぐいっと飲みほした。

「俺はさ、大河にときどきそんなような主張しては半ギレされてるよ」
「……知られたくないんじゃなかったのか」
「そうなんだけど、思っただけでわりとすぐバレる。あーもうしょうがねえ言っちゃえみたいな」
「ああ、勘が鋭そうだからな、逢坂。小さなケンカをちょくちょくか?」
「おうつまんないことでな。お前もそうしてみたらいい」
「うん。いいこと聞いた。戻ったらやってみよう」

「まず走り込みからか。今までの北村じゃねえ、北村2.0だって見せつけてやれ」
「おう高須。ソフト部に顔出してOB風吹かせまくってやる」


(北村くんが走り込みするんなら応援に行こっかな)
(後輩虐待とかなにやらは捨て置けない企みだねえ?あたしにとってもかわいーい後輩だもん)
(ばかくせーからやめとけっつーの。汗くさいのに巻き込まれるよー?)

「……賊がいる。高須」
「そうだな。つかその言い回しはねえ。江戸川乱歩か?」

 つと立って行った竜児がすーーっと障子を開けると、見知った浴衣姿3つ、息を殺して佇ん
でいる。へへへ……ニヤついた実乃梨に、ひゅーひゅー鳴らない口笛の大河、背後で嫌そうな
亜美と、音も無く上がりかまちに潜んでいた。

「おまえら立ち聞きとは趣味が……ん?オートロックどうやって?」
「あー竜児、スリッパ挟んでおいたから」

 仕込んで行くなよ……。てへっ。こんなこともあろうかと……。

「せっかく集まれたのに別々に飲むのもねってわけで、軽ーくやらない?お、野沢菜あるじゃねえか!」

 飲むもん買ってきたよーと実乃梨が追加の袋を掲げて遠慮もなしに上がり込み、狭い方の部
屋で宴の続き。竜児と北村は男同士の秘密は置いておくも迎え入れた。

28 :しもやまだっしゅ! ◆0/FKyHtS2M :2011/10/14(金) 13:08:20.02 ID:6dMAiaXp0


 そっちはそっちでもう軽く出来上がってんな?勢いで、そろって覗きにやってきた。そうい
うトリックってわけだ。

「たきゃすきゅん、名推理だ!」
「普通それしかないような気がするが」
「んーー部屋が隣同士のままだったらこの性犯罪は成立してないわけよねー」
「せ、性犯罪って言う?ばかちー、ゆうっ?」
「あたしら男の部屋に夜這いかけてんじゃーん?どっからどう見てもまごうことなき」
「は、はははは鼻血でそう」

「そんな心配は要らねえ。俺は固くて有名な竜ちゃんだから」
「そうそう。固い固い」
「下世話だ逢坂。俺のイメージを壊さんでくれ」
「『綺麗でストレート』合ってるんじゃねえか?」
「女子がそういう下品な事を言ってはいかん」
「たわば先輩、女の子に幻想を持ち過ぎですよー」
「誰がたわば先輩だ、ベンジャミンじゃなかったのか?いや俺はあくまでも鰯水でありたいっ」
「北村くん、レオナルドレオナルド」

「でー?いいかげん真相をおねーちゃんに言いなさいよ祐作ぅー」

 さっきからすでに目の座っていた亜美が北村を睨みつける。

「バレバレなんだからさあ」
「お、お姉ちゃん?……あーみん&北村くんはそーいう関係の幼馴染だったのー?」
「うむ。話は寛永年間に遡る……」
「そんなには遡らねえよ」
「亜美はおれの兄貴が……兄貴っていっても会長じゃなく実兄の方だ。好きだった時期があってな」
「ほおーーっ、ばかちーにそんな初恋が!」
「小学生のころよっ、あんたの倍は愛らしかったんだから亜ー美ちゃーん♪」
「まあその頃だな。甘ったれわがままなおまえが急に姉貴風吹かせ始めたの」
「あたしの黒歴史はどぉーでもいーぃ〜。……のよ?」
「あーみん、かわええのう〜。いやあお酒はひとの口を軽くするね」

「さっき高須にはもう話したんだが」

 ごく自然に目配せ。男の友情は堅い。

「ほんとは痴話げんかじゃなくってな。会長とは先々の進路で揉めて頭冷やせって追い出されたんだ」
「あら、まー。そーなんだぁ」
「ど、どどどどどうすんのさ北村くんっ!?」
「ああ櫛枝。もちろん夏休み終えたら帰る。謝って部屋に入れてもらうよ」

 あ……高須くんと話せてもう済んでたのね?分かりやすい顔に亜美はなって、ふぅん、それ
ならべつにもういいのかー。いいんだけどー。少し残念そう。

「まあそんなわけだ亜美。心配してくれてありがとうな」
「べっつにー。心配なんてしてねーもーん」
「それに高須と逢坂見ていて納得が行った。『二人で迷えばアホも利口もない』その通りだな」

 ああ、昼間の伊那上郷駅でたしかそんなようなこと言った。竜児も、大河も思い出す。ふた
りの間では、よく確認しあってる珍しくもないことだが、北村の役に立ったのならそれは良か
った。

29 :しもやまだっしゅ! ◆0/FKyHtS2M :2011/10/14(金) 13:09:18.85 ID:6dMAiaXp0

「おう川嶋。悪かったな。出番とっちまって」
「ううんいいんだよー高須くんならー。ゆーさくだって男同士の方が話しやすいしー」

「ばかちー……酔ったふりしてずうずうしいよ」
「だぁってぇ〜肩の高さがちょうどいいんだもん」
「竜児にあんまりくっつくんじゃないっての……」
「んん?じゃーあんたの方にするーぅ」

 んーんたーいがぁ〜♪すりすりすりすり、まさちゅーせっつ。んにゃーっ!?あついあつい
ばかちーあついっ!ほっぺあっつぅいーーっ!

「ほへーっ、あーみん熱烈だのう〜お酒はひとを狂わせる……まるで萌えアニメのようだっ♪」
「いっしょに酒飲んだことないから知らなかったが、亜美って甘え上戸だったのか」
「なーんとなく予想はついてたけどな」
「あーみんの黒歴史が、またいちぺえじ」
「櫛枝はケロっとしてるじゃねえか?もしかして酒つよい?」
「うん。最近判明したところによると、あたし丈夫みたいだよ?」

 腕をグッと曲げて筋肉を浮かせ、腹を押さえるとネコ型ロボットの声真似で、これが「あい
あんればぁ〜」つづいて亜美にハグられて暴れる大河を指差して、実乃梨は「そんでもってぇ、
あれがアイアンストマックだ!」と。

 そんな感じで賑やかに、一部は隠れた人格を垣間見せて夜は更けていった。


 ふっと、竜児は目を開けた。枕元の携帯を見ると午前4時前、まだ夜明けにはほど遠く、豆
球の灯りだけの室内では北村が寝息を立てている。夏の終わりとはいっても山あいで、一日の
うち最も気温が下がる時間帯とあって少々肌寒さを感じ、浴衣の襟をかき合せた。

 ひとしきり仲間と飲んで、寝る前にもうひとっ風呂〜♪と連れだって帰って行く女子たちに
酔っての風呂は軽く浸かるだけにしとけとたしか声を掛けた。宴の後片付けをして、缶や瓶も
ゆすいで分別し、茶を入れたあとまた北村と少し話して早々に寝た。酔いも抜けて、うん、覚
えている。
 そうして本格的に目を覚ましてしまい、窓際に立って外を眺めれば家々の灯りも消えていて
空は暗く、世の中で起きているのは自分だけのような錯覚にとらわれる。

 ――いま寝直すとこんど起きたとき眠そうだな?

 こんなとき自宅なら気に留めておいた場所を掃除したり、調べ物をしたりもできるのだが、
あいにく旅先では……お、そうだ。湯に入ろう。
 たしか24時間入れたはず。頃合いを見て清掃は入っているだろうが、この時間なら済んで
るだろう。夜の雰囲気の方が良さそうだったし、経験しないで帰るのはもったいない。それで
明けてきたらその辺をぐるっと散歩でもして夜明けの山並みを眺めて……。
 できたら大河と……とも一瞬思って打ち消す。さすがにあいつだけ起こすのは難しい。

 竜児は静かに丹前を羽織り、ううんと寝がえりをうっている北村を起こさぬよう足音を忍ば
せてそっと部屋を出た。廊下をたどり、階段を降りて、シャッターが下りている売店の横を通
って大浴場へと向かう。

 明かりは煌々と灯っていたがだれもいない。ただ流れる湯の音だけが響く内湯を素通りして
ガラス戸を押しあける。布団から起き上がったときは肌寒いと感じたが、季節はまだ夏、外気
に触れてみてもそれほどでもなく、涼しいと言えるくらい。

30 :しもやまだっしゅ! ◆0/FKyHtS2M :2011/10/14(金) 13:10:14.29 ID:6dMAiaXp0

 露天も貸し切りだった。
 想像したとおり、昼間よりこじんまりして見えた。灯篭の間接光に柔らかく照らされて、岩
がそこかしこに影を落とす湯に竜児は足を踏み入れて真ん中まで進み、腰を下ろすと全身を伸
ばした。ぬるめの湯が沁み入るようで、ああ〜〜っ気持ちいい〜っ。
 天を仰ぐと屋根のないところから満天の星が見えた。落ち着いて眺めようとそのまんま這っ
て移動し始めたら、女湯の方から誰か露天に出てきた気配がした。

 えへん。向こうも誰もいないと思いこんでいたらいたら驚くかもしれねえと、マナー意識か
ら軽く咳払いをする。そうしておいて、早起きな人もいるもんだとゆっくり仕切りで目隠しさ
れた部分に這い戻る。

「あれ?……竜児」
「おうっ?」

 仕切り伝いに歩いてきた女湯の客は、大河だった。もちろん裸ではなく湯衣をまとっている。
夕方と同様、竹垣の端からひょいっと顔だけ覗かせていた。

「覗きは高くつくぜ?」
「ちがうちがう。咳払い聞こえたから竜児だって。……年寄りくさ」
「ほっとけ。マナーだろ」

「それはそうか。ね、そんなとこにいないで星見よう?こっちも誰もいないし」
「おう、そうだな」

 ちゃぷ……ちゃぷ……奥の突き当たりまで歩き、互いに少し離れて湯に身体を沈める。表面
がつるつるした岩に預けた背が妙に心地いい。ちょうど良くツボに当たるのかも知れない。

「起きちゃったのか?」
「うん、なんかフッと」
「夕べだって入ったのに風呂好きだったんだな」
「それもあるけど。夜の露天がすっごくいい雰囲気だったから教えたくて」
「そうか。俺とっとと寝ちゃったからな」
「うん。もう一回よく眺めとこうと思ってさ……ねえ?」

 もうちょっと……こっちに来なさいよ、などと。
 遠慮がちには聞こえるが、ふたりきりの安心からか、大河は舞い上がったり拗ねたりを込め
ない声で呼び、竜児もはだかとはいえ湯衣を着ている気安さで、尻を浮かせてはちょっとずつ
カニあるき。混浴部分の中央やや女湯よりで、肩を軽くぶつけて並んで浸かる。

「へへへ……混浴初体験」
「ああ、いいもんだ」
「あ、またひとつ夢かなっちゃった。竜児といっしょに足を伸ばせる広いお風呂に入る」
「あれって『そういうデカい持ち家を!』って遠大な夢だったんじゃねえの」
「そうでもあり、こうでもあり、なのよ。……いま気づいたけど」

 くくっと竜児は忍び笑い。なんだそうか。

「じゃ、これからもたま〜に温泉旅行しよう」
「うん。……そうそう竜児、ほら、星すごい」

 灯篭の明かりに邪魔されぬよう目の下に手をかざせば空にたくさんの星。部屋の窓からなら、
あのぼんやり滲んでいる天の川もくっきり見えるのだろう。大橋ではこんなに見えないし、湯
につかったまま見上げられるのは、竜児にはとても贅沢なことと思えた。
 傍らで見上げる目には何が映っているんだろう?と今でも思う。

31 :しもやまだっしゅ! ◆0/FKyHtS2M :2011/10/14(金) 13:11:35.01 ID:6dMAiaXp0

「板長さん……かっこよかったね」

「へえ?ああいうタイプが好きなのか」
「ばーか。職業ってこと」
「そうだな。包丁一本って感じで……ああいう人生もあるんだって思ったな」

「料理人って……なんかいい。ね?竜児も目指してみたら?」
「興味はあるけど……いまやってる勉強とはなんか繋がんないぞ?」
「うん、まあ。そうだよね。つまり……割烹着っていうの?あんたが着たらかっこいいなって」
「コスチュームだけでいいんなら着てみてもいいな。機能的だし一着あっても」
「そういうのとも違う。うーん、なんて言うか?なんか……」

 もじもじもじもじしながら、なんかさ……目も合わせずに大河は続ける。

「おいしいもの作ってる真剣なあんたがすき。……すてき……っていうことっ!」

「……頭突きなしで言ってくれよ」
「……軽いじゃない」

「……ありがとな。お前がそんなふうに見てくれて。なんていうか……嬉しい」

 頭突きのまま肩に乗せられた頭に手を置いて。どうしたことだろう?とっくに酔いはさめて
いたはずなのに、急に回ってきてるような気がしてならない。こんなときに照れ隠しも余計と
知りつつ、だから口をついて出てしまう。

「たださ、仮に俺がそういう道に進んだとするだろ?」
「うん?」
「お前は客として来ないとその姿は見られないんじゃねえか?」

「お?あ?ああ、そっか。……そうね。どうしよう」
「それよりさ、ずっとお前専任の料理番として雇っておいた方が……良くねえ?」
「…………………………そ、……そう……ね」

 竜児はにごり湯のなかで漂う小さな掌を探し、出逢い、そうっと握ってしまった。あぶない
あぶない。他に誰もいないと言っても一応は公共の場と分かっていたつもりなのに。

 その手が握り返されたときに、また何度でもわかる。

 もう何百回と繰り返した、この世界にふたりいるという確かな感覚。触れ合わせた肩越しに
見つめられて嘘もつけなくなり、その目に吸い寄せられ、光る唇へと顔を寄せていくと、大河
も僅かに顔を上げて受け入れようとする。

 そして。


――つづくっ!

32 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/14(金) 20:52:50.15 ID:O2iVo5vBO
>>31
北村がんばれー!な気持ちも大河かわええ!な気持ちも熱く語りたかったんだが「まさちゅーせっつ!」ですべてがどっかに飛んでった
何故かツボに入ってめっちゃワロタ

乙!
このあと絶対邪魔される気がするけどドキドキで続き待ってます!

33 :しもやまだっしゅ! ◆0/FKyHtS2M :2011/10/15(土) 16:32:06.96 ID:hbYfD0i70
しもやまだっしゅ!11(最終回+後日談)投稿します

↓9レスほど

34 :しもやまだっしゅ! ◆0/FKyHtS2M :2011/10/15(土) 16:33:03.02 ID:hbYfD0i70

 11

 (承前っ!)

 目を瞑って心もち上を向き、大河はそのまま受け止めて貰えるのを確信したからゆっくり身
体を預けてくる。ぷるぷる突き出した唇まであと5センチ。好物をとっといて最後に食べる性
格の竜児はまだかなーと開ける薄目に笑いかけたりしてちょいとスローモーションぽく引きの
ばしてからおもむろに。

 しかし、こんなときでさえ安全確認だけはしっかりと怠らないのも竜児という男。
 さっと素早く視線を走らせれば、女湯とのガラス戸が少し開いてうずくまっている人影を視
界の端で捉えながら慣性でちゅっと触れ、

(おうっ?)

 一瞬固まる。

 すっと肩を押して垂直に戻し、その反動を利用してささっと身体を離すと「あぁ〜んっ?」
なんて疑問形のあと語尾が消沈していく声ももちろん聞こえて後ろ髪を引かれまくりだったけ
どこればっかりは仕方なく突貫で心に棚をしつらえごちゃごちゃっと棚上げ終わるまでの神速
の判断におよそ、2秒。
 にごり湯の中でつないだ手までは離さない、というか離してもらえなかった。

「ちっっっ!!!スネークA、あと一歩のところでバレた。作戦を終了する」
「了解スネークM!あ〜〜あ〜〜」

 人影は立ちあがってざぶざぶ湯に入ってくる。

「ごめんよ大河〜。まじごめん。いきなりだったから動けなくなっちゃったのよ」
「そうそう。部屋出てくのに起こされちゃって〜♪あ、朝湯かーそれもいいかなってね。」
「いっ、遺憾だわ……」

 せっかくだし露天で夜明け迎えようかってねえ?……そーそー。高須くんいるの中から見え
たけど前振り長いんでしないのかなって……いやー油断したよね?まさか逢い引きになってた
なんてびっくりよー。……また言いかた古いねあーみん。

「そんなんじゃねえよ、偶然だよ」
「そそそうっ、独りで浸かるつもりで……偶然で」

(言ってますぜ旦那?『……一生お前のメシ作る』あたしゃはっきり聞きやしたぜ?)
(ほんとほんと。こっちの被害どうしてくれるんだろ?お釣りもらってもいいぐらい)
(それでもさ、ぶっちゅうーっと濃厚に始めたらその隙にコソコソ退却できたのにね)
(なんであそこまで行ってから周り確認すんのか教えてもらいたいよねー?)

「むー」
「……聞いてねえな」

「あ、ところでそっちは高須くんひとりなの?」
「おう、そうだけ……ど?」

「わ、悪いな。じつはおれも目が覚めてしまって」

 ぜんぜん注意を向けてなかった男湯の方に目をやりながら答えてみれば、開いていた戸口に
仁王立ちのマッチョ。聞き覚えのある悪気なき声。そして、ああ、なんてこと。大方の予想を
これっぽっちも裏切らない裸(ラ)・オンザタオル。

35 :しもやまだっしゅ! ◆0/FKyHtS2M :2011/10/15(土) 16:33:52.46 ID:hbYfD0i70

 ポチリ。トラウマスイッチ。

「えっ?きくっっ、ききききたっ!!」

 ざばあっっとカンガルーのごとく跳び退く小柄な少女。湯の抵抗で抵抗の少ない細い身体か
らすとーんと脱げ落ちるムームー状の湯衣!

「おうっっ!?おお前水着はっ?!」
「えっ?あぁっ!」
「動くなっ」

 握ったままだった手に引っ張られた竜児はその勢いに乗ったままスライディング。大河の足
元に手を突っ込むと、ざっばぁーーっ!電光石火の早業で沈みかけの湯衣を引き上げた。両手
で広げたゴム輪部分を脇下でぱっちん、手を離すとヒッ!と悲鳴があがる。許せ緊急避難だ。

「北村……見たか?」
「大丈夫だ高須、逢坂。状況は理解したが角度的に仕切りで見えなかった」
「わ……ワキ、いたいぃ」
「す、済まねえ大河」

 なにしろ内湯で眼鏡も曇ってしまっててなあ、はっはっは。しかし高須、おまえは少し慌て
た方がよくないか?……え?なんでだよ?竜児が我に返ってみれば、実乃梨と亜美はすっと目
線を逸らしていて……みてない。……みてないよー。
 そして中腰の体勢の上からいろいろ感情を抑えた情けない声も降ってくる。りゅうじぃ……。

 ――半ケツくらい……どうってことねえよ……


 ドタバタがひとまず落ち着いて北村が湯衣着用で戻って来ると、さすがに密着まではしなか
ったが仲良く全員で混浴達成とあいなった。
 同じように、星の数の多さに都会育ちの目を奪われながら天を見上げて浸かる。夜気にさら
されたせいか昼間よりぬるめの湯はのぼせる心配も少なく、次第に口数も減っていく。

「オリオン……どこだろう?」

 大河がぽつんともらした。

「タイガー、オリオンは冬の星座だよ」

「そうだが……たぶん見えるんじゃないかな?」
「え、そうなの?祐作」
「ああ、いま4時台だろ?夏のオリオンは太陽に近い方向だから夜明け前に登る。そうだろ高須?」
「おう、たしか東南東の方角だったか」
「そうなんだ。どこ?」
「ここからじゃ天頂近くしか見えねえな。どうだ部屋で見るか?」
「うん、見たい」
「今日は……日の出が5時ちょっと過ぎだから逢坂、見るならちょうど今だぞ」

「女子部屋の窓が南アルプス方向だったよな?櫛枝、川嶋、部屋に入っても構わねえか?」
「いいぜ?ぱんつは干してなかったし……あたしらも見ようかあーみん?」
「うん、いいね。上がろ?」
「じゃあおまえたちもしたくは急がないと。夜明けに星の明るさが勝っている間しか見られない」

 急にそんなことになり、みんなバタバタと湯を上がった。身じたくもそこそこに、けどまだ
深夜のうち、足音には気をつけて3階まで上がると12畳の女子部屋に集まった。

36 :しもやまだっしゅ! ◆0/FKyHtS2M :2011/10/15(土) 16:34:37.39 ID:hbYfD0i70

 たしかに下着こそほったらかしてなかったが、服やら化粧品やら広い部屋をいいことに満遍
なく散らかされた有様を見て竜児の胸はうずく。ひょっとしてこいつら使用していない平面を
残したらもったいないという宗派に帰依しているんじゃないのか、そんなことまで胸をよぎり
はしたが、大河がちゃんと干していた水着を見てなんとか落ち着く。

 カラカラカラ……カーテンを引き、軽いサッシの音とともに窓を開けると冷えた微風が吹き
こんで浴衣の裾を揺らせる。湯上がりの脚にちょうどいい涼しさ。
 大河は未だほの暗い東の空を少し乗り出して眺めてみた。またたく天の川の濃淡を真上から
地平へとたどっていけば他の方向と比べて微妙に明るいかもしれないと感じる。

「星が多すぎてかえって星座は分かり難いね……どれだろう?」
「方向は白根三山と赤石岳の間あたりだが、おう櫛枝すまん」

 実乃梨がフロントで貰ってきていたリーフレットを開いて示す。景色を眺めるためのパノラ
マ写真がのってるよ?山の名前が記された写真を参考に、黒々と見える影の形を突き合わせて、
あの山と、ずーーっと行ったあの山の間、たぶん。竜児が指し示した方角を凝視して、それは
大河にも比較的簡単に見つけられた。

「あ、あった。あれ三ツ星じゃない?」
「おう。そうだ。下に辿って……シリウスまで見えるからけっこう高く登ってんだな」

 山の影のうえ、縦に3つ並ぶ星を見つけ、それが分かったとたん皆の目にもぱっと星座の全
体が見えた。寝っ転がって登るんだ?それに……覚えているのよりすごく大きい。

「地表近くに見る天体は大きく感じるんだ。比較対象が一緒に見えるから」
「あ、そうか。夕陽とかもだね」

 大河の問いに北村が答える。

「このあと暁光が強くなるから等級の低い星から見えなくなって夜明けだ」
「やっぱり祐作は星のことになると、詳しいね」
「船乗りにはまず必要とされる知識だからな。……逢坂はオリオン、好きなのか?」
「うん、好きだよ。たぶん……一生忘れない」
「そうか。じゃあ写真撮っておくか」

「撮れるかな?北村」
「マニュアルで開放してなんとか写るかもしれん」

 デジカメを窓の桟に置いて、角度を爪楊枝で固定して星座をフレームに収めた北村は、大河
にシャッターボタンを押せと促した。いいか逢坂、押しっぱなしだ。

「カメラ本体をブレさせないように、力加減には注意してな」
「うん、やってみる」

 そうして撮れたオリオン座の写真は、いま目で見ている景色と違って暗い星が写らず、三つ
星も小さく、暗く、点ではなく線で、少々ボケてもいて、それでも確かに映った。目で見たら
分からない明けゆく暁光のグラデーションも下半分に鮮やかに捉えたそれは素人写真ではあっ
たけれど、同じ時を過ごした大切な思い出になるだろう。

 ――北村……
 ――なんだ高須?
 ――船乗りか
 ――ああ、そうさ

 大河も横目で見上げて聞いている。

 ――船に乗るんだからな。いつか、星へ行く船に。

37 :しもやまだっしゅ! ◆0/FKyHtS2M :2011/10/15(土) 16:35:23.48 ID:hbYfD0i70

 星へ行く船。大河はすぐに思い当たる。北村くんも読んだことあるのかな?わたしたちが生
まれる前に書かれた小説のタイトル。……こぼれた思いがたまたま同じ言葉にたどり着いただ
けかも知れないけど。

 ――きっと乗れるよ

 そう元気づけようとして、少し考えて、やめた。

 初めて熱病のように慕った男の子は、高く、より高く見上げてばかりいる、脆いところもあ
るひとだった。求めていたのは傍らでなく上。そう知った頃と同じようにその姿を見つめてお
こう、ただ覚えていよう、そう決めた。励ますまでもない。

 そうしてまた、傍らに立つ彼の親友が自分にも投げてくれる視線に、何度も気づく。
 大河はまばたきに乗せてかすかに笑みを返すと、大きな掌をそっとつまんだ。

 順々に星が消えていって夜が明けるまで、5人は肩を寄せ合って空を眺めつづけた。



「よし詰まった」
「ありがと竜児」

 普段はバイキング形式のところ、やはり泊まり客の少なさで定食に変更された朝食を済ませ
て、そろそろこの宿ともお別れの時刻。にもつ、つめてとワサワサ抱えて男子部屋に降りてき
た大河の世話を焼き終わり、竜児もダッフルバッグを肩に掛ける。

「忘れモン、ねえな?」「ん、だいじょうぶ」

 北村と3人でロビーへ降りれば、すでにあとのふたりも居て幹事の亜美がフロントでチェッ
クアウトしていた。どうやら専務さんはシフトに入っていないようだ。腰掛けて新聞を読み始
めた親友を置いて、竜児は大河とともに泰子へのみやげを買い直しに売店へゆく。

 駅まで送迎車の希望を訊ねられ、亜美が途中で寄ってくところがあるからと断りながら吹き
かけた。フロントの後ろの壁に『湯けむりちゃんねる』の川嶋亜美ちゃん色紙が早くも張り出
され、その横に竜児と大河のサイン色紙もあったのだ。
 なにかおかしいと思わなかったのだろうかあの二人。ことによるとネタと知りつつ乗ったの
かもしれないけど……とにかく。亜美は北村を手招きするときっちり撮影させた。どした〜?
と寄ってきた実乃梨も壁の色紙を見て大口を開けて笑った。


 ホテルの人に見送られて玄関を出て、広い駐車場を横切って街道に出る途中で箒を持った作
業着姿の専務さんを見かけた。フロントに立っていた時の和やかな印象と違い、ちょっと頑固
そうなじいちゃんといった感じ。歩み寄って皆で厚意にお礼を言うと、ぱっとえびす顔になっ
てまたお越し下さいと送られる。なるほど、なんでもできる人なんだと竜児は感心した。

「ああいうのもいいな。そう思わねえ?」
「ああいうのって、専務さん?」
「ん、まあそれだけじゃなくて。ホテル業全般」

 交通量もさほどなく、車社会な地域だけに歩行者はさらに少なく、土地が余っているのか建
物も間を空けてゆったり感のある街道沿いを揃って歩きながら、ハテナマークを頭上に飛ばし
た大河と話す。

38 :しもやまだっしゅ! ◆0/FKyHtS2M :2011/10/15(土) 16:36:11.76 ID:hbYfD0i70

「は?」
「旅館やホテルって毎日の掃除やお客さんのお世話が仕事だろ?」
「はあ」
「それで給料貰えるなんて……夢みてえ」

 うっとりいい気分になってる竜児を見ると、大河は反射で混ぜっ返したくなるもので。

「あんたさ……お客様の立場になって考えようよ」
「おう?」
「ちょっと挨拶してみ?『ようこそお越しくださいました』って」
「当ホテルにようこそお越し下さいました。ごゆっくりお寛ぎ下さいませ。……どうよ」
「このたびは盛大なる襲名披露にお招きいただき、ありがとござんす」

 先に立って歩いていた実乃梨と亜美がブーーーッと吹いて、北村の背中をばんばん叩いた。

「おうっ!?なんだそりゃ?」
「その筋のお客御用達のホテルならいいんじゃない?毎月10日は銃撃戦の日!」
「失敬な……」
「あ!宴会中とかにヒットマンに間違えて狙われないか心配ね」

「まあまあ、大河。高須くんだってさ」

 あまりの漫才に女子ふたり思わず口をはさんで。

「シュウカツする頃になればお愛想笑い練習して巧くなってるって」
「ちょっとやってみなよ?」
「こうか」

 にまあ。

「う〜ん、相変わらずぎこちない……ま、タイガーと向かい合って練習するんだね」
「やだそんなの。竜児の愛想笑いなんてうそくさくて」
「嘘くさくならないように見てやんなよ。あんたしかいないんじゃないのぉ〜」
「むー。じゃあしかたないか……帰ったら特訓ね、竜児」
「俺ってどんだけ……てかお前だって愛想笑い得意なわけじゃ」

 今日の伊那谷は雲が多く、でも雨の心配はないらしい。


「それは?」
「マイラケ〜♪」
「それも?」
「マイウェア〜……とサンバイザー♪」
「うわあばかちーってテニサー?ホテルにマイラケ宅配しとくなんて計画的犯行じゃない」
「いいじゃん。幹事だって趣味のひとつくらい通すよ」

 2時間借りたコートで高原テニスとは実にセレブらしい趣味だった。ま、町営ではあるけれ
ど地方のハコモノというのは思いのほか充実しているもので、更衣室もシャワールームもレス
トハウスもちゃんとある。平日とあって少ないのは客だけであった。

 昨日のダッシュや温泉卓球と違って、体力勝負でも器用さ勝負でもない。ブランクのある元
テニス部と現在スクールに通っているセレブ、ソフトボール部に元バドミントンとくればそん
なに差があるわけではない。
 だからさほど勝負にこだわりもないと言ったらいかにも仲が悪そうだが、そうではなく、そ
ろそろ楽しかった旅行も終わりに近づいて、バカやって笑いあえる時間もあとわずかというこ
とを皆それぞれに感じているだけ。

39 :しもやまだっしゅ! ◆0/FKyHtS2M :2011/10/15(土) 16:37:07.37 ID:hbYfD0i70

 普通にかわるがわる練習打ちをして、総当たりでひととおり試合形式。瞬く間に時間は過ぎ
去って、現時点ではやはりセレブがいちばん巧いという結果になる。

 昼過ぎに再び飯田線の乗客となり、長野県岡谷で降り、接続待ちの間に駅前でパスタ屋に入
りお昼を食べた。
 午後のスーパーあずさに乗って新宿まで3時間ほど電車旅。首都圏中央線のラッシュを避け
るようなダイヤで特急が設定されていて、まだ早いようでも仕方ない。これを逃したら帰着が
夜遅くになってしまう。

「ずいぶん空いてるから、座席を向かい合わせるか」
「そうね。混んできたら詰めるとして、じゃ2−3で分かれよっかタイガー?」
「ん。私はみのりんと、北村くんと。竜児はそっちでばかちーに虜囚の辱めを受ける!」
「おう」

 なんだかんだでやっぱりテニスは賭け試合だったわけだが、そんなノリもそろそろ落ち着き
かけて、すこしだけ寂しくもある。

「ねえ……高須くん?」

 東京に向かって走り出した電車のなか。温泉でみんな軽く湯当たりしていたかもしれないし、
けさ早起きし過ぎたのもあるだろう。腰を落ち着けると感じるけだるさに竜児も身を任せてい
ると、斜め向かいの亜美が話しかける。

「おう」
「楽しかったね♪」
「楽しかった。川嶋も幹事ごくろうさん」
「うふ、趣味みたいなものだから仕切り回してると楽しい。高須くんの掃除と同じだよ」

「そっか。そう言えばさ……『大橋剣友会』ってどこにあんのかな?」
「うん?あー。最近できたんじゃない?」
「スーツアクターっていう進路はちょっと選びたくねえ気がする」
「特撮番組とか、ヒーローショーとかね。けっこうな肉体労働だからね」

 あ、でも家族連れを喜ばすっていう仕事だから向いてるかもよ?

「だめよー竜児。自分ちのこどもに怖がられちゃうよ〜?」
「……確かにパパ悪もんって引かれ続けるのはねえ〜つらいか〜ぁ」

「大河の場合はやっぱアイドル系……は無理っぽいか」
「アイドル系……女子プロレスラーとかね。いずれ鬼嫁キャラってか〜んじ♪」
「はぁ〜〜眠むぅ……」

 ノリツッコミの誘いも眠気には勝てないみたいで不発。これが日常に帰るということ、と分
かってはいても去り難い。名残りは惜しい。

「まあいっか♪ねんがんのタイガーすりすりもどさくさにできたことだし」
「黒歴史になるんじゃねえの、それ」
「……いじめないでよ」

 通路を挟んで向かいのボックスでシートに埋まって居眠りを決め込んだ大河がふふんと鼻を
鳴らした。聞いてないふり、らしい。

40 :しもやまだっしゅ! ◆0/FKyHtS2M :2011/10/15(土) 16:37:50.43 ID:hbYfD0i70

「やっぱりきょうだいがいる、いないで違うのかな?どう、実乃梨ちゃん?」
「んーーそうだねえ?ウザさと近さと……まあ両方あるよ」
「何の話だ?ととぼけるのもわざとらしいな。うん、おれもそういうのは分かる気がする」
「大河も俺もひとりっ子だしな。あ、川嶋もか」
「そ。それでだからかもしーれないっと♪」

 竜児には、この世話焼きな友人の思いもよくわかった。みっともなく、バカで汗くさくこど
もっぽく過ごせる時間が、この先の自分たちにどれだけ貴重なものとなっていくのか。それを
ひと足早く見つけ、導いてくれたと思う。――同じ道の、少し先を行く。いつかの彼女の言葉
も単なるカッコつけではない。
 それでも独りきりではいられない、と思うのだ。

 あ……そうだ、高須くん。着いたらうち寄って行ってね?……ん?いいけど何でだ?……亜
美ちゃんに5キロもブツ運ばせんのかよふたりで持って帰れよ……それってひょっとして。

「まつざかさん?」
「うん。約束通りあげる……っていうか友達いるだろ食えって押し付けられて困ってたのよ」
「約束ったって、俺勝負に勝ってねえぞ?」
「それはそれで済んだじゃん。タイガーとした約束のほうよ。ほらっ?寝たふりしてんじゃねーってのっ」
「えへへへへへへへ」

 むくりと半身を起き上がらせた大河。

「なんだよ、出来レースってことかよ?」
「いやまあ、くれるって言うし。じゃあ竜児にどうにかしてもらって美味しくいただこうと」
「あたしもカッチンコッチンの肉なんてどうしたらいいか知らねーし」
「おう。で、ひと塊?そうか、解凍に中一日くらいかかって……?」

 カットもしてってことになると一度に食べきらないと悪くなるな。手作業じゃそんなには薄
く切れねえから、やっぱすき焼き、ステーキかローストビーフ、カレーかシチューは松坂牛じ
ゃもったいなさすぎだな?竜児は目まぐるしく手順を考える。

「北村、櫛枝。あさって以降のどこかでさ、俺ん家ですき焼きランチやらねえ?まだ暑いけど」

「すき焼きかぁっ?この残暑厳しき折にっ……あ、でもビール美味しそう♪乗った!」
「俺は文句なんかカケラもないぞ?暑い中で鍋、いいじゃないか!口福きわまる」
「タオル持ってって汗かきまくって食いまくってやるぜっ」
「着替えとかいるかもー?」
「ね、ね、竜児。しらたき抜きでね、ねぎ多めのつゆだくで」
「あれは煮詰まったあとが美味いんだぞ?」

 名残り尽きないなら、もう1ラウンドあってもいいじゃねえか。

 電車は夕暮れに新宿に着き、乗り換えて大橋へ。程なくして楽しかった旅行は終わった。


 ****


 後日。
 事の発端となった大橋駅裏のこじゃれたカフェに逢坂大河と川嶋亜美がとぐろを巻いて茶を
喫んでいた。夏休みとはいえ、お互いそうそうヒマを持て余しているわけでもないのだけれど、
なんとなく付き合ってやるわみたいな態度で時間を作っては顔を合わせている。

 居心地のいいこの店に高校時代の二人の担任が常連客であると知ってからも変わらずに足が
向いてしまって。……もっとも、前のようにヤバめな話題は、始める前に辺りを見回してから、
という変化もあったにはあった。

41 :しもやまだっしゅ! ◆0/FKyHtS2M :2011/10/15(土) 16:38:40.98 ID:hbYfD0i70

「昨日のすき焼きステーキ、美味しかったねー。半年も凍ってたら味落ちてるかもとか思ったのに」
「竜児がいろいろ調べて工夫してたよ。解凍は5度以下でゆっくりがコツなんだって」

 亜美が大橋で暮らし続けている川嶋家の冷凍庫は、専用の独立した業務用ストッカーで伯父
の友人知人からの贈答品――釣った魚介やら撃った獲物やら生産した食肉やら――を長期保存
するために用意したスグレモノだった。
 それだけに竜児の価値感からは宝物庫も同然で、ゆえに半年以上も底の方でマイナス30度
の眠りについていた松坂牛もその品質を保ったまま食卓に上ることができた。ついでに新巻鮭
とか身欠きニシンの極上品なども持たされて、大河も、あんな溶け落ちそうな竜児のニヤケ顔
をそうそう見たことないと語る。

「甘めのと、あっさりおダシっぽいのと、鍋ふたつ作ったのも驚いたよ」
「あーあれ?ワリシタの味どうするか意見が割れてね、ああなった」

 竜児は半解凍状態の塊肉をさばくにあたり、表面の若干酸化が進んだ部分をまず削ぎ落して
からステーキ分をカットし、それからすき焼き用のスライスを多少ぎこちなくも綺麗に切って
みせた。
 来客が訪れる前に家族だけが見ることのできた『カッコいいポーズ』に大河が内心はぅはぅ
したのはまあ、公然の秘密だ。

 ちなみに竜児のことで削ぎ落しも棄てたりしなかった。今朝がた煮詰めたすき焼きの残りと
共に牛丼となって大河にしらたきの旨さをこれでもかと知らしめた。

「でもおかげで飽きなかったし野菜もたっぷり摂れて、やっぱあんたたち食べることに関してはプロだわ」
「うん。もっと褒めてもいいよ」
「くいしんぼー」
「それ褒めてないから」

 ダイエット戦士の一員に復帰した亜美はアールグレイのシュガー抜きで我慢しつつ、あから
さまにカロリーオーバーな昨日のパーティーを回顧。走らなきゃなぁ〜と痛感はしても、あん
なに美味しい思いができるのなら盆暮れにいつも冷凍庫からあふれ出そうになる高級食材を貰
い受けてちょくちょくプロの家に届けようと思っていた。

「ゆりちゃん、今日は来ないかな」
「あたしらは夏休みでも、せんせはお仕事あるもんね」

 いちおう、電話だけでなく会って報告を兼ねたお礼を言おうと待ってはいるのだ。名物にう
まいものなしでみつくろった手土産も用意して、でもわざわざ訪ねるほど他人行儀でもなく。

「やっちゃんがね『しばらくお肉いらなーい』って言ってたから修行僧のようなご飯が続きそう……」
「なに食べたってあんたは美味しいんでしょーが。あっ、先生だよ♪」
「あらっ、こんにちは。……どうでした?伊那谷」
「こんにちは、せんせー。景色のいいとこでした。はいこれお土産です」
「あ……ありがとね」
「お料理は本格的だし、お湯もいいし。さすがに先生は旅慣れてるって竜児も言ってました」

 ふっ。

「旅慣れるものよ……とくに独り旅にね……」

 あれっ……?大河と亜美は思わず顔を見合わせる。

42 :しもやまだっしゅ! ◆0/FKyHtS2M :2011/10/15(土) 16:40:04.28 ID:hbYfD0i70

 たしか大元の旅行企画を通じて、そこの営業さんといい雰囲気……?のはずだったと思うけ
ど……え?こんなに早々に?ふたりの怪訝そうな空気を察して、恋ヶ窪ゆり(32)は明るく笑っ
て見せる。

「ええ〜。人生山あり谷ありですってば。……妻帯者でしたあ。ま、よくある話ね」

 (どどどうしよ?痛いよばかちー)
 (痛いね……けど)

「なんとなく突っ込んでもいいようなので敢えて火中の栗を拾いますけど……と、10日くらいで?」
「そんなにかかりませんよ私くらいになると。あの日麻雀打ちに行ってそく判明」

 いちいち気落ちしていられませんって。ええ。あ、ウェイターさあん、いつものシナモンテ
ィーくださいなー。仕切りの鉢植えの向こうのいつもの席、いつものオーダー。でもテーブル
に置いた手は小刻みに震えてもいて……。

「先生、先生っ。だいじょうぶだからっ」
「逢坂さん?だいじょうぶですとも。ははっ……きちんと清算しましたから。あはは……」

 せ、清算って?……きっと麻雀のことね……。

「ええっ思いっ切りかーっ剥いでやりましたあっ。あーーっはっはっはぁ〜あぁ〜〜んん〜(TT)」



 〜おしまい〜

==========

これにてとらドラ!メイツの仮想温泉旅行終了です。
BD-BOX発売を祝って30分1話分くらいの詰め詰めに賑やかな話を見たくて、
それなら切なさのもうない旅行がいいなあと。

筆力の足りなさでパロに助けてもらいながら何とか寒くなる前に書き終えられました。
キャラの改変や脱線が気になった方、なんのパロか分からなかった方、すんませんでした。
あとゆりちゃんにはオチに使ってまじごめん、と。

読んでいただいて本当にありがとうございました。

>>32
大正解w

43 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/15(土) 22:08:15.54 ID:QY+zYMaZ0
しもやまだっしゅ!乙です。虎肥ゆる秋の話題が前スレで出て「そうか〜大河のお腹が二重の意味で膨れ始める時期か〜。」なんて思って書いたSS
多分書き方でどこの誰かはわかるはず…。


すっかり残暑も落ち着いて涼しくなり10月に入った頃、大学2年になった逢坂大河は彼氏の家でゴロゴロしていた。
人は「喉元すぎればなんとやら」のことわざ通りケロッと忘れる生き物のため彼女は少しふっくらしていた…。

「ふぁ〜あ、食べたら眠くなちゃった…。竜児も早く来て一緒に寝ようよ。」
「洗い物が終わったらな〜。それと大河、食ってすぐに寝ると高3の時の二の舞になるぞ〜。」

忠告をするのは逢坂大河の彼氏である高須竜児。傍から見れば神戸や名古屋にいらっしゃる「ヤ」の付く稼業の人と思われるが、普通の大学生だ。
この2人は過去に色々あって告白して付き合う前から半同棲状態でご近所さんだった過去も有るため、見た目は夫婦にしか見えない。

「うるさい。あんたは犬なんだからご主人様を暖めなさい!」
「その言い方久しぶりだな…。まあ大河が風邪こじらせるのも嫌だから言う通りにしますよ…。」
「うん。それでいい。」

何を偉そうに…。と思いつつこうやって大河の笑顔を見れるのは幸せな事なんだよな…。
と思い自分の身を大河の傍らに横たえ2人して見つめあう…。
いつだったか「俺は龍だ!龍として大河の傍らに居続ける!」と言った、そしてこの傷ついても弱い素振りを見せられない虎が心安らぐように
「虎の居場所になり自分のとぐろで守る。」と誓った。そんなことを思い出し大河を抱き寄せうとうとと秋風に包まれ眠りに落ちる…。

「ぅじ…りゅうじ…。」
「ん…。大河か?今何時かわかるか?」
「今は3時半だよ。」
「おう、大河が妙に温かくて寝心地よかったのかもな…。これから寝るときはそうするか?」
「エロ犬…。」
「うっ、仕方ないだろ。本当の事を言ったまでなんだから!俺は洗い物やるから大河はTV見てていいぞ。」
「も、申し訳ないわね…。」


44 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/15(土) 22:16:15.00 ID:QY+zYMaZ0
そして大河がTVをつけ15分くらい経ったころだろうか…。
『季節のお便りです。こちら熊本県の農園では栗拾いに来る観光客で…。』

「ねえ竜児、栗ご飯食べたい。」
「おう。おまえ本当に体重大丈夫か?まあ栗拾いは行ってみたいよな〜。」

洗い物を終えた竜児は居間に戻って、虎の横に座り一服し雑談中。

「でもな〜、大抵こういう所は山の中で駅からも遠いしな…。」
「ねえ、竜児。来週栗拾い行こうよ!」
「え!?いやいやまてまて大河。お前俺が言ってた事聞いてたか?」
「うん、大丈夫。近場でいいところ知ってるから…。」
「じゃあ今回は大河に任せるか…。」


そして1週間が経ち…。

「おい。大河ここ?お前の部屋だよな…。ここで栗拾いって言われても…。まさか準備してなかったってオチじゃないだろうな?」
「違うよ。今日はお父さんとお母さんが出張で弟も居ないからさ…。クリ拾いするんでしょ?」
「え、ちょっと待て大河。俺をベッドに押し倒してどうするんだ?まさか」
「ね、竜児?クリ拾いするんでしょ?早くして?」

竜児の視界に入るのは筋の入ったパンツのみで…。

「すまん大河。理性がもう駄目だ…。」
「え?ちょっと竜児?押し倒してどうするの?」
「え〜いクリ拾いじゃあ!」

ペロペロアンアンペロペロアンアン

「ねえ竜児?私は松茸食べたい…。」
「エロ犬散々言ってたのに今じゃエロ虎だな。」
「うるさい!早く食べさせろって言ってるでしょ!」
「大河!?ちょっと待てゴm…。」

ギシギシアンアンギシギシアンアン


45 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/15(土) 23:06:34.38 ID:8p1XT4XP0
最後の方のゴリ押し加減にクソワロタwww

46 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/15(土) 23:28:25.94 ID:yUH4BBcxO
>>42
完結乙!面白かった!

47 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/15(土) 23:58:32.78 ID:7Xnv6CB/0
>>42
賑やかで楽しかった。前にも思ったがゆりちゃん書くのうまいなw
連日の投稿と完結乙でした! GJ!

>>44

大河「レーズンも……」ペロペロ

48 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/16(日) 11:53:55.10 ID:l+SpIcIUO
無理矢理すぎワロタwwww

49 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/16(日) 13:11:08.79 ID:aeHiwwwP0
「クリ拾いに行ったら小豆拾っちまった」
「・・・私だって松茸狩りに行ったらエノキしか見つからなかったわよ」
「 _ト ̄|○ 」

・・・なんて言うかすまん

50 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/17(月) 00:41:43.75 ID:KUy4JGTW0
>>42
長編、乙〜

>>44
ワロタwww

51 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/17(月) 00:43:21.70 ID:KUy4JGTW0
下げ忘れた

52 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/17(月) 01:56:26.10 ID:3F8f3S1v0
スレを上げたことなんか気にするな、>>49 がこれ以上ないほどシモに振ってるから(w

53 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/17(月) 18:39:18.70 ID:8bk4BKhsO
>>41
竜児のケツがみんなに見えてたって事は大河には…ゴクリ
>ひょっとしてこいつら使用していない平面を残したらもったいないという宗派に帰依しているんじゃないのか
めっちゃワロタw自分も帰依してるわ
2人きりじゃなくて5人で見るオリオンもまたオツなもんですな。星へ行く船は名作よなぁ

超力作乙!楽しかった!
すきやき食いたくなったから食ってくる

54 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/17(月) 23:59:16.79 ID:bHPZ8Ndt0
ここロム専が多そう

55 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/18(火) 00:15:21.03 ID:eAdhYfoO0
>>54
ごくたまに書く程度の書き手だけど、ここはよく感想レスくれるほうだと思うがなあ
逆に個々人の好みに合わなくても、わざわざケチつけられたりしないから居心地が良いよ
あと丁寧に感想書いてくれるのは書き手兼任の住人だと思っているw

56 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/18(火) 00:43:18.79 ID:RwwsSpEi0
普段から書き込みが少ないってことじゃ?
まとめサイトのカウンターを見るに、減ったとはいえもっと人がいるのは確かなんだがなー

57 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/18(火) 23:51:11.14 ID:pXBJ5le70
大河の個人スレないの?
このスレでほっぺた舐めたいとかおっぱい舐めたいとかほざくのはご法度だろうし

58 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/19(水) 05:04:28.43 ID:KfJhjZxr0
俺のだと世界の隅々まで睨みつけているヒトがいるからなw
大河のほっぺたつんつんして竜児に嫉妬させたい

大河スレは3月に落ちたっきりだね

59 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/19(水) 10:26:31.63 ID:VLMfTmkkO
普段ロム専だわ
月一回くらいは感想も書くけれど・・・
楽しく読ませて貰ってるよ

>>57
いいんじゃないかな、ぺろぺろしても

60 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/19(水) 22:52:18.92 ID:fW1dYnTV0
大河「ギュってしてくれたらペロペロしてもいいよ?」

61 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/20(木) 06:23:06.29 ID:yoUgqaFQ0
竜児「ギュっ」
大河「あん」
竜児「ぺろぺろ」
大河「・・・そこじゃなくて」

アンアンギシギシアンアンッ

大河「走れ速くぅ〜♪」
竜児「それチキチキバンバンだろ」
大河「・・・イアンだわ」


62 : ◆Eby4Hm2ero :2011/10/20(木) 13:47:34.20 ID:6MHO2FKh0
「た〜いがっ」
 親友の声に振り向けば、なぜだかそこにはにんまりとした笑みがあって。
「ゆうべはおたのしみでしたね?」
 ぐふぐふと笑う実乃梨に、しかし大河が返すのはきょとんとした表情。
「はぁ?」
「またまた〜、とぼけても無駄だぜ〜」
「だから、何の話?」
「証拠はあがってるんだよ……そこっ!」
 実乃梨がびっ!と指差した先、大河の首筋には、白い肌に浮かぶ僅かに赤い斑点が。
「見紛うことなきキスマーク!……いや〜、お熱いこってすなあ〜」
 だが大河は動じることなく。
「ああ、これ……蚊よ、蚊に食われたの」
「大河……その誤魔化し方は定番だけど、ちぃ〜っと季節外れじゃないかね?」
「本当に蚊なんだってば。最近は建物の中は暖房が効いてるから、下手すると冬場でも出てくることがあるんだって」
「……ホントに、ホントなわけ?」
「そうよ。大体、竜児が外から見えるような所に痕つけるわけないじゃない」

63 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/20(木) 18:32:40.82 ID:2PEcOMMU0
へそ周りとか内腿とかしたちち(存在するか知らんが)とかw
なし崩しに秋のぺろぺろ祭りなのかな?

64 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/20(木) 22:12:21.41 ID:FmsVghmS0
あえて見えるところに三連星とか付けてしまうのがうかれなんとか

65 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/21(金) 01:14:39.79 ID:cBsCXTsRO
>>62
乙!
大河…自分で「見えないところにはありますよ」宣言してどうすんだ
この後はみのりんの見せてみコールでえらいことになるぞww

66 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/21(金) 03:22:20.15 ID:OBrbZWAT0
ところで上の竜児の嫉妬で思いついたんだが、大河が大学かなんかで知らない男と仲良くしてるのをみて竜児嫉妬→尾行with櫛枝って俺の力ではここまで

オチは竜児へのサプライズのためだったとか…もうここまで考えたんなら書いた方が……しかし新参の俺…

67 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/21(金) 18:39:36.61 ID:hkLJMhc70
新参がなんだ!古参がなんだ!
ここはガチエロ以外の竜虎であればなんだってアリだ!

というわけで、妄想垂れ流しちゃいなYO!

68 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/21(金) 22:27:26.16 ID:OwYjVR0e0
じゃあ横からだが垂れ流してみる。

ギシギシアンアン ギシギシアンアン

「りゅ、竜児ぃ〜」
「なんだ?どうした?」
「お、おく、当たるぅ〜……」

ギシギシアンアン ギシギシアンアン
ハァハァハァハァ……

「おく、当たるよう〜」
「そうか。そうだ!」
「ど、どしたの?」
「宝くじ買ってみるか、大河?」

ゴキバキドカドカ ゴキバキドカドカ

69 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/21(金) 23:37:21.24 ID:t5uQoW+v0
なんというオク違いwwwwwwwwwwwww

70 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/22(土) 00:11:02.94 ID:e0oGsH2D0
これはゴキバキされても仕方ないww
竜虎好きなら誰でもウェルカム妄想ウェルカム!

もう無下な断り方はしないだろうし、性格も丸くなって
またモテはじめるのは確実だからなぁ
竜児一筋な大河的には意に介すことではなくても、独占欲強い竜児は気が気じゃないだろうw

71 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/22(土) 00:40:18.55 ID:EZe5VyOGO
>>68
久々のギシアンネタ乙wwあの体格差じゃ大河も大変だなw

>>70
進学先が違ってた日にゃなあ…
ゼミで遅くなったと聞けば迎えに行っちゃったりとか、サークル飲み会に迎えに行っちゃったりとか
特に何にも無いのに迎えに行っちゃったりとかするんだろうな!
自分が遅い時には連絡メールを欠かさないマメ男って感じもするなw

72 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/22(土) 10:36:28.67 ID:5QBR+zJ5O
竜児はともかく大河は違うとこに行ってまで進学はしなさそう

73 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/22(土) 12:08:16.21 ID:0SyAf9Uv0
逆パターンで、結婚後に竜児の浮気発覚というのも楽しいかも
何ら態度は変わらず赤飯炊き続けたりしてジワジワ追い詰めそうw

74 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/22(土) 19:38:06.34 ID:8dXSELKj0
>>72
目標ができればすると思う

>>73
全然楽しくない件
それとも誤解オチ?だったらスマン

75 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/22(土) 22:02:21.47 ID:KN30S9Rs0
ああ言葉足らずだったね
>>66の逆パターンで、ってことだからもちろん誤解オチです
竜虎の絆を根幹から揺さぶるには本編10巻分のボリューム費やさねば描けないだろう

76 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/22(土) 22:51:24.13 ID:brHq5MYS0
>>71
竜児に虫が付かないようにママのポルシェで毎日迎えに行くのだな
かわいいじゃないかw

77 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/22(土) 23:08:07.99 ID:8dXSELKj0
>>75
あ、誤解オチでしたか
感じ悪かったな…ごめんなさい
竜虎の絆は並大抵の事では壊れないのは歴然としているからこういう妄想も楽しいよね

78 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/23(日) 00:25:46.74 ID:8ZKuMvrb0
浮気で思い出したけど、4巻密会中に嘘をついた竜児はダメ亭主の卵だったね…
ややこしい状態が前提にあるからだが
大河は信じたと額面通りに読んでいいのかな
含みある描写されててどっちとも取れそう

79 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/23(日) 07:43:43.57 ID:kCS+LK1+0
無茶言うなよ。ままごとみたいな「作戦」の間ならともかく、一歩進んでしまえば
恋心は人には言いにくい。大河だって3巻で自分の胸の内を明かさなかった。
それを「俺は何でも話していたのに」となじった竜児が4巻で密会を打ち明けられな
くても、俺はそこに罪はないと思うよ。

大河は信じたけど、あとで旅行中何かあったって気づいたんじゃないか。

80 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/23(日) 08:40:28.78 ID:FUCJa5Xm0
大河「薬飲んでるとき、どこにいたの?」
竜児「自分の部屋の掃除してた」

これのことだよな?
大河に知られたくなかったって事じゃないのか
理由はわからないとかなんとなくとか色々言い訳してるけど

81 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/23(日) 11:04:41.06 ID:hlVja5Ui0
4巻の「作戦」て従前と同じようにままごとめいたものの皮かぶっていながら
大河のサポートはネタ寄りで、回避したい気持ちもこもっていたような気がするが
対して竜児がしたそれは実効性一本やりなのはなんともすれ違いw

深夜のリビング密会は大河が口説いてるみたいな流れでもあるし
あそこで竜児が誤魔化さなかったらどうなっていたろう?
大河は喪失をいいことだと抑え込めただろうかとちょっと思う

82 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/23(日) 11:35:07.52 ID:rKZ2gSXs0
日常生活ほぼ全滅な上、暴力振るいまくりな女にダメ亭主言われたw

83 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/23(日) 18:33:14.16 ID:bGFi3EOy0
監視してんのか
自分らの巣を盛り上げればいいのに

竜児の大河への想いはただの家族愛じゃないよってことを書いてるところだと思うんだけど。
このもやもや感もすげー好きなんだけどねw

84 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/23(日) 22:04:03.52 ID:8ZKuMvrb0
>>80
そうです。責める意味で話題にしたんじゃなかったんだが書き方まずかったかも
なんで嘘ついてまで知られたくなかったかって考えると
外せないポイントだと思うしおいしい場面だなと

>>81
4巻ラストへの予兆みたいな感じになるんじゃないかなぁ…

85 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/23(日) 23:00:42.18 ID:fF2MkiLF0
このスレまだあったのかwなんか嬉しいわ
ブルーレイも出るし、とらドラ人気息長いな
1スレ目からの住人とか居るのかな

86 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/23(日) 23:29:10.92 ID:6vyE7ffaO
結末を知っている今だからこそ、過去のすれ違いネタ反芻モグモグおいしいです
嘘、ごまかし、いいじゃないですかー。二人はそれを乗り越えたんだぜえ(キリッ

87 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/24(月) 01:07:10.60 ID:70sgOrYf0
3巻のラストで竜児は大河への執着に思い至り、家族のようなものと片付けて四半期決算したんだよな。
それで一カ月後の川嶋家別荘深夜に家族愛のカテゴリに入らないごまかしをしちゃって…。
竜児本人はそこを欺瞞だと自覚できなかったみたいだけど、櫛枝攻略戦の手ごたえを得て考えが回らなかったってとこかな。

竜児の場合、奥手やヘタレ系で自覚「できなかった」のか、心中に打ちこまれた楔があまりに深過ぎて自覚即時抑圧に成功してるのか測りかねる。
なんか10巻読むと後者のように感じるのだけど後付けくさいし。
つか自覚しただけで懐にボディープレスされるってどんだけ大河に惚れられてたのかw

竜虎って破れ鍋に閉じ蓋だよね。


88 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/24(月) 05:53:51.06 ID:4PodJ1fR0
>>85
rom専だがちゃんといるぜ

89 :忍法帖導入議論中@自治スレ:2011/10/25(火) 18:33:00.82 ID:oUcMFwo30
最近活気ないなぁ

90 :忍法帖導入議論中@自治スレ:2011/10/25(火) 19:40:47.54 ID:wQyVP9FaO
5スレ目からの住人ならここにおるでw

91 :忍法帖導入議論中@自治スレ:2011/10/25(火) 20:47:49.56 ID:qmxF9Ebx0
>>89
まぁ終わって2年半経つからねえ…
乗れそうなときはロム専なんて淋しいこと言わずに書き込もう
そういうのって伝染しちゃうし、声上げないと風化しちゃうよ、と自戒も込めて

自分は8スレ目くらいからだ
もう少し早く出会いたかったw

92 :忍法帖導入議論中@自治スレ:2011/10/25(火) 23:06:16.00 ID:eZQ+36Ul0
俺も5スレ目だった。スレ見つけてすぐ書き込んだ。

93 :忍法帖導入議論中@自治スレ:2011/10/25(火) 23:58:23.81 ID:czS8+wg20
大河は本編以降、北村写真集に代わって、竜児写真集を作って、ヨダレたらしながら眺めているんだろうなw

みたいなおまえらの脳内お花畑を晒してみるんだ!
さあ早く!恥ずかしがらずに!!

94 :忍法帖導入議論中@自治スレ:2011/10/26(水) 01:15:15.99 ID:mWsCWFUD0
じゃあ、座ってる竜児の後ろあたまに大河がふにょっとおっぱい押し付けて誘惑する話をたのむ。
設定は秋だからちょっと肥えたでもいいし、月に一回の張る時期だからでもいいし、
あまりに可愛がられてホルモン分泌量がチートぎみだからでもいい。

しかし最大の問題はそんな変化をあの竜児が見逃すワケがないってところだ。
「最近おっきくなったんじゃねえの?」
「そうね。そうかも」
これで終わるような気がしてならない。

どうしたら大河のおっぱいが増量して竜児が感動するというシチュを迎えられるのだろう?
お便りまってます。

95 :忍法帖導入議論中@自治スレ:2011/10/26(水) 08:22:41.31 ID:6iDxMeEO0
>>94

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           /.:::::ハ ∧    \::::::::::::::/  {::::/ ̄ ̄\::::::::::/ }:::::::「 ̄
          ∠::::::::::::八 :.       \:::::/   }::j\    /.::::::/ ∧ハ|
           厶イ:::::::::ーヘ            ´/ノ.::::::\_/.::::::/イ  }
            ノイ::/i:::ハ         {:::::::::::::::::::::::::::∧丿
                |/  |::::::|\     , -‐='::、::::::::::::::::::::/
                  x≦ハ| ::\     ー‐.:::::::::::::::::::/
                 / ∨//|  ::::\    `7.::::::::::::.イ\
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            /         >x:::.、   \::::::::::::::::::::{'/////////\

熱膨張…、じゃねえ、言い出しっぺの法則って知ってるか?
もしお前が知らないって言うならまずは(ry

96 :忍法帖導入議論中@自治スレ:2011/10/26(水) 09:42:09.71 ID:euA2s2RA0
ふむ…入浴すれば大河の身長も165センチに…
その世界観だと大概ありだな
よし言いだしっぺ>>95の熱膨張設定をちょっと楽しみにしてみるか

97 :忍法帖導入議論中@自治スレ:2011/10/27(木) 21:54:21.30 ID:4wh1jZPL0
大河の頭の盛り上がりあるじゃん?
あれめちゃくちゃかわいいよな
もし無くなったらアイデンティティ崩壊するくらい重要
何が言いたいかというとヤスGJってこと

98 :忍法帖導入議論中@自治スレ:2011/10/27(木) 22:31:44.92 ID:uN504O8g0
あーひと房強めにクセついてるやつね
いわゆるアホ毛を伸ばすとあんな感じなんだろうと思った
寝るときおさげに編んでるらしいからそれで付いたのかもな

99 :忍法帖導入議論中@自治スレ:2011/10/27(木) 23:44:59.66 ID:ViTyL38UO
The部長のあたりの頃の二人がさ。体育の時間になるたび

「……竜児ー。」
「三つ編みか? お団子か?」
「お団子」
「今日は一つにしような。」
「ん。」

とかやってて亜美に「あまやかしー」って言われてればいいんだよクッソかわいいな!

100 :忍法帖導入議論中@自治スレ:2011/10/28(金) 01:03:20.70 ID:v45+g55+0
>>99
ヤッベー!
すげぇツボったw
なんだこの可愛らしさw

101 : ◆x6jzI2BeLw :2011/10/28(金) 01:10:43.03 ID:VrG7KiSZ0
>>99
いいな、それ。

楽しそうな話題の途中ですが、「シンデレラなんかになりたくない」の続きです。
間を空け過ぎましたwww
8レスくらい使います。


102 :シンデレラなんかになりたくない11 ◆x6jzI2BeLw :2011/10/28(金) 01:12:09.17 ID:VrG7KiSZ0

北村が発した起立の声で始まった2年C組最後のホームルーム。
くすぐったい思いを抱えながら、それぞれは椅子から立ち上がる。
教壇の上からそんな教室を見渡し、恋ヶ窪ゆりは少しだけ胸が熱くなるのを覚えた。
この学校へ赴任して初めて持ったクラス担任。
今はもうバラバラになっている生徒達がC組だったというだけで、集まって来ている。
この先、何年教師を続けるか分からないけど、教師生活の中で忘れられないクラスになったことは間違いなかった。
ゆりの視線がひとりの女子生徒を捉える。
小柄で髪長いその女子生徒・・・逢坂大河はゆりの視線に気が付くと目元を和らげ、ゆりを見つめ返した。
・・・いい表情、するようになったわね、逢坂さん。
すると、まるでその声が聞こえたかのように大河はさも当然でしょうと言うように笑みを漏らした。

「卒業、おめでとう」
着席の合図を待ってから、ゆりは陳腐だが心のこもった祝辞を全員に届けた。
「もう、みんなの担任じゃないけど、こうやって先生のためにみんなが集まってくれるなんて」
うるうるは大げさだが、教師冥利に尽きると自己陶酔気味のゆりのやや長くなり掛けた話を容赦なく中断させたのは春田のひと言。
「センセ、そこ違うって、みんなタイガーが目当てで・・・」
それを言ったらお終いだろという空気が教室全体に行き渡る。
今日は少しくらいゆりの長話を聴いてもいいとクラスの大半が思っていただけに、春田のひと言が水を差した格好となった。
やっぱり、KYな春田だとクラス中が認識を再確認したところで、空気を解き解すべく北村が声を掛ける。
「でも、先生、良くここに集まってるって分かりましたね」
「当たり前でしょ、誰が逢坂さんへ校内立ち入りの許可を出したと思ってるのよ」
「じゃ、ゆりちゃん・・・知ってたんだ、大河が来てるのを」
「ええ、昨日からね」
「ずる〜い!」
いっせいに上るブーイングにゆりはたじろぐ。
仰け反りながらもゆりはブーイングを心地良く聞くことが出来た。
それは、クラスで浮き気味だった逢坂大河がしっかりとクラスに受け入れられていた証だったからだ。
・・・良かったわね、逢坂さん。

ゆりはそんな渦中の大河を教壇の前で、挨拶して貰いましょうと指名する。
わずかに面倒くさそうな表情を見せたものの、大河は素直にゆりの声に従った。
うつむき加減に机の間を歩き、教壇に登る大河。
大河は教室をぐるりと見回し、その視線を竜児に止める。
・・・言いたいこと、あるなら、遠慮すんなよ。
竜児の顔からそんなことを読み取ると、大河はおもむろにチョークを手にすると黒板に正対した。


103 :シンデレラなんかになりたくない11 ◆x6jzI2BeLw :2011/10/28(金) 01:13:04.88 ID:VrG7KiSZ0

10秒後、黒板に書かれた4つの漢字の脇に立つ大河の姿が見られた。
教室中の視線が4つの漢字に集まる。
そこにはセーラー服姿の少女のアイディンティティを表す名前が書かれていた。
大河・・・と。
そして、その上に並ぶ漢字は誰もが見知らぬ物だった。

「これが・・・今の私の本当の名前」
小さめだがしっかりとした大河の声が教室に広がる。
「いろいろ、知ってると思うけど・・・母親に引き取られて・・・変わったんだ、名字」
だから、今の私は逢坂じゃないと大河は言う。
でも、ここへ来て、みんなから逢坂って呼ばれたら・・・急にあの頃に戻ったみたいな気がして・・・。
つらいかったことも、楽しかったことも一度にどっと押し寄せてきて・・・あれ、私・・・うまく言えない。
湿り気のある感情を浮かべながら、大河は表情を崩す。
みんなにいっぱい迷惑、掛けた・・・ごめんなさい・・・そして、ありがとう。
それだけ言うと大河は頭を下げた。

一瞬、教室はしんと静まり返る。
やがて、その静寂を破るような音が響き始め、それが教室全体に広がった。
竜児が叩いた小さな拍手・・・すぐに北村が唱和し、櫛枝、川嶋・・・と手拍子が続き、大きな波になる。
拍手はしばらく鳴り止まなかった。

若干、照れくさそうな大河を教壇に残し、拍手はフェードアウトしていく。
「ありがとう・・・みんな」
紅潮する頬を隠さずに大河は感謝の気持ちをクラス中に解き放つ。
教室中の誰もが胸に温かな気持ちを感じ、高揚した気分に浸り切っている中、「なあ〜」と、またも間延びした春田の声が教室に響く。
クラスの誰もがこの余韻をぶち壊してくれるなよと身構えるのも気づかない様子で春田は言い放つ。

・・・なあ、大河の卒業式、やんね?


即席の逢坂大河卒業式実行委員会が組織され、動き出す。
・・・体育館の片付け、待ってもらえ。
・・・胸のリボン、余りがあったはず。
・・・送辞は誰が読む?
矢継ぎ早に指示を出すのは北村だった。
春田のひと声に、クラスはどよめき、一気に突っ走り始めたのだ。
これには当事者の大河も目を白黒させるだけだった。


104 :シンデレラなんかになりたくない11 ◆x6jzI2BeLw :2011/10/28(金) 01:14:07.04 ID:VrG7KiSZ0

「竜児」
みんなの邪魔にならないようにと教室の窓辺に避難した大河と竜児。
「何だよ」
「何か、すごいことになっちゃったけど・・・」
「いいじゃねえか、あいつらの気持ち、受けてやれよ」
「うん・・・竜児・・・あのね」
窓ガラスへ背中をもたれ、バタバタと動き回るクラスメートを目を細めて見つめる大河。
「おう」
「こんな素敵な結末が待ってるなんて、全然、想像できなかった」
ずっと居場所なんてないなんて思ってたけど、陽だまりにちゃんと座る椅子が残ってたよと嬉しそうに大河は笑い、心持ち隣に並んで立つ竜児に体重を預けた。
それは竜児も同感だった。
不器用で手負いの猫みたいだった出会った頃の大河。
自分もそうだったが、全然、クラスに馴染んでいなかったよな。
北村となにやら話し込む川嶋亜美を視界に入れながら、竜児は思う。
櫛枝もそうだが、川嶋の存在も大きかったよな・・・その点じゃいろいろ感謝はしてるぜ。

・・・竜児と・・・己を見上げる大河の瞳に何でもねえよと竜児は軽く片手を大河の肩に置く。
教室の喧騒を忘れてしまったかのように大河と竜児は言葉も交わさず、クラスメートの騒ぎを眺めていた。


「コホン」
わざとらしい咳払いをしたのは川嶋だった。
「準備、出来たんだけど、高須くん・・・タイガーも」
「ああ、悪いな、何も手伝わないで」
「いいのよ、高須くんにはそんなひまないでしょうから」
意味深に顔をにやけさせる川嶋亜美。
「ほら、大河もぼーっとしてないで」
そう言ったのは櫛枝である。
「みのりん?私、ぼうっとなんてしてないよ」
そう答えた大河だが白昼夢でも見ていたかのように夢見心地な反応。

「・・・ですって、あーみん先生」
これまた、ニヤニヤと笑う櫛枝実乃梨。
「いい加減、目を覚まさせてあげたら、実乃梨ちゃん」
「仕方ないか・・・ね、それは何?」
櫛枝が指差したのは大河と竜児が並んで立っていた真ん中の腰の辺りだった。


105 :シンデレラなんかになりたくない11 ◆x6jzI2BeLw :2011/10/28(金) 01:15:08.16 ID:VrG7KiSZ0

「わ!」
「お、おう!!」
大河と竜児の感嘆符が同時に出る。
竜児の右手と大河の左手はしっかり、握り合っていたのだ。
ぱっと手を離したものの、ばっちり見られてしまっていた。
「いいわね、仲良くて・・・ごちそうさま」
揶揄したような川嶋の声。
「ごっつあんです」
ふざけたような櫛枝の声。
そのまま竜児と大河の前でふたりは笑い出す。

「何気なしに大河、見てたら、なんか手を結び合っちゃって・・・時々、握り返したりしてたし」
「すっかりふたりだけの世界・・・見てるこっちが恥ずかしいわ」

無意識のうちに竜児と大河は手を繋いでいたのだ。
思わず櫛枝たちの前で赤くなる竜児と大河。

気が付けば、あれだけいたクラスメートは誰も居なくなって、教室は静かになっていた。
「あれ?みんなは?」
「もう、体育館へ行ったわ・・・あんた達がそんなだから、みんなそっと出てったわよ」
と、暗にクラス中に見られてたことを示唆する川嶋。
その台詞に大河と竜児の顔の赤みは3割り増しになった。


「さ、行こ」
大河の手を取る櫛枝。
「高須くんも・・・しゃんとしてよ!」
腑抜けた顔してないでと川嶋に活を入れられる竜児。
「お、おう」
そのまま、大河を真ん中に前を行く櫛枝と川嶋の後を追い駆けた。
廊下を並んで歩く、三人を眺めているうち、さっき竜児が感じた違和感の正体がはっきり浮かび上がる。
・・・そう言うことかよ。

「こっちは準備OKだ」
その時タイミングよく、廊下を向こうから歩いて来る北村の姿。

「わりい、始めるの少し待ってくれ」
竜児は急にそんなことを言い出す。
「北村、頼みがある」
そう言うや否や北村の手を引っ張り、廊下を駆け出す。
「ちょ、ちょっと高須くん!」
「竜児!」
「先、体育館へ行っててくれ!」
慌てる大河や櫛枝に竜児はそういい残し、事情が飲み込めない北村を引っ張り、たちまち遠ざかった。



106 :シンデレラなんかになりたくない11 ◆x6jzI2BeLw :2011/10/28(金) 01:16:26.10 ID:VrG7KiSZ0


準主役と実行委員長を欠いたまま始めるわけにも行かず、体育館でやきもきしながら、ふたりが来るのを待ち続ける。
それでも待ったのは数十分だったろうか。

「わりい、待たせた」
体育館へ駆け込んで来る竜児と北村の姿に非難の声が上る。
その声にいちいち頭を下げながら竜児は大河へ近付く。
「竜児!いったい何処へ行ってたの?」
置き去りにされた不満も込めた大河の声に竜児は胸元に抱えて来たビニールに包まれた何かを大河の前へ差し出した。
「これ・・・取りに行ってたんだ」
差し出されたものを受け取った大河は驚きで目が丸くなった。
「こ・・・れ・・・」
「ああ、お前のだ・・・ちゃんと畳んで行っただろ・・・帰って来る日のために」
それは、大河の大橋高校の制服だった。
母親の下に帰ると決心したあの日、あの晩・・・高級マンションの寝室で大河がキレイに畳んで置いて行ったもの。
そして部屋を引き払う手続きの途中で竜児の手に残された、大河の思い出。

竜児が感じた違和感・・・それは大河の制服だった。
卒業するなら、ここの制服がいいだろ・・・みんなと同じ制服が・・・。

そして、今日、北村がこっそりバイクで来ていること竜児は知っており、自宅までの送迎を頼んだのだった。


しゅるりとセーラー服がリノリウムの床に落ちる。
下着姿のまま大河は机の上に置かれた懐かしい服へ歩み寄り、そっとそれを手にした。
・・・もう、着ることは無いって思ってたのに。
大河は制服を胸元に持って来ると、両手で固く抱き締めた。
大事な思い出・・・捨てないでいてくれてありがとう、大河は口の中でつぶやく。
そしておもむろに服に袖を通し始めた。
ブラウスのボタンを留めながら、大河はこの一年間にあったいろいろを倍速再生するみたいに思い返していた。

スカートのホックを止め終わった絶妙のタイミングでノックがあり、櫛枝実乃梨が顔をのぞかせる。
「着替え、終わった?」
「うん」
体育館のステージ脇にあった小部屋で大河は親友を前にして軽くターンして見せた。
「どう?」
「おお、ばっちりだね・・・なんか、ようやくいつもの大河に会えた気がするよ」
セーラー姿の大河も可愛かったけど、なんか転校生みたいでちょっと落ち着かなかったと実乃梨は破顔した。
「あ、これ」
実乃梨はそう言うと手にした卒業生用のバラを形どったリボンを大河の制服へ取り付ける。
そのまま大河から身を離して実乃梨は大河を頭の上から足元まで、じっくり眺め、やや乱れている制服のリボンを直してやった。
「3年C組、逢坂大河さん」
「はい!」
これで完成とばかりに大河を呼ばある実乃梨に気持ちよく返事を返す大河。



107 :シンデレラなんかになりたくない11 ◆x6jzI2BeLw :2011/10/28(金) 01:18:05.07 ID:VrG7KiSZ0

空席が目立つため多すぎたパイプ椅子を減らし、コンパクトに作り変えた卒業式会場。
元C組の誰もが嬉々として作業に励んだ成果だった。
そのC組の誰もが以前の出席番号に戻ってパイプ椅子の脇に敷かれた赤いカラーシートの上に行列を作って並んでいた。
「あ、逢坂さん、ここ、ここ」
大河の出席番号に続く女子生徒が、スペースを空け、大河を手招きする。
釣られるように大河は小走りにその空いた空間へ身を滑り込ませた。

「卒業生、入場」
待っていたかのようにスピーカーを響かせたのは川嶋亜美の声だった。
ステージ下のスタンドマイクの前で宣言していた。
その声につい数時間前にやったばかりのことをなぞる様にみんなが動き始めた。

全員が椅子に座ると川嶋亜美は淀みなく「逢坂大河卒業式」を進行させ始めた。

「校歌、斉唱」
その声にひとりの女子生徒が椅子から立ち上がるとピアノの場所まで駆け出して行く。
大河は懐かしいメロディを歌いながら、合唱がひとクラスだけにしてはにぎやかなことに気がついた。
何気なく振り向いた大河は小さな驚きを味う。
さっきまで空席だった、会場後方の席に何十人もの生徒が居たのだ。
そっと、隣のクラスメートがささやく。
「みんな、逢坂さんの卒業式、出たいって」
知っている顔もあれば、知らない顔もある・・・大河はクラスメートだけではなく、たくさんの人に支えられてたことに胸が熱くなった。

「卒業証書、授与」
メインイベントの声にまた、椅子から立ち上がる男子生徒がひとり・・・北村だった。
「北村が校長役かよ〜」
クラスメイトの突っ込みに俺の辞書には不可能はないと大見得を切る北村の姿。
その北村はステージ上に駆け上がると、一度ステージの裾に引っ込んで、すぐ姿を見せた。
付けひげをあごの下に見せながら・・・。

「・・・似あうと思ったんだがな」
爆笑を誘った会場の反応に北村は憮然とする。
なにせ真っ白なひげはどう見てもサンタクロースか水戸黄門にしか見えなかった。


何てことしてくれるのよ祐作と厳粛な雰囲気をぶち壊した幼馴染に亜美は頭を抱える。
しかし、そんなことにお構い無しに北村は定められたポジションに着き、「卒業証書、授与」と改まった口調で川嶋へ合図を送る。
不思議な物で会場は静まった。
誰もが大事な場面だと思っているからこそ、おふざけもすぐに終了したのだ。
川嶋亜美はうなずきを北村へ返すと、声高らかに大河を呼んだ。

「3年C組・・・逢坂、大河」

「はい!!」
体育館いっぱいに響く、大河の返事。
大きな拍手を背中に受けながら、大河は階段をステージへ上がる。



108 :シンデレラなんかになりたくない11 ◆x6jzI2BeLw :2011/10/28(金) 01:19:41.35 ID:VrG7KiSZ0

北村へ一礼する大河。
北村も極めて真面目な表情で台の上に置かれた用紙入れから一枚の紙を取り出し、読み上げ始めた。
「逢坂 大河 殿  貴殿は間違いなくこの大橋高校を卒業したことをここに証明します。元2年C組クラスメート一同、並びに元クラス担任 恋ヶ窪ゆり」
今日の日付を読み上げて北村は卒業証書を大河へ差し出した。
大河が押し戴く様に手にしたものは生徒会室のプリンターで急遽こしらえた即席の卒業証書。
紙の上半分にはさっき北村が読み上げた文章が印刷されており、下半分の空白にみんなの寄せ書きが書かれていた。
・・・おかえり、大河 バイ実乃梨。・・・大河ちゃん、おかえり^^香椎。・・・会いたかったよ、ずっと、木原。・・・良かったなよな、能登。

走り書きされたメッセージを拾い読みしながら大河は目元が熱くなるのをぎゅっと我慢した。

「急で・・・こんなものしか用意できなかったけど」
申し訳なさそうに言う北村に大河は小さく首を振る。
「ううん・・・最高の卒業証書・・・ありがとう」
ステージ下から響く万雷の拍手を聞きながら北村は大河を見つめる。
・・・ここまで逢坂を変えたのは高須だよなと改めて北村は思う。
その大河はすごく素敵な顔を見せていた。
・・・独り占めは悪いよな。

「高須〜!お前もステージに上れよ!!」
北村は叫んだ。

なんで俺がと言う顔で竜児は背中を押されるようにステージに上る。
成り行きで大河と並んで北村の前に立つ竜児。
そんな竜児に北村は言い放つ。
「高須・・・逢坂へ何か、言ってやれよ」
「・・・その、なんだ・・・卒業、おめでとう」
「うん、ありがとう、竜児」
戸惑いながら言う竜児の祝辞を大河は嬉しそうに聞く。

結果的に北村の過剰サービスを引き出したのはそんな大河の笑顔だったかもしれない。


「・・・高須」
「おう、何だよ?」
「高須は逢坂と将来を誓い合ったんだよな?」
駆け落ち騒ぎまで起しておいて、それは無いなどと言えるわけも無く、竜児は北村の言い分を認める。
「逢坂も異存は無いよな?」
もちろんと大河は間髪を入れずに同意する。

北村はうなづくとステージの外へ向ってある提案をし始めた。

「き、きたむら〜!!」
「き、北村くん!!」
その内容を聞いて仰天する大河と竜児。

北村はこう言ったのだ。

・・・せっかく、みんなここに居るんだし、二度と離れないように誓い合ってもらおうと思うんだ、ここで高須と逢坂に・・・さ。

竜児と大河の抗議は大きな賛同の拍手に却下された。



109 :シンデレラなんかになりたくない11 ◆x6jzI2BeLw :2011/10/28(金) 01:21:33.37 ID:VrG7KiSZ0

拍手が鳴り止むと、さっきピアノを弾いていた女子生徒が雰囲気を盛り上げる様にアドリブで曲を奏で始める。
慌てた様に進行役の川嶋亜美がマイクに飛びつく。
「高須竜児、逢坂大河、両名による誓いの儀式を始めます」

それを受けてステージの上で北村はまず高須からと竜児を促した。

引くにひけなくなった竜児は横を向き、大河を真正面から捉える。
「急にこんなことになっちまって・・・何にも考えてねえ・・・本当なら気の効いた台詞でも言ってやれればいいんだけど・・・思いつかねえ」
そこで竜児は一呼吸置いた。
「あん時・・・川の下から言ったことは嘘なんかじゃない・・・今すぐは無理だけど・・・絶対、いつか叶えて見せる・・・だから・・・その・・・ずっと側に居る。大河、お前の隣に」
やや照れを見せながらも竜児は言い切った。

次は逢坂だと北村は小声で大河に言う。

大河は一瞬、竜児へ視線を向け、すぐ目を逸らし、出来るだけ竜児を見ないようにして口を開いた。
「嫌だって言っても私の隣に居ていいのは・・・竜児だけだから」
それだけ言うと大河は真っ赤になってうつむいてしまった。
「みんな、聴いたな?」
北村の問い掛けに大きな歓声が応える。
大河は少し顔をくしゃくしゃにしながらクラスメート達から気持ちを受け取った。

「2年C組、全員が証人だ・・・高須、逢坂・・・今の台詞、忘れんなよ」
歓声が静まるのを待って北村はふたりに念を押す。
「おう」
「もちろん」
竜児と大河の声が重なって体育館に響いた。




司会進行役の川嶋亜美の声が続いている。
誓いの儀式に先立って竜児と大河のプロフィールをゆったりとした口調で読み上げているのだ。
式台の上で大河は誰にも気づかれないように竜児に目配せをする。
・・・何だよ?
ささやき声で答える竜児。
・・・卒業式・・・ばかち・・・くっく。
小さな含み笑いを見せる大河。
・・・だな。
竜児も同意する。

それはたった今、流暢に進行役を務めている川嶋亜美の過去の失態を思い出したせいだった。
あの時、体育館で北村が急に予定に無い竜児と大河の誓いの言葉とやらを入れてしまったため、不意を撃たれた亜美は台詞をわずかに噛んでしまっていたのだ。

・・・誓いの儀式が・・・ちゅかいのぎしき・・・だったもんな。


今回はここまで、です。
なんとか完結させないとw

110 :忍法帖導入議論中@自治スレ:2011/10/28(金) 05:58:32.61 ID:KbI16OsiO
キッズでやってるとらドラ見てるけど懐かしいな…
ちょうど3年ぶりだよ
リアルタイムでは後半からしか見なかったから大河の世話焼く竜児が懐かしくも新鮮
AT-Xでは緋弾のアリアも始まってるし

111 :忍法帖導入議論中@自治スレ:2011/10/28(金) 22:43:13.15 ID:vgURhBS90
>>109
シンデレラきたー!乙です!
皆ノリが素晴らしいなあ。北村と大河のシーンにぐっときた
一番最初から二人を見守っていたのは北村だもんな
しかし、恥ずかしいカップルだw
ゆっくりでも全然おkなので完結待ってます

112 :忍法帖導入議論中@自治スレ:2011/10/28(金) 23:46:52.72 ID:tq2YrivqO
>>109
乙!
なんか今回すごく読みやすかったよ。文章修行でもされたのだろうか
春田のずっこけもみんなの気遣いもいいなあ。ゆりちゃんの眼差しが暖かい。
アニメラストで置いていった制服をこんなふうに使うとはやるねー。
北村のヒゲも亜美のトチリも可愛かった。
完結をのんびり楽しみに待ってます。

113 :忍法帖導入議論中@自治スレ:2011/10/28(金) 23:50:30.87 ID:pf0pawuR0

青くて純でムズムズするぜw

114 :忍法帖導入議論中@自治スレ:2011/10/29(土) 22:30:27.54 ID:dSFof6rB0
>>1のAAが変わったことに今頃気付いた
かわいい

115 :忍法帖導入議論中@自治スレ:2011/10/30(日) 06:39:28.78 ID:nZKnDxD40
ねんぷちAAもできてたよ。かわいい
竜児のねんどろ出ないかなー…

                      ____
                     _(__  -=ミ 、
                 .  ´       ̄`  、ヽ
             / ´  /    、   \ \
                //    ,′    :.  .   ':,  ,
              ′   .::      :.  :.     '
             ″    .:.:{       .:.}  :.:.  :. ',: i
           i!{    :i .:.:',      .:ハ :i:.:.  ハ.:i: !
           |い、 人.:厶.:.、  :/ー|_人ハ/.:.:. i:|: :、
              从  '〈 ィ'7う心|\/ィf〔_ハYY.:.:.:i:从:.:.:.:.、
           〃 、\ .:.、、辷ツ    辷シ / .:.:人  \:.:.:ヽ
         ,″ .:ハ:.ヽ ゝ、'''  _'_  ''' 厶イ.:.:.:.:...  〉.:./
           /.:.:/ /:ヽ.:.:V≧=‐--‐=≦∨ .{;.:.:.:.:.:.:.∨ :/
         . .:.:′ ,.′ .:}.:.:{:::::7く_>=く::',:::リ .:.:.}:.:.:.:.:.:.:.{.:(
          i .:.{ /   .:/.::.小/ ∧'ー':::::V .:.:.人:.:.:.:.:.:. :、:.ヽ
          |.:.:.レ′.:.イ.:./.:.i厶イ_/...:::::::::{:.:./.:.:.:.:.、:.:.:.:i }:/
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        ノ人 :.:.い:.:∧.:./.:,′ .:i .:i ::.〈 人.:.〈  :.:.从
          \〉У j/.:/  ,::::! :l: ::. :.、 \〉 У
                 `^'¬‐'-r'┬'ーr‐'^´
                  「 ̄| 「 ̄|
                      }:::.| l:..:: |
                      辷ラ 辷'フ

116 :忍法帖導入議論中@自治スレ:2011/10/30(日) 17:18:56.23 ID:sLwVrc2B0
「ただいまぁ」
「おうお帰り。買い物ごくろうさん」
「へっへっへっへ」

 大河は買い物袋から取りだしたカボチャをぐいっと突き出し得意げに高らかに。

「トリック?オアミート?」
「お菓子じゃねえのかよ。今夜はちゃんと角煮だよ」
「もちろんお菓子もね」
「カップケーキ焼いてある。つかエコバッグ使えよ」
「やたっ。甘い匂いすると思ってたんだ」
「メシはまだかかるから先に食うか?なら出すけど」

 ほーい。上がり込んだ大河は竜児の背後を通ってすたすた手洗い&うがいへと。

「で、肉や菓子が出なかったら悪戯すんのか?」
「もちろんよ」
「……何するつもりなんだよ」
「そうね?竜児のふとんにもぐりこんでいろいろと辱めを……あっ!?ちょっとケーキ返しなさいよっ」
「そういう悪いことする子には菓子も角煮もあげません」
「わ、分かった。じゃあ……」

 しかめっ面でちょっと考え込み。

「おやつくれて夕ご飯も角煮だったら悪戯もしてあげるから。ね?」
「食ってよし」


〜おしまい〜

117 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/30(日) 23:50:25.15 ID:j7NbqCkA0
>>115
あらかわいい!小突きたい

>>116
28282828
悪戯する所の詳細なSSはまだですか

118 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/31(月) 22:25:12.79 ID:rBhWtmDMP
t

119 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/31(月) 23:18:19.82 ID:obWxomqg0
>>116
ミートてwwww
大河からは塩辛いカボチャプリンを差し入れたと妄想しておいた

120 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 01:55:24.16 ID:734nrJ7B0
たっぷり悪戯したりされたり終わって、今は抱きあって眠っている頃合いかなw
バカップルもっとやれ

121 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 21:52:14.37 ID:Lyz1j8qi0
>>116
わっふるわっふる

122 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 02:00:15.33 ID:nfqe0SON0
意外と献身的な性質があるよな大河は。
大事な人のためには平気で体を張る。(VS会長戦、雪山でヘアピン拾いに行くetc)
やりかたは非常によろしくないけど、不器用なりの尽くし方に愛しさを感じる。

123 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 02:19:05.31 ID:R9Uoph0MO
>>122
教室で暴れたのも、溺れた竜児を助けようとしたのも入れていいよな
別荘じゃ釣竿ワカメ他の普段絶対やらないようなアホな仕込みもやってる
究極がクリスマスのお膳立てと「ほら行け、グズ犬」
言動からはさっぱり気づかせないけど意外と尽くしてるな大河
まあその分日々の些事は竜児が尽くしまくってるわけだがw
きっとそれでバランス取れてる…のか

124 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 09:35:25.09 ID:yAZVnmKo0
スピンオフの大河も献身的
特に『the end of夏休み』は別離を強く意識した直後だって心情を考えると健気すぎる
竜児の大河への絶対的な信頼感もいいよなあ

大河というと犬呼びが定着している感があるけど、
後半になるに従いほとんどしなくなるよね。多分駄犬呼ばわりはしてないし
「ほら行け、グズ犬」もいつも通りの自分でいなきゃと気丈に振る舞ったからだと思うと泣ける

125 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 22:16:37.01 ID:KWAY0cv30
竜児がクスクスを作って大河に食べさせる姿を妄想。

「何これ美味しくない」
「謝れ!アフリカの人たちに謝れ!」

ちなみに俺は好き。

126 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 23:20:59.06 ID:bi9OjldD0
こんなの見つけた
ttp://gerenuk.crazyphoto.org/2009/02/03/222/

ふと思ったが深夜密会のときのカレーは甘口特製の方じゃなかったのかも。
竜児が大河に大人の味を食わせた日から……なあんてなw

127 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 12:16:39.77 ID:8PJEF0o20
>>126
何コレ旨そうw


目覚める竜児→朝食の準備→大河を起こす→大河キタ――(゚∀゚)――!!
って俺のネタ帳に書いてあったんだけど、何がどーいう事なのかさっぱりわからん

128 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 23:31:06.54 ID:/Mt9qfDf0
大河愛してる



































竜児が

129 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 23:49:50.44 ID:RvxFGOJpO
俺も愛してる
故に竜二に託す

幸せになってくれ

130 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/04(金) 01:09:28.50 ID:WsCH8cew0
11月といえば北村事変月だなあ
前に6巻が全面書き直しになったとかどこかで読んだ時にどう変えたのか考え込んで
『やっちゃんが大河をほんとに養子にもらっちゃう』ネタにたどり着いたことあった
普通養子縁組なら大河15歳越えてるから当事者同士の合意と家裁の許可があれば可能なはずで
この月に大河親父が夜逃げしちゃってたらありかなあ〜とね
大河ママンも母性でなく父権ひけらかす役柄だったからどうも代打ち感が拭えなかったのもあってね

竜児とはアニメ設定のおうし座でも原作設定のうお座でも続柄は姉弟となるわけで
心理的にも恋仲になる必要が減じられてしまうからソフトランディングっぽく幸せかなと思った

戸籍上の姉弟になれて平穏を得るってどうなんだろ?
竜児の部屋を衝立でふたつに分けて狭い狭い文句言いながら笑ってる竜虎も良くありません?
ただそうなると竜児と実乃梨は成就しちゃうだろうしその後のモヤモヤ展開に続きそうでちょっといやかな

131 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/04(金) 01:27:25.38 ID:0GP2Cn1s0
お互いに恋愛感情を秘めてるんだから
いずれ不幸になるだけだと思う

132 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/04(金) 04:33:22.15 ID:0sQT/S1u0
>>130
うーん、束の間の平穏って感じだw成立しちゃったら原作より遥かにドロドロしそうな…
家族への執着のある大河が踏み出せるかという疑問もありつつ、
高須家への憧憬から承諾する大河→これで正しいんだと受け入れる竜児→クリスマスロスト再びを連想…

でも本気で養子縁組となれば、必然的に二人とも本当の気持ちから目を逸らせなくなる状況に追い込まれそうだし
くっつくのが早まるに一票
一転して幸福なクリスマスに

133 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/04(金) 08:27:26.11 ID:Bl3FvU+40
          /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
       /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
       /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : イ: :|\: : : : : : : :ヘ ̄
       |/!: : : : : : : ∧ : : : : : : : : : : : : : : : : : : ∧: |  \: : : : : : :\
        |: : : : : : : l \ヽ: : \ : : : : : : : :レヤ/l ∨   ヤ: : ト : l ̄
         |: : : : : : : |   \l\ヘ\: : : :|Χ| ヤ:リィ'´ ̄ 丁 ヤ: :|ハ: |
          |: : : : : : : |ィ´ ̄`丶、\ \: :|\| ィV ・  ,ノ  ヤ:リ }∨
          И:∧: : Nヘ   ・  `     \!   = ̄ ̄    ゙}/ /  >>128おう、なに勝手な事……! ……え?
           |イヾ∨|  ` ー - ´                f ノ|       違わねえ、大河を愛してるに決まってるだろ!って、何言わせやがる!
          マ .∨                       УV
        ___ヽ ゞ\ ////   ゙  /////  .£
      //::::::入ヘ                     ハ::::\
     /:::/:::::::::::::::::::::ヘ                     /:::::::::::::::\
     /::::f:::::::::::::::::::::::::人                    ,イ:::::::::::::::::::::::::\
     |:::::|:::::::::::::::::::::::::::::::\   ぐ二ニニニ二つ  /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
     |:::::|:::::::::::::::::::::::::::::ヘ:::::`i 、         //::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ
     |:::::|:::::::::::::::::::::::::::::::ヘ::::::ヘ `・ 、       イ /::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::ト、
   __ .|:::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::ヘ::::::ヘヽ 、  ` ‐ ´ __/::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::\
  /  ` ァ-<⌒;::::::::::::::::::::::::::ヘ:::::::ヘ _` ー - ‐ ´_/::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::ヘ
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            /  /:::::::::::::::::::::::::::::::`ー| ○ ヘ:ノ:::::::::::::::::::::::::::/         \:::::::::::::::::ハ
           ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/               \::::::::::::::ヘ

134 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/04(金) 23:35:55.09 ID:7bCK32n60
竜ちゃあ〜ん、お惚気はほどほどにね〜?

135 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 00:34:19.30 ID:nkqIaAzP0
むしろ竜児には積極的にのろけろ
きみはちょっとそっけなさ過ぎな傾向があっていけない
もっと大河のことどんだけ好きなのか言葉を尽くして語ってほしい

↓さあ

136 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 03:18:42.20 ID:L6BMb9hG0
竜児「好きだァー! 大河! 愛しているんだ! 大河ァー!
   闇討ちされる前から
   好きだったんだ!
   好きなんてもんじゃない!
   大河の事はもっと知りたいんだ!
   大河の事はみんな、ぜーんぶ知っておきたい!
   大河を抱き締めたいんだァ!
   潰しちゃうくらい抱き締めたーい!
   心の声は
   心の叫びでかき消してやる! 大河ッ! 好きだ!
   大河ーーーっ! 愛しているんだよ!
   俺のこの心のうちの叫びを
   きいてくれー! 大河さーん!
   クラスが同じになってから、大河を知ってから、俺はお前の虜になってしまったんだ!
   愛してるってこと! 好きだってこと! 俺に振り向いて!
   大河が俺に振り向いてくれれば、俺はこんなに苦しまなくってすむんです。
   優しいお前なら、俺の心のうちを知ってくれて、俺に応えてくれるだろう
   俺はお前を俺のものにしたいんだ! その美しい心と美しいすべてを!
   誰が邪魔をしようとも奪ってみせる!
   恋敵がいるなら、今すぐ出てこい! 相手になってやる!
   でも大河が俺の愛に応えてくれれば戦いません
   俺は大河を抱きしめるだけです! 君の心の奥底にまでキスをします!
   力一杯のキスをどこにもここにもしてみせます!
   キスだけじゃない! 心から君に尽くします! それが俺の喜びなんだから
   喜びを分かち合えるのなら、もっとふかいキスを、どこまでも、どこまでも、させてもらいます!
   大河! お前が掃除は任せて休んでなさいというのなら、やってもみせる!」

137 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 04:20:54.32 ID:AOs8oZj20
「……ひゃっ……うっんっ!」
「大河、暴れるんじゃねぇ」
「そんなこと言ったって……」
「暴れたら危ないだろうが」
「……いたっ! 竜児のヘタクソ!」
「おう、わりぃ……」

「りゅうじ……そんな硬いの無理だよ……」
「お前はわかってないな。これが気持ちイイんだ」
「ふっ……んん! そこ……コリコリ……だめぇ!」

っっていう耳掃除はどーだろう。
ちょっと反省してくる。

138 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 06:40:55.63 ID:mnXHzB/t0
単独キャラスレではないカプスレは、スレッド保持数の圧迫になるので控えてください。
(この板は700〜750しかスレ保持できません)

どうしてもという場合はキャラ総合板の活用を。
http://yuzuru.2ch.net/anichara/

詳しくは自治スレまで
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1319623795/



139 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 08:18:02.55 ID:PFZ0IBYD0
>>137
反省の必要は無い
つ ttp://tigerxdragon.web.fc2.com/index/SS05/319a.html

140 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 08:22:15.07 ID:PFZ0IBYD0
>>138
何事かと思ったら自治厨のコピペだった。

141 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 17:30:33.16 ID:USXrjwBw0

「ほら……よくみとけ」
「う、うん。ゆっくり、ゆっくりやって見せてね、竜児?」
「おう。こうやって沿わせて入れる……」
「んん」
「引いたり押したりしながら……力を込めずに自然に進めていくんだよ」
「あっ、血が……」
「血くらい少しは出るけど、怖がることはねえ」
「う、うん。そだね」
「な。つやつやしてきれいだろ?」
「竜児はすきなの?」
「好きだよ。ほら、くぱあっと開く」
「くぱあ……」

「自分でもやってみろよ」
「うん。沿わせて、入れてゆっくり進める、と」
「そうそう、あまり力込める必要はねえ」
「なんかドキドキしてきたよ」
「慣れが必要だな。そう、そうして入れ切ったら……」
「見てて……ほら、くぱあ」

「な?うまくできたじゃねえか。あっ、中骨棄てんなよ?揚げて骨せんべいにするんだからMOTTAINAI」
「ふう……鯵おろすのって意外に簡単なのね」
「天ぷらかフライかムニエルか、好きなもん作ってやるよ」
「ムニエル!」
「おう」


もはやギシアンですらなくてすまん

142 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 21:41:59.67 ID:NaCnOBCU0
>>136
暑苦しすぎワロタw

>>137>>141
反省とかいらねーから!もっと馬鹿になっていいから!
>>136
暑苦しすぎワロタw

>>137>>141
反省とかいらねーから!もっと馬鹿になっていいから!!
もっと大河のあえぎ声を聞かせろください

143 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 21:44:10.71 ID:NaCnOBCU0
カオスや・・・

144 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 23:00:20.17 ID:4vO9pLiM0
>>142にドジっこ大河を見たwドンマイ!

>>136
竜児さんゲイナー化wキンゲ懐かしいなー

>>137>>141
ニヤニヤしますねニヤニヤ!

145 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 00:46:31.36 ID:YfMZUzoa0

「ね、そろそろしようよ竜児」
「うん?あーもうそんな頃だもんな。でもいろいろと準備がなあ」
「準備か……わたしも手伝うからさ」
「けっこう面倒なんだぞ」
「え、あー、そこんとこはうまく…… 」
「おまえもちゃんと裂け目に指あててうまくクリ剥かないと」
「ちょっと!そ、そんな手つきで?……わかった、なんでもする(//△//)」
「じゃあ今夜しよう」
「やたっ!あ、でも生はやだよ」
「まかせとけって」

高須家の栗ご飯は毎年まぎらわしい


146 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 01:22:46.99 ID:b6Pug2xGO
>>137
>>141
>>145
くそっ!くそっ!!!
毎回毎回鼻の下が伸びてオチで凄い勢いで我に返るwwwww
おまいらの思わせぶりの手腕!

147 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 23:21:26.63 ID:NDwD7v/I0
2828してオチでほのぼのする
弁当を見てくれの冒頭もそんな感じだよなw

148 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 23:28:41.11 ID:HxYtb6nK0
「しちゃうかあ・・・」
「わあ・・・」

ですね。
わかりますw

149 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 23:37:50.70 ID:HxYtb6nK0
いかん>>148は肥ゆるだったw

150 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 23:59:53.70 ID:t4e6ZTwg0
豚毛のブラシとかで丁寧に髪を梳かしてあげたい

151 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/07(月) 00:01:15.00 ID:bqKtVXZ40
>>137  >>141  >>145
俺も波に乗るぜw
だから〜♪好きだと言って〜♪天使になって〜(ry
あと>>95でカキコしたらお前が熱膨張設定で書けと言われたのでw

「え?こんなに入れちゃうの?」
「そりゃそうだろ。ちゃんとしないと良くないし…。」
「で?次は何するの竜児?」
「くちゅくちゅ音がするまでヤルんだ。そうしないとダメになるからな…。」
「わかったやってみる…。」

「できたよ、竜児ぃ…。」
「よしじゃあこっちに来い。俺がこの白いとろっとしたの入れるから全力でイケよ。丁寧にしないと苦くなるって話だから…。」
「うんわかった。」
「じゃあイクぞ。」
「うん!来ていいよ。」
「あ、かき混ぜてると大きくなってきたよぅ…。」

「よしおたまをヌイて冷やしてコンコンやればイイだろ。」
「あ、スゴイ。」
「これが熱膨張だ。大河、熱膨張って知ってるか?」
「熱膨張も何もこれ重曹のおかげじゃない?」
「おう、まあ細かいことは気にするな…。じゃあ。」
「「いただきます。」」

作ってたのはカルメ焼きでした。ちなみに重曹をよくかきまぜないと苦いのはマジですw

「さあ、竜児。糖分補給したし竜児の重曹卵もいただくわね。」
「おう。任せとけ!」
ギシギシアンアンギシギシアンアンギシギシアンアン

152 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/07(月) 00:12:20.07 ID:zW9nU2ut0
いいぞカルメ焼き!かきまぜは素早くくちゅくちゅだな!www
こっちも>>142さんにあえぎ声を贈ろう


「は…はぁっ……はぁっ……りゅ、りゅ……じ」
「おう……」
「熱いよ……」
「当たり前……だろ……」
「はうっ……うううう……そっか……」
「白くて……つるつるだな……」
「やだ……なに言ってんのよ……んあああっ!?」

「ヤケドしちまうぞ」
「したって……いい……はぅあっ?」
「無理すんなよ」
「無理なんて……やっと……やっとこんなに……」
「そうだよな……いままではこんなこと出来なかったもんな」
「そうよ……ああああっ!熱いぃっっ」
 ・
 ・
 ・










「だからもっと落ち着いて食えって。湯豆腐」
「んーーーー。肉ないの?肉っ!」

153 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/07(月) 15:34:46.12 ID:Uxeyklqa0
何のオチがくるかって読み方になってるww
おいしいですみんなGJ!

>>151
ギシアン仕込みまで完璧だw二人ともはりきりすぎや!

>>152
竜児がしどろもどろなのは大河の喘ぎ声によからぬ妄想を働かせてしまったからだと推測
竜児も食ってるからなんてー冷静なツッコミはry

154 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/07(月) 19:14:59.42 ID:wllXr5j20

「お前の欲望って・・・底知れないな?」
「そ、そう言わないでよ竜児。わたしだって・・・。でも、でもね?」
「おう・・・」
「あんたに・・・目の前で抜いてほしいの。わかってよ」
「だってこういうのは、普通お互いが自分のペースでさ、やるもん・・・」
「分かってる!」
「・・・マジなんだな」
「夢だったの。・・・すごく恥ずかしいけど、私がこういうの好きな女だって・・・知ってるでしょ」
「まあな。前にすごいとこ見せつけられたことあるし」


「だから・・・お願いだから。こ・・・ここに抜いて・・・出して」
「分かった。じゃあもっとこっち来い。よく見えるように」
「うん・・・あっ?」


「なんだよ?」
「道具・・・使うの?・・・・・・やだ」
「手っ取り早いしな。効率的だろ?」
「・・・だめだよ・・・それじゃ。・・・指でして・・・よ」
「その方がいいのか?」
「・・・愛情・・・感じるし・・・」
「そっか。じゃあそうするよ」


「んっ!!」
「あ、ああっ!?いっぱい出たっ!ねえ竜児!こんなたくさん」
「おう、好きだろ?」
「好きっ!なによりもう大好きっ!ああもう我慢できないっ」
「まて、待てよ大河ガッつくな。もう一本!」
「すごいっ!すごぅいっ!!」


「はぁはぁはぁはぁ・・・でも・・・裏切っちゃった」
「今さら言うな。俺だって悩んだ末にこうしたんだから」
「私たちふたりだけでこんなことしてるなんて、言えない」
「言えねえよな」
「そうだよね・・・今さら戻れないよね」
「ああ、もう饗宴を続けるしかねえよ。時間だって無限にあるわけじゃねえんだ」
「欲望のまま・・・か。やっちゃん・・・泣くかな?」
「・・・泰子のことはもう考えるな。俺だってこういうの・・・好きなんだよ」




「ほらカニ酢、こっちがマヨ。がぶっと行けがぶっと!お前がチラシ貰って来たんだからな!」
「いただきますっ。タラバの脚肉・・・だーい好き♪」


“大橋駅前新規オープン!『かに大王』オープニングキャンペーン!三大カニ食べ放題”
“お一人様90分¥4000のところ55%OFF!¥1800!!(三日間チケット1枚につき6名様まで)”


155 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/07(月) 22:56:53.77 ID:qGrg6gOFO
やだこのスレぬるぬるする

156 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/07(月) 23:42:30.74 ID:cMNVaY2Q0
>>154
最後の異常な詳しさに笑った。つうかオープン記念セールに
超弩級の食いしんぼが来店してるじゃないか。閉店に追い込まれるぞ(w

しかしこの手の紛らわしい話シリーズは1巻でゆゆこもやってるから、
正統SSとも言えるな。

157 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/07(月) 23:57:32.58 ID:DDiI3j6s0
いいぞもっとやれw

関係ないけど女の子が食べてるところってえろくない?
竜児は自分が作ったものを大河に食べさせるとき
少し興奮しているに違いないと思ってるのはおれだけか

158 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/08(火) 00:06:13.76 ID:l3cA7o3F0
>>157
自分のモノを大河に食わせる、ですって!?
続きは避難所で聞こうか

159 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/08(火) 17:04:55.11 ID:RtdBS6UG0
SS投下した俺が言うのもなんだがこのスレ変態紳士が多すぎなイカ?

160 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/08(火) 23:33:41.03 ID:jeV63+5P0
仕様です

161 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/09(水) 03:37:26.83 ID:3RLjXKMi0
紳士諸君は普段ブッシュに潜んでいるからこのスレは見た目美しい草原なんだよなw
まあ変態ではあるけど一応紳士でもあるのでマジ話が投下されれば皆タキシード着るっしょ

162 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/09(水) 22:39:17.89 ID:C6Yoi9JE0
俺が反省はいらねーとか言ったばっかりに妙な流れに・・・

163 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/09(水) 22:49:19.54 ID:Glk0q12t0
そういうふうにできt(ry

164 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/09(水) 22:56:30.77 ID:MCvpU0ln0
いやいやGJな流れだよ!
美味しい流れに持ってった>>162もGJだよ!

165 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/09(水) 22:57:44.00 ID:v6WpS7M50
>>163

誰が上手いこ(ry

166 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/09(水) 23:43:54.04 ID:sVE7Ixip0
1スレ?かなんかのSSでラブドリンクってのがあるけどあれ好きだったなぁ

大河が媚薬みたいなの飲まされて竜司にガマンできなくなるってやつだけど途中までガマンしててガマンできなくなって好き好きりゅうじ大好き!状態になる大河が可愛すぎる!笑

そういうの書きたいけど今、時間がない。(´Д` )

167 : ◆fDszcniTtk :2011/11/10(木) 00:14:17.46 ID:hO/euWFC0
新作投下

二スレほど。

「冬になったら郵便局に行こう」

168 :冬になったら郵便局に行こう ◆fDszcniTtk :2011/11/10(木) 00:15:04.38 ID:hO/euWFC0
「どうした、大河」

恋人に声をかけられて、少女が顔を上げる。いつもは星が輝くような瞳も今日は力が無く、長いまつげに守られたまま、静かに時の終わりを迎えそうな憂いをはらんている。声をかけた男は問う。なにか困ったことでもあるのかと。

ない、と答えるように首を振る少女。

秋もすっかり深まり、早くも11月。いまひとつ乗り切れなかったハローウィンが去ってしまうと、二人を
待っているのはクリスマスである。

「何も問題がねぇならいいが」

と、男は顔を上げ、ほんの少し空を見上げる。酷薄に眇めたように見える目も、よく見れば優しい光をたたえている。マフラーの季節までもう少し。ジャケットのポケットに手を入れて歩きながら、

「らしくねぇと言えば、らしくねぇぞ」

そんな風に、恋人に優しく語りかける。

「そうかもね」

大河、と呼ばれた小柄な少女もそう呟いて微笑む。二人が付き合いだしてもうすぐ3年になる。あっという間だった。いくつもの年を越えた気がするけど、たった三年。でも、やっぱりあっという間の三年。

いろいろなことがあった。つきあいはじめたころのつらい日々に比べれば、今抱えている悩みなんて何てことはない。

「あのね」

と、少女は歩きながら微笑む。

「どうした」

応える竜児の声はあくまで優しい。

「ちょっと悩んでたけど、決めた。もう悩まない」
「何がだ?」

意味のわからないことを言い出すのはいつものこと。そんな事までが二人の幸福になっている。

「年賀状どうするか、考えてたのよ。でも、決めた。竜児の写真にする」
「俺の写真……辰年かよ」

169 :冬になったら郵便局に行こう ◆fDszcniTtk :2011/11/10(木) 00:16:51.97 ID:hO/euWFC0
ふふふ、と小さく笑う大河の横で、竜児は苦笑。寅年には手乗り『タイガー』こと大河の写真を使ったから、竜児には文句が言えない。

「ちぇ、それで?いつ写真撮るんだ?」
「もう撮ってってあるよ」

ほら、と見せてくれた携帯の待ち受け画面は知っている。いつぞやのバレンタインデーのバイトの時に撮られた変な顔の写真。

「そんな顔使うなよ」
「なによ、いいじゃない」
「いや、よくねぇ。俺は普段もっとましな顔をしている」
「どんな」
「こんな」

と、作って見せた顔に大河が吹き出す。本人は『キリッ』としているつもりだろうが、効果音を選ぶなら『ギンッ』が適切だ。後ろで烏がギャーギャー言いながら飛び立っていく。

「その顔はないわね」
「ひでぇ。じゃぁこれでどうだ」

そういうと、竜児は立ち止まり、大河に向かって顔を作る。今度は大河が腹を抱えて笑い出す。後ろで猫がフギャーッと一声あげて逃げていった。

「なにそれ!」

本人は『ニコッ』としているつもりだろう。しかし、効果音なら『にやぁぁぁぁ』と言うところ。

「畜生。こうなったら意地でも俺のいい顔を」
「いいのよ、竜児」

息巻く竜児の袖を引っ張って大河が笑う。

「よくねぇ。そんな写真ばらまかれちゃたまらねぇ」
「そうじゃないの」
「なんだよ」

不機嫌そうな竜児を大河が少し意地悪に見えないでもない笑顔で見上げる。大河が時折作るその顔が竜児は実は大好きだ。

「あんたがとっても優しい顔するのは知ってる。だけどね」

少し冷たい風が吹く晩秋の夕暮れ。頬を染めて、大河が声を小さくする。

「他の子には教えたくないの」

(おしまい)

170 : ◆fDszcniTtk :2011/11/10(木) 00:19:36.26 ID:hO/euWFC0
「フォとグらフ」の続きって事で。
ttp://tigerxdragon.web.fc2.com/index/SS18/846.html

171 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/10(木) 14:02:55.11 ID:zvLHWYBi0
バレンタインのあの写真は大河にとって特別な思い入れがあるから悩ましい
他の子に教えたくないってことでは現在の方が優越したんだろうね
まーーーなんてやきもち焼きw
他の子もきっとなんでこんな古い写真でって分かっちゃうはずで恥ずかしいわー

タキシードは質入れしてるんでネクタイだけ締めましたw

172 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/10(木) 21:02:31.92 ID:czthNWlL0
>>170
乙!
このほんわかした空気に荒んだ心が癒されていくようだ……。
っていうか、結局年賀状は大河でいったのか竜児www

173 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/10(木) 21:07:09.99 ID:czthNWlL0
>>162
俺が酔った勢いで>>137なんて投下したばっかりに……

174 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/10(木) 23:31:47.66 ID:t5Z6JWCm0
>>170
竜児の写真入りの年賀状w貰いたくないw「他の子には教えたくないの」 が可愛すぎるGJ

175 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/11(金) 03:00:10.95 ID:BcFSAPJx0
>>170
いいなあああ、ラブラブカップルににやけがとまらんw
GJです!

176 : ◆fDszcniTtk :2011/11/12(土) 03:13:57.88 ID:80AY8/TJ0
>>171,172,174,175
コメントありがとう!

>>171
みのりんあたりはにやにやしながら大河に説明を求めそうだな。事情を知らない子は
目をそらすと思うけど(w

>>172
俺の妄想では竜児はめちゃめちゃ可愛い写真を使ったことになってる。でも、たんこぶが(w

177 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/12(土) 22:18:57.15 ID:qHmfmwgu0
田村君は相馬
とらドラは大河
GTはリンダ

まい ふぇいばりっと

178 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/12(土) 23:43:53.39 ID:pcj9dIXr0
こないだから話に上がっている紳士(&淑女)の正装の図をイラストにしてしまったんだが
こいつをうpすべきか否か……(一応修正してるけど18斤な感じ)

避難所なら無問題かな?それともここでもおk?

179 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/13(日) 00:34:33.08 ID:d43AIVCR0
淑女がいるならイヤンな人も居るだろうしここにはリンクのみに一票であります
(紳士だけなら無問題としてすまんw)

>>177
3分の2だけ気が合うなw

180 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/13(日) 07:59:36.23 ID:/yplTTJt0
相馬も松澤もそれぞれ魅力的だし、こーこリンダ選べないし岡ちゃんもかわいくて困るw
でもやっぱり大河・竜虎は別格で好き

181 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/13(日) 09:58:35.14 ID:eA6m7eYWO
中洲ぞゴルァ

182 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/13(日) 12:00:01.83 ID:7oXiADLgO
エロ注意と明記でリンク張っておけば閲覧は自己責任だし、いいんじゃね?w

とはいえ、凌辱系の画像直リンで昔揉めた記憶があるから配慮があれば尚良し

183 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/13(日) 23:01:51.79 ID:+/p1WIcW0
178のうp待ち

184 :178:2011/11/13(日) 23:12:07.46 ID:T3RzNVBW0
避難所にうpしてきました

ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/7850/1256747762/668

一応修整はしてるけどR指定ってことで。
あと、淑女の方はワタクシメの主観100%なので異論もあるかとw

185 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/14(月) 01:32:31.83 ID:y/iSpBWJO
>>184
おい

おいwwwwww

大河はまぁごちそうさまとして、竜児wwwwwwwwレッチリか!
エロ萌えどうこうより笑いが止まらんのだがw
ともかく乙乙!

186 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/14(月) 20:27:18.35 ID:scB9zlTO0
GJ

187 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/14(月) 22:27:05.06 ID:aDErJFT30
>>184
盛大に吹いた! G…J!
紳士の股○が目に焼き付いて、離れないんだがどうしてくれる? www
淑女のハートのぽっ… うわ、やめrくぁwせdrfgtyふじこ

188 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/15(火) 02:15:45.49 ID:imoEYPXk0
哀れじゃない乳・・・だと・・・・・?

189 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/15(火) 08:17:30.43 ID:ofN9tJcI0
>>184

ジャッジメントですの!これごときで変態紳士と変態淑女は逮捕しますの!

190 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/15(火) 23:05:50.76 ID:isYy5pIn0
ツンデレは大嫌いなのに大河はとても好き
なんだろうこの矛盾は

191 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/16(水) 01:18:58.45 ID:yCiw/qf70
矛盾はしてないのじゃないかい?
大河はツンツンしてなくてむしろお人好しの部類だろう

関係ないけど将棋とか麻雀が意外に強そうな気がする

192 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/16(水) 08:25:25.79 ID:lPXMvufW0
竜児は長考型、北村は勘でガンガン責めていくタイプだな。

会長はどっちで攻め込まれても悠然と受けてあっさり勝つタイプ。
実乃梨は「それよりキャッチボールしようぜ」って誘うタイプで、
亜美は「将棋とかわかんなーいそれより高須君亜美ちゃんの水着どう?」とかはぐらかすタイプ。

大河は…「はっ、めんどくさ」で終わりそうだ。

193 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/16(水) 22:48:42.47 ID:i0ZDEiYq0
大河はツンデレじゃないから
広義にはツンデレなんだろうけれど
個人的に[暴君ラブリー]と呼んでいる

194 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/17(木) 00:10:34.96 ID:p2pYP8rT0
個人的になら[得意げ茶虎]と呼びたい
まあ猫より記憶力が格段にあるので聞かれたら怒られそうだが

195 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/17(木) 00:44:53.16 ID:hJHz611c0
大河の暴君は成長要素だからね
律せられるようになったり、不器用ながら竜児を支えようとしたり
芯の部分では他人と距離を置きがちだった竜児も、大河には
クリスマスに大河が噛み締めていたような「心を預けられる相手」を感じていて
一年後には可愛い気質なわがままで激情的で気の強さ、それでいて素直なんだからそらラブリーよ
「この猛々しさ。このエネルギー、この愛しさ」ってモノローグ見ても、竜児はそこもすげー好きなんだろうけどw
ほんとうに良い方向に変わったよね。大河も竜児も

196 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/17(木) 20:16:04.19 ID:mosXJBDg0
大河は虎じゃない
竜児も龍じゃない
両名とも、互いに支えあう 人 だったんだ

197 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/17(木) 22:32:47.95 ID:mutxZ7lAO
いい話や

でも正直原作のアフターでは、竜児の膝で虎猫になっちゃってんだろな
足が痺れてきたのに「寝顔が可愛くてどけられねえ…」とか言われてればいい

198 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/17(木) 22:57:09.48 ID:pOTApeks0
商業出版で、大河っぽい見た目のキャラが登場する漫画、何かない?エロでもいい
SSも同人誌も読み尽くしたし、あとはもうパクリキャラ探すくらいしかないんだ
新たな大河成分を補給したい

199 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/18(金) 00:09:01.58 ID:MbLo2aWw0
>>196

ただしベッドの上では互いに牙をむく竜虎

200 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/18(金) 02:07:57.14 ID:VnvMr1fF0
昨日閉幕したISMLっていう国際最萌で大河5位だったよ
さすが竜児の嫁
http://www.internationalsaimoe.com/

201 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/18(金) 05:09:01.60 ID:MtKy75MB0
暴君のように振る舞いながらその実ナイーブなところが竜児の最も好きなとこだろねw
やっちゃんと真逆k(ry

202 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/19(土) 21:17:54.86 ID:TAfXUOtv0
空気が乾燥しだすと竜児の唇のかさつきが気になって
色々ちょっかいを出すはずだよウェヒヒヒヒwww

203 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/20(日) 07:54:02.21 ID:jRDT81W70
ドラマCDの煽り文句にイラッとするのは俺だけか…
原作厨なのもあるけど、ゆゆこは書かないのにメディアミックスは今になってもおかしな方向に弄っててもやもやする

204 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/20(日) 08:39:19.86 ID:rov7YfHy0
ゆゆこが書いていないのにSSを書いている俺としては何とも言えん(w

205 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/20(日) 09:58:58.50 ID:oFup+MOz0
いやいや、SSとメディアミックスを同列に扱うのは違うだろう
二次創作はファン活動。向こうは仮にも公式の看板を掲げて売ってるんだから

そしてモヤモヤ同意
こうなったら3は原作延長線上を想起させる様な、キャラ崩壊皆無、
誰も入り込めないガチガチな竜虎の絆をかいてくれなきゃな。ちょっとな
というか「とらドラ!」という作品を大事にするなら、1と2にも当然そういう要素はあるはずなんだけど

206 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/20(日) 12:28:35.02 ID:kLW4Gx6g0
「ドラゴン食堂へようこそ」のその後を書いたSSがあったはずだが、
どこのまとめサイトにあったんだか検索掛けても見つからん
アドレス分かる人が居たら誘導願いたい

207 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/20(日) 16:11:49.72 ID:4yD5HbEZ0
>>206
・タイガー×ドラゴン食堂へようこそ
初代エロパロまとめサイトに掲載されていたが、現在403で見れない。
インターネットアーカイブもまとめ前の状態でしか保存されておらず…

・ドラゴン食堂へ嫁に来い!
ttp://tigerxdragon.web.fc2.com/index/SS25/1232.html


208 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/20(日) 19:09:38.31 ID:kLW4Gx6g0
>>207
あー、まとめサイトが消えちゃってるのか……
出てこないわけだorz

情報ありがとう

209 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/20(日) 22:44:01.12 ID:kLW4Gx6g0
>>207
エロパロスレの作品だということで、向こうで聞いて見たら保管庫の補完庫のアドレス貼ってくれた人が居て、無事に読むことが出来ました。
報告まで。

あと、>>207が貼ってくれたアフターも良い味出してるね。多謝。

210 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/21(月) 00:27:23.20 ID:yyTKwTcX0
>>202
毎年それ思うけど、そのネタで過去にギシアン作ったよーな……

「さて竜児、準備はいい?」
「おい、なんだよこの目隠し」
「ここにあるコレ、わかる?」
「いや……見えねぇよ」
「えー?あんたなら嗅覚でわかるでしょ?」
「俺は遺伝子レベルで犬じゃねぇって」
「……まぁいいや」
「なんだよその間は……」
「一つは竜児がいつも使ってるリップクリームで、もう一つは私の。どっちがどっちか当ててみろ!」
「それって結構簡単じゃねぇか?」
「ふふん、そんなこと言ってられるのも今のうちだから。せいぜい吠えるがいい」
「……なんかのボスみてぇなセリフだな」

「じゃ、1つ目」
「おう、かかってこい。伊達に毎年乾燥に悩ん」
ちゅ
「……大河??」
「だ……誰が普通に塗るって言った?それじゃ面白く無いでしょ!?」
「マジかよ!?」
「じ、じゃあ、次は2つ目。呆けてないでちゃんと考えなさいよ」
「別に呆け」
ちゅ
「……なぁ、せめて最後まで言わせろよ」
「う、うっさい。それよりどっちがどっちかわかった!?」
「……」
「……」
「……もう1回、1つ目から頼む」


>>209
参考までに、竜虎スレまとめのトップページにエロパロ保管庫各種のリンク貼ってあるぜ



211 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/21(月) 01:05:47.46 ID:fH+5xFlZ0
>>210
いや、それが登録日時見ると新しく登録してくれたみたいなんだ
>>206を書き込む前にもチェックしてるけどその時はなかったし

212 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/21(月) 07:15:24.34 ID:fw8nzcP+0
>>210
乙!
ちょっかいかけてる大河は元より竜児もちゅっちゅしたいだけとみたw

213 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/21(月) 07:37:43.34 ID:08QsBc170
>>210
これ、嗅覚でわかったら一番がっかりするの大河だろうwww

214 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/21(月) 17:53:48.19 ID:/otRs7M00
>>200
三年間新作無しで上位にランクインしてるのは大河だけか
さすが。竜ちゃんは自慢していい

>>203
恋人に!?って見出しのアレか…
ただまあ、インタビューまで目を通すと女同士の友情メインみたいではあるんだけどね…
第一弾は明後日だっけ。自分は評判待ち

>>210
竜児「もう一回……もう一回……」
ふやけちゃうなww

215 : ◆oLWU/inCrU :2011/11/21(月) 19:25:42.37 ID:wUW9QIm1O
>>210
多分ちゅーしたいだけの大河かわいいよ大河w
いちいち言葉を遮るのに萌える!

この流れで書いてみたんで以下数レスお借りします。甘くなくてすんません



 木枯らし吹き荒ぶ初冬の昼下がり。
 高須家の居間は、参考書をめくる紙擦れとシャーペンの音で満ちていた。
「で、この式に代入するとiの値は……」
「sanguinaryってなんだろ。
 えーっとsanguinary、sanguinary──流血を好む、ね」
「……どんな問題文だよ?」
「え? 古代ローマの戦士が云々っていう……
 竜児、血。」
「おう?」
 愛しの婚約者に指さされ、竜児は慌てて口元に手をやった。
 唇を指で辿ると、お馴染みの痛みがピリッと走る。
「っつ。 切れちまってたかぁ」
「あ、擦っちゃダメ! バイキン入っちゃう」
「おう、そうだな。 俺としたことがうっかり」
 悪化するとわかっていても、つい舐めてしまって血の味に顔をしかめる。
 痛そ、と一緒に顔をしかめて、大河はポーチの中身をひっくり返した。
「えーっとえーっと、あった。
 は〜い、竜ちゃんぬりぬりしましょうね〜。」
「気色悪い声出すなよ……。 遠慮しとく。」
「またまた照れちゃって。 ちゃっちゃとこっちにかがむ!」
「いや、マジでいい。 自分で塗るから貸してくれ」
 恋人の手に握られた白いリップクリームを見るなり、いつかのしょっぱい経験がフラッシュバックしたのだ。
 すすす、と膝で後ずさった竜児を追いかけて、大河もずずず、と間を詰める。
「ほれほれほれ」
「いやいやいや」
「まあまあまあ」
「どうどうどう」
「……。」
「…………。」
「──観念しるぉい!」
 しばしの不毛な追いかけっこの後、雌虎はとうとう獲物に飛びかかった。
「恋人のスキンシップの誘いを断るなんて言語道断!
 黙って唇差し出さんかーい!」
「うおーい鷲掴もうとすんな!? 唇ごともぐ気か!
 だってお前、またうっかりズッポリいったらどうしてくれんだよ……!」
「あんな奇跡のホールインワン何度もあるわけないでしょ!
 わかったわ、なんなら膝枕も許してやろう! 追加オプションで耳掃除も可!
 だからほら、はやくこっちに寝転んで──ひゃーあ!」



216 : ◆oLWU/inCrU :2011/11/21(月) 19:31:33.54 ID:wUW9QIm1O

「…………。」
「……………………。」
「……わ、わざとじゃないよ?」
 裾を踏んですっ転んだ姿勢のまま、大河はそっと目を覆った。
 もともと直視に向いていない面立ちが、ますます悲惨な事になっている。

 すぽん、と無言で鼻腔からリップクリームを引き抜くと、竜児はそれを丁寧にティッシュで拭い、ヤケクソのように唇に塗り始めた。
 メンソールが傷口にしみるのにも構わず、ぐりぐりと。
「り、竜児……?」
 ぐりぐり、ぐりぐり。
 そしておもむろに、大河の肩をがっちり掴んで引き起こし、
「あの、ほんとにごめん──んぅー!?」

 ぶっちゅうううううう。

 唇全体をしっかりぴったり密着させ、あまつさえ上下にもぐもぐさせて。
 思う存分薬効成分を塗ったくりまくってから、竜児は酸欠直前の恋人にようやく息継ぎを許した。
「ぶふぁっ!
 にゃー! 分泌物が、分泌物がー!」
「おうよ。 たっぷり塗り込んでやったぜ……!」
 ニヤリと歪めた唇に、また赤いものが滲む。
「痛ててっ。 あと俺の血もな!」
「なんてこと……! お嫁に行けないじゃないの……!」
「もう来てるからな。」
「そうね。」
 あっさりと普段のテンションに戻ると、二人はいそいそと卓袱台に戻って受験勉強を再開した。
 明日の模試は絶対に落とせないのだ。

「えーっと、この場合は微積を使わずに……」
「“SAMOSとは、satellite antimissile observation systemの略であり……”」
「だからなんでそう血生臭いんだよ、その問題集?」
「私に訊かないでってば。
 ねー竜児ぃ」
「おう?」
「後で、その。 普通に、さ。」
「……お、おう。」

 後日二人は、偏差値と恋愛経験値は反比例しないことを証明してみせ、クラスメイトを大いに悔しがらせた。




 おわり

217 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/21(月) 23:57:56.36 ID:PD2RPqkqO
これで・・・甘くないだと

218 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/21(月) 23:57:58.45 ID:lh8A2h7V0
GJ
十分甘いぜ
本気出したらどうなるの

219 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/22(火) 04:42:59.07 ID:h+6x+96P0
>>216
GJです!
無邪気な可愛いイチャつきと、嫁入り当たり前な夫婦感のギャップが最高に2828
悔しがらせるほど日常的にラブラブオーラを撒き散らしている秀才カップルが目に浮かぶw

220 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/22(火) 05:41:14.06 ID:N1gNEoBD0
>>216
「そうね」で笑った

221 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/22(火) 23:31:37.78 ID:jvTEVn4T0
デートの時、張り切って履いたニーブーツのヒールが高すぎて転ぶ、という妄想をしました
今日も俺の大河は可愛いです

222 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/23(水) 01:58:06.97 ID:QqsHwhRa0
ここで出していい話題なのか分からんけどニコニコでアニメ一挙放送だってさ。どうせエコノミーは追い出されるんだろうけど。
まあDVDあるしBDも予約したしいつでも見れるけどみんなで見るのもたまには悪くないかもね。

ただニコだと大河派は少数派っぽいしここの住民的には微妙か?


あとあんまり関係ないけどこないだヤスさんが絵描いてる漫画発見してちょっとびっくりした。
しかも原作が久米田康治っていう意外な組み合わせ。


>>206
自分もドラゴン食堂のアフター好きだったな。しばらく見ない間に見れなくなったんだね。
ゆゆこは続かないって断言してたけど公式で続編あったらぜひ読みたいw

>>216
GJ!個人的には受験勉強中はあんまり会わないだろうなって勝手に思ってたけどやっぱりバカップルモードも竜虎らしくていいね。

223 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/23(水) 07:22:43.62 ID:gK0OkHlM0
少数派というか…大河派は大人しい人がちょっと多すぎないか?
個人的に正直アニメは受け入れ難くて、居合わせたら声を上げたりしてるけど
自分と同じ原作派の大河・竜虎好きやアニメそのもののファンはいても、アニメの大河を推してる人は滅多に見なくて言われっ放しだよ…
前者のファンの声にしたって少数だし。サブキャラファンはすぐフォローが入ってたりするのに
いないんならどうしようもないが、実際は一番人気・アニメに肯定的な大河ファンの方が大多数なのにな

ニコにしても、アニメ関連人気企画で一番参加数が多いコミュで、4ヶ月程前に行われてた
そこそこの規模のアニメキャラ人気投票でも、大河10位代でとらドラではダントツだったよ
マイリス数も竜虎MADだけ一万越えが二つある
大河メインのOPパロ入れたら五つになるけど、これを入れるのは反則かw
人気は確実に高いんだから、皆がちゃんと声を上げれば空気も変わると思うんだけどな

224 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/23(水) 08:48:57.70 ID:ZEeDfOFN0
ねぇ、竜児。

225 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/23(水) 10:23:28.46 ID:JN8JBNEF0
大河は今年もインターナショナル最萌トーナメント上位だしな

226 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/23(水) 14:17:59.82 ID:QqsHwhRa0
まあ竜虎好きならわざわざMAD作ったり探したりしなくても本編見たり読んだりするだけで十分だからね。
それでも満足できなかった人たちがここを探し当てて書いたり読んだりしてるわけだがw

自分もアニメの大河と原作の大河の比較なら原作の方が好きだけど、アニメもキャラデザの違いに慣れたらあれはあれでいいものだと思ってる。
なんと言っても釘宮さんの演技が凄かったからね。それまで他の作品見たことなかったけどとらドラだけでファンになったよ。

227 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/23(水) 15:30:53.87 ID:ZEeDfOFN0
そうそう、釘宮の演技びっくりした。それまでガッシュと銀魂くらいしか彼女の出演番組見てなかったけど、
こんなに芸達者なのか!と見終わって舌を巻いてた。いや、見てる間は引き込まれてるからさ。

間島もいいよね。口の利き方が悪いけど優しくて、ちょっと理屈っぽい竜児をよく演じていた。

228 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/23(水) 16:07:59.85 ID:JN8JBNEF0
19話の泣きの演技は海外のフォーラムでも絶賛されてた

229 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/23(水) 17:34:47.33 ID:2b4fNHDO0
本編で満足できるのに、二次創作もMADもたぶん竜虎が最多なことからも
人気の高さが窺える。pixivでは一強状態、閲覧数もいまでも一人だけ伸びてるしね
竜児も竜虎絵で引き上げられてるからか、みのりんより高い
自分は生産できないから書いたり描いたりしてくれる方々には本当に多謝

>>221にさり気なく竜児が混じってるw

230 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/23(水) 22:35:23.53 ID:IBwW5RLp0
BDもうすぐだな
全裸待機

231 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/24(木) 19:35:25.33 ID:PS/ZJQu40
いつのまにかドラマCD3の予約始まってたのでポチった
http://www.amazon.co.jp/dp/B0069UP6T0

ゆゆぽの竜虎書き下ろしつかないかなー

232 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/24(木) 23:57:47.08 ID:Nmsk0r260
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
萌え会話多めでありますように

233 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/25(金) 00:09:48.78 ID:YT1IiF200
新作のネタバレも来てるよね
http://ichigo-up.com/cgi/up/qqq/nm44661.jpg
http://www.starchild.co.jp/special/toradora_bd/images/cut1l.jpg
http://www.starchild.co.jp/special/toradora_bd/images/cut8l.jpg

234 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/25(金) 00:38:32.06 ID:a2ECkPtR0
ふむ。美味しくても不機嫌眉なんだw
でも放映中にはなかった表情だね

235 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/25(金) 01:23:36.53 ID:y7ZriAM/0
うおうおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
で何のお話なの?

236 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/25(金) 02:32:58.72 ID:R3idm+630
>>235
233の2枚目がヒント。泰子の衝動買いのせいで食費が足りなくなった高須家のために、
大河がスーパーマーケットの半額弁当争奪戦に参加する話。

2枚目はハーフプライスラベリングタイム直前、3枚目は弁当を
とれずに気落ちして帰ってきたら、竜児がどんべぇを椀に入れて
卵を落としてくれたことに感激している。ところ。

いただきます。

237 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/25(金) 04:21:51.59 ID:a2ECkPtR0
狼vs虎たぁ〜東映まんが祭りみたいで見ものだw
『大橋の虎』と二つ名が付いて以後は挑まれなくなるのかな?

やっぱオチは竜児登場で「いや、うち弁当作るし」だろうな

238 :Tiger and Dragon ◆fDszcniTtk :2011/11/25(金) 07:59:51.62 ID:R3idm+630
「知らないのか、奴らは二人で一人の狼。二つ名持ちだ」
「二つ名をもっているんですか。で、その名は」
「タイガー・アンド・ドラゴン」
「虎と竜。いやいやいや、やめてくださいよ、ばりばりに武闘派っぽいじゃないですか。男のほうなんか完全にその筋ですよ」
「いや。まぁ」
「なんですか、先輩」
「あー、あれだ。男は戦わない」
「はぁ?」
「あいつは引き留め役だ」
「え、引き留め役?妨害役ってことですか?」
「そうじゃない、あのちっこいのが暴れているところに現れて引きずって帰るのがあの男の仕事だ」
「……それ、狼じゃないですよね」
「まぁな」
「じゃぁなんで『二人で一人』なんて言うんですか」

先輩はその静かなまなざしを3割引の弁当からぴくりとも動かさずに言った。

「婚約しているらしい」

239 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/25(金) 13:17:43.54 ID:a2ECkPtR0
しかし実は竜虎を半額弁当争奪戦に送り込む原因を作ったやっちゃんこそが昼バイトでは半額神なのであったw
という中の人つながり

240 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/25(金) 15:21:51.14 ID:JTra2gFX0
前に読んだ、竜児と大河が大河の別の高校の友達に会いにいく話が読みたいんだけど、誰かわかりませんか?わかる方どなたかお助け下さい……

探してもみつからなんです_| ̄|○

241 :Tiger and Dragon ◆fDszcniTtk :2011/11/25(金) 15:56:15.48 ID:R3idm+630
>>239
そしてやっちゃんに密かにあこがれる能登という中の人つながり

242 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/25(金) 15:57:01.49 ID:R3idm+630
あ、トリップ消し忘れた orz

243 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/25(金) 16:33:53.32 ID:a2ECkPtR0
そうかあ、能登の中の人も居るねw

大河はそういう状況に置かれたら争奪戦にすごく燃えそうだし
見かねた竜児が止めに入り「これよりうまいやつ作ってやるから!」と言われて瞬時に帰る
月桂冠なのにとうらやましげな狼たち&バックヤードで唇を噛む半額神www

244 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/25(金) 16:51:05.91 ID:OHGLNzNK0
話題に上がっていたので切なくない竜虎MADを急いで作りました。
・・・うそです10日ほどかかってます。

ttp://www.youtube.com/watch?v=xz4SgGl6b2w
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm16252807

ここの竜虎好きさん達には見てもらいたいと思いまして。
宣伝やらしくてすみません。

245 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/26(土) 16:54:23.91 ID:N0bfXkpb0
>>240
読んだ記憶はあるんだけど…

>>244
マイリス余裕でした
「大河、だって」と最終話の、微笑みの重なりがいいなぁ。乙です!

246 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/26(土) 18:38:53.98 ID:bQohWT4q0
>>240
虎と竜と自慢の恋人
ttp://tigerxdragon.web.fc2.com/index/SS21/1026.html

…かな?

247 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/26(土) 19:26:19.72 ID:bQohWT4q0
ニコ生でとらドラ!みてるけどやっぱりイイナー

248 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/26(土) 20:16:05.92 ID:NF31Rd2J0
>>247
夫婦の馴れ初め映像みたいでニヤニヤするな

249 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/26(土) 21:48:36.99 ID:BMe9lpNV0
>>248
その発想はなかったわ(w
ニコ生は予想通り「金払えばみせてやんよ」状態なのであっさり離脱。
Kids Stationでの再放送は今週「竜児は私のだああああああっ!誰も触るんじゃなあああいっ!うわーーーーーん!」回だった。
毎度のことだが目頭にじんわりきたぜ。

250 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/26(土) 23:48:41.65 ID:2fPO5fKy0
>>244
なかなかテンポ良くて、MADではあまり見られないシーンもあって新鮮だった。
マイリスマイリス

>>246
この話とその前の大河が変装して、竜児のゼミに忍び込む話、良かったなぁ

>>247
来場者数、30万突破した!
文化祭の時の、借家の階段上シーンはいつ見ても涙する…

を、みのりんと竜児の喧嘩シーンだ!

251 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/27(日) 00:08:51.84 ID:Hg4QXvz10
プチプチ追い出されるんで諦めたw
なんかここ文化祭の控室っぽい雰囲気だな

>>250
あそこでは、大河は親父の話聞いたら引っ越しだとたぶん読めていたんだよ…な?
だからガン無視貫こうとした、かな?
親父に逢いたくないのが本音じゃなく竜児の隣じゃなくなるのが嫌だったんだ。
でも竜児の欠落感を自分が埋めてやれることに気づいてしまった、みたいな。

252 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/27(日) 01:50:22.21 ID:03HF4MDz0
いやーほんと、オレンジcitrus mixの出だしは神だよなぁ

MADの話が出てたが、とらドラを知ったのもMADという文化を知ったのも
患部で止まってすぐボンボンだか何だかってのをたまたま見てからだな。

あと一ヶ月弱、これまでのSSを読み返しながら待つかねw

253 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/27(日) 07:08:36.10 ID:7RgR/udd0
そういや、BD-BOXって、未収録分のサントラCDないんだな。

公式サントラには最終回、大河の部屋で夜明けを迎えるシーンの曲なんかが
入ってないからBDに期待していたんだが。

254 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/27(日) 08:27:19.39 ID:rJ8RZV9R0
龍が如くってゲームやってたらさ冴島大河ってのがでてきてしかもそいつが遥(cvくぎゅう)と会話しててびっくりした
しかもその章のタイトルが虎と龍

255 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/27(日) 12:23:05.55 ID:Hg4QXvz10
未収録サントラ曲って、ファンとメーカー担当者の間で重要度の認識に温度差があるよな。
OPやEDパートを尺の関係で本編扱いした場合のクレジットオフバージョンもそうだけどちゃんと商品の質を上げて欲しいもんだ。
現存していないならそう情報公開してくれれば納得するのに。

256 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/27(日) 19:25:46.87 ID:lNReYeLr0
未収録と言えば21話専用のオレンジだろ。
イントロだけで泣ける妙な条件反射が身についてしまったぞ。

257 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/27(日) 19:44:15.58 ID:7RgR/udd0
オレンジは後半ずいぶんイントロのバリエーション作ってたからな。
あれはよかった。雪山のやつは映像が浮かぶから特に破壊力おおきい。

258 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/27(日) 20:49:59.59 ID:lNReYeLr0
ニコ生バンバン追い出されるけど何年経ってもこれだけ人気があるって思うとちょっと嬉しいね。
箱ティッシュ用意したけど19話とか21話なんか絶対見れないだろうな。

259 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/27(日) 21:13:31.99 ID:7RgR/udd0
>>255

ファンとメーカー担当者って構図だからああなるんだろうな。音響監督にもっと
力を与えてくれれば、バランスよくなると思うんだけど。とらドラ!のサントラは
名盤だと思うが、それでも番組未使用曲なんかがけっこうある。それだったら後半の
名場面の曲入れてくれよって思っちゃう。

260 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/27(日) 21:48:37.86 ID:MG/3KMmM0
ホーリーナイトを聞いてるだけで泣けてきた…
おおおなんだこれは…

261 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/27(日) 21:55:02.26 ID:5VkG/YQC0
ニコ生、19話、例のシーン来ます!

262 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/27(日) 22:32:14.17 ID:lNReYeLr0
そもそも話題振ったのは自分だし気持ちは分かるけど実況的なことはやめたほうがいいね。
とはいえここの住人と完全にリアルタイムで同時に視聴できるってのは貴重な機会だねぇ。

263 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/27(日) 22:53:02.92 ID:5VkG/YQC0
>>262
すいません、もうしません! arl
でも「貴重な機会」、同意です。

264 : ◆mCyFSpkrFSwI :2011/11/28(月) 01:11:12.13 ID:ivybgCCN0
11月22日が「いい夫婦の日」だと22日の23時に気付き慌てて書き始めるも当然間に合うはずもなく
土曜深夜完成するという遅筆ぶり
しかしある意味最高のタイミングかもしれん

http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2317084.png

あ、今回からトリップつけてみました

265 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/28(月) 01:19:49.69 ID:QNCLQJwd0
以上、合計10時間に及ぶ新郎新婦の馴れ初め映像でした

266 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/28(月) 01:32:32.35 ID:fGRiFiCU0
>>264
GJ!
ちょうどニコ生終わったとこなんで良いタイミング。キスシーンはじかれて見れなかったし・・・
自分も12月に書き始めた正月ネタを2月に投稿したことあるからそれに比べたら全然問題ないw

最近絵師さん少なくなったからこれからもよろしくお願いします。


>>233
>>235
ネタかと思って公式見てきたらまじめに弁当の話なんだな
画像見た限りなら秋に太る話かと思ったけど完全新作って書いてあるしオリジナルか。
弁当争奪戦もそれはそれで見てみたいけどw


267 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/28(月) 01:47:49.15 ID:528Ezkzj0
久しぶりにカキコ
ニコ生視聴してとらドラ熱がまた上がってきた

268 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/28(月) 01:51:14.96 ID:5Bp8nTxXO
まったく同感で二個生からカキコ
もう大河竜二の個別スレは過去となっていたか

269 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/28(月) 02:12:44.47 ID:e1CE5MO80
アニメは20話の前半でバルコニートーク終えてから大河が窓締めてカギ掛け、
22話の後半で竜児が高須家の扉をカギ開けて開くのが対になってるんだな
どっちも流れを一瞬躓かせぎみな作画だから気になっていたけどワンセットと思えばすんなり腑に落ちたw

つかふつう分かんねえよこんな仕込み!
原作の流れの解釈としても心もち踏み込み過ぎな感じもするけど
ふたりの内心で「離れなくちゃいけないんだ」って同意があの辺りにあったとするのはそんなに悪くない
惑ってる中でもとにかく自分の意志で一歩を出してる感じがした

270 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/28(月) 02:14:01.68 ID:UY+s/tp00
>>264
このタイミングでGJすぎる!
てか、竜児怖すぎ、大河かわいすぎ。

ホント「馴れ初め映像」な気分になってきた。
「シンデレラ…」も続きを期待できそうだし、まだまだ楽しめて嬉しい!

271 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/28(月) 02:14:05.23 ID:QNCLQJwd0
>>269
心の鍵を開けたらあとはギシアンまでまっしぐらというテンポのよさ

272 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/28(月) 02:34:33.00 ID:e1CE5MO80
しかし鍵をかけるという行為を覚えるとともに、出入り口はなにも窓や玄関だけじゃねえよと学んでしまう大人の階段w
そういや互いに合鍵を預けて出入り自由って時期もあったな
同志、戦友、幼馴染といくつも擬似体験済ましてるんだなあ

273 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/28(月) 12:28:32.85 ID:os60FXT10
ピクシブ閲覧数、大河タグと竜児タグだけ跳ね上がりがすごいw
竜虎ファン増えてほしいなー
竜児×大河は永遠!

274 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/28(月) 18:49:40.49 ID:oX6N9bSy0
しかし、PSP買う宣言してる人は多いのに原作はあんま見ないのが…
竜虎好きとしては原作を読んでほしい
ガチっぷりはアニメの比じゃない

275 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/28(月) 19:24:44.82 ID:fGRiFiCU0
思ってたよりニコ生いい企画だったね。コメントも荒れずにみんなでとらドラ見て泣いて楽しかった。
久しぶりに見たけど最近仕事で鬱々してたのがちょっと元気になった。

馴れ初め映像として見るってのも新しいなw
というか自然にいつの間にかそんな心境になってたかもしれんね。

この作品に関しては俺の嫁争いが無くて「大河は竜児の嫁」で共通認識になってるってのも他の作品とは一味違うな。
特にこのスレ内の一体感はすごいw

>>274
アニメから入って(自分もそのクチだが)気に入ったのに原作読まないのは絶対損してるよね。
あの完成度の高いアニメでもダイジェストに過ぎないのにね。

アニメ→原作で2度美味しくてさらにアニメに戻れば3度美味しいというのに。

276 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/28(月) 20:21:29.86 ID:Y1a7pFRc0
>>264
どこの若頭かとwwww
だがイイ。素晴らしいね!

277 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/28(月) 20:53:33.77 ID:ZQktXIA50
>>275
そうそう。原作読まないのはもったいない。

そしてあの原作のすごいところは、二読目はさらにさらに面白いことだ。
一体どんなマジックを使ってるんだか。

278 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/28(月) 21:39:37.76 ID:slb3q4Ka0
大河は竜児の嫁だし竜児の嫁は大河しかありえないからね
この2人の唯一無二感がすごく好きだ
ダイジェストなとこ含めて夫婦の馴れ初め映像って表現がしっくりきすぎるw

原作もアマラン上がってるっぽいし
きっとみんな黙って買ってるんだよ!

279 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/28(月) 22:02:49.02 ID:ZsNgSQab0
ttp://nagamochi.info/src/up93706.jpg



280 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/28(月) 23:16:55.50 ID:slb3q4Ka0
>>279
美しい・・・
竜虎絵もちょこちょこ増えてて嬉しいな
>>264氏もGJ!清楚な大河に見入って竜児に吹くww

281 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/29(火) 00:45:58.72 ID:wOPje8/o0
>>277
誰の立場になって読み進めるかで全く感じ方も変わってくるしね。
あとやっぱり先の展開を知ってるかどうかで途中の細かい部分の重要性とか
なんとなく読んでたセリフでもキャラの感情がどんどん分かるようになってくる。

個人的には8巻なんかはなんとなく読んでた部類だけど何周も読んでたら大河のセリフが全部痛々しくて終始涙無しには読めなくなってしまったな。


実際いろいろ考えながら読むからラノベなのにすごい時間かかったりするし。
あとアニメ見てからだとセリフが釘宮ボイスで再生されたりBGM脳内再生したりで無駄に時間かかるw
特に7巻ラストだよ。ページめくるのが辛くて辛くて全く進まん。


282 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/29(火) 00:55:58.99 ID:jmqsxfRD0
一挙放送で見たせいなのか
原作読んだ後だからなのか
アニメだとすげー展開速く感じた

283 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/29(火) 07:59:12.11 ID:Db5q7K210
>>281
おれは6巻だなぁ。先の展開を知っているからこそ、ぎくりとするシーンがある。
北村と三人で飯食うシーンとか、走る竜児と実乃梨を見る大河の独白とか。

284 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/29(火) 08:28:10.03 ID:wKYkbknO0
久々に来たけど>>1のAA新作になっとるやーん
GJ!

285 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/29(火) 15:25:46.64 ID:GShfIgDq0
>>282
基本1冊2話ペースだからねぇ
10巻なんて2話分の配分すら貰えていないという…
やっぱりオリジナル回とかいらなかったと思うんだよな
もっとじっくり竜虎の関係を描いてほしかった、竜児→大河を無くす(薄める)改変も無しで

286 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/29(火) 19:09:24.34 ID:B7CmqcUi0
同人→アニメ→原作という流れ真逆の俺が登場
アニメ見てて腑に落ちない所がいっぱい出てきて原作にいった
やっぱりアニメは大事なとこ端折ってたんだな、と思ったよ
それ以来アニメはなんだか観る気がしなくなってしまった

まぁ、BD-BOXは予約したんですけどねw

なんだかこのスレ、人が増えた気がしてモチベーション上がってきた!w

287 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/29(火) 20:44:45.88 ID:hHEkhzo00
どうやら新作は「弁当の極意」ってタイトルらしいなw
弁当と聞くと北村の祖母に対抗して学校に炊飯器持ちこんだ話や、中の人の餃子やポテトサラダが思い浮かぶw

よくよく考えてみたらとらドラ!からアニメにずぶずぶ入ってたんだな…。
本来なら釘宮病に罹るはずが間島病に罹っておっぱいとニーソフェチになり、餃子を作る奇行に出てしまった俺…orz

288 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/29(火) 22:39:06.45 ID:bgNM6qHX0
ひたすらナデナデペロペロし合う同人とかあればいいのに

289 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/30(水) 00:01:30.62 ID:b7bzm0EiO
このスレの過去〜現在の職人が結集してアンソロジー作ったら
きっと電話帳みたいな竜虎同人誌ができるかもなw
まあちょこちょこ投下されるのを読めるだけでありがたいし味なんですけどね

290 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/30(水) 20:34:34.66 ID:1pWG63oS0
そんな同人誌あったら欲しすぎるw

弁当話も竜虎おいしいし面白いし好きだけど、あれだけじゃ30分持たないよね
風呂上がりな大河に竜児ドキッな芋掘り要素とか
八方塞がりな竜児を大河が励ます夏休み要素とか
ちょっとお洒落してお互い見惚れちゃうニセとら要素とか
アイコンタクトで二人の世界なthe部長要素とか
上手い具合にミックスしてほしい

291 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/01(木) 20:53:16.26 ID:hlzX8ay50
ニセとらの要素あったら俺悶死する気がする

292 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/01(木) 22:28:34.50 ID:BgHxU3hA0
ttp://seiga.nicovideo.jp/seiga/im1610590

293 :こたつご飯 ◆0/FKyHtS2M :2011/12/03(土) 01:58:07.30 ID:hmk6hrU30

「ただいまぁ」

 買い物袋を提げて大河が帰宅すると、奥からおかえりぃ、とやっちゃんが奥から声だけ返し
てくれた。出勤間際の夕刻のことで仕度やら何やら忙しいよう。と、見下ろせばタタキに竜児
のローファーがきちんと並べられている。いつも脱いだ時に簡単に手入れしてるから少々の傷
は付いていてもピカピカで……違う。そういう話じゃない。

 今日は帰りに大河が買い物をしてきたのだし、という事はもちろん献立も決まっていて、準
備万端済ませたあと、竜児が帰宅すると同時にこけつまろびつ玄関に走り「お帰りぃ〜♪私に
する?ねっとり私にする?それとも爽やかに私?」というベタな一択を提示したあげく小突か
れて「めしーっ」と言わせる、他人には見せられないようなネタ時空を発生させる計画もひそ
かに練っていたくらい。

 それなのに先に竜児が帰ってるたぁ、とんだ誤算。
 ていうかそれなら買い物済ましてるかもで、もしかして食材がかぶっちゃったらMOTTA
INAIじゃないのよ!なんで早く帰るなら連絡くれないのよっ!と大河にも芽生え始めた主
婦脳の反論に眉をひそませたりしながら居間に入ってみれば、ふぇぇ?

 こたつが出ているではないか。

 いつのもちゃぶ台は狭い2DKのどこかの収納に片付けられ、8畳間の真ん中に広がるこた
つ布団の模様はブーゲンビリアだろうか?大きめの花柄。まさに大輪の花を咲かせたようで、
その一角、いつもの場所でなく、大河の定位置たる窓側で足を半ば突っ込んだ竜児が横向きに
眠ってる。大河は台所に買い物袋を居間の入口に鞄を置いて、足音を忍ばせて近付いていき、
傍らにそおっとしゃがみ込んだ。

 二つ折りの座布団に鼻先を突っ込むように抱えた竜児は、肩口が冷えるのか見た事がないほ
ど小さく縮こまっていて、それでも気持ち良さそうにすうすう寝息を立てて完全にオチている。
多分こたつ仕度をした者の特権でとぷんと入り込み、その心地よい空間に身を預けているうち
に、こともあろうかこたつめにチャーム系かヒュプノ系の魔法をかけられてしまってこの体た
らくというわけか。

 おそらくこの秋から冬、初めて訪れた寒波に合わせて、家族が快く過ごすために竜児はこた
つ出しを決めた。同時に昼間打ち合わせたとおりに、炊事当番を自分に信頼して任せてくれた
ってことにも、立ち尽くした一瞬の間に大河は思い至る。

 おぉっしゃらぁ!そんなら任されてやるわよ。

 大河はフェルト地のロングコートを脱いで、自らの体温をまとわせたままのそれを竜児にふ
わっとかけ、肩口を包み込むように押さえてやった。そうして柔らかく微笑むと勇んで台所へ
と、やはり足音を忍ばせて戻り猫足柄の専用エプロンをキリっと締めたらやる気十分に不敵な
笑みを浮かべて。
 目を閉じたら、うん。頷く。

 買って来たものを袋から出し、仕分けして冷蔵庫にしまいつつ、すぐ下ごしらえをするもの
だけをシンクの脇に積む。今日は良さげな鶏腿肉が安かったので4枚もまとめて買って来てい
た。うち2枚は今夜のおかず、残りは冷凍して後日の糧。後日なにに使うかは竜児がちゃんと
考えてくれる。

 まずは付けダレを。
 酒と味醂を行平鍋に注いで火にかけ、揺さぶりながら酒気を飛ばした。甘みだけを手塩皿に
とって確かめながら、味醂をちょっとずつ足していく。自分は少し甘めの方が好きだが、竜児
とやっちゃんはそれより辛めの方がいいから、ちょうど中間になるよう調節。
 それを済ますと生姜とニンニクを剥いて手早く擦りおろし、煮切った酒に投入。強火にして
軽く煮立たせたところへ醤油を加えて沸騰を静め、また味見。うんと舌鼓をひと打ちしたのち
火を止めて、できたタレをカップに注いでしばし放置、粗熱を冷ます。


294 :こたつご飯 ◆0/FKyHtS2M :2011/12/03(土) 01:59:07.30 ID:hmk6hrU30
 一口大に切り分けた鶏腿肉を温くなったタレとともにビニール袋で浸けこんだら、キッチン
タイマーがわりのストップウォッチを打って時間を測り始めた。抜かりなくひとつひとつの塊
に表裏から十字に包丁を入れてあるから30分くらいが適当か。おいしくなあれ、と念じながら
袋をモミモミ。

 これに薄力粉の衣をまとわせればから揚げ。片栗粉の衣で揚げれば竜田揚げ。フライパンで
まんま焼けばソテーというわけ。浸けこんだタレは再度加熱して調味料として重宝する。ネギ
とキャベツの炒めものなんかに味付けるには相性ばつぐんだ。この辺のやりようは竜児から薫
陶を受けたもので、やっちゃんから教わった事がベース、さらに遡って園子お祖母ちゃんの家
庭料理スキルから連綿と伝わって来ているものであっても、竜児も大河もそこまで意識してい
るわけではないが。
 今日の鶏は浅く張った油で焼き揚げるコトレット風の竜田揚げにするつもり。衣がサクっと
いう楽しい食感を付けるにはこれが一番。付け合わせには得意のグリーンサラダをきんきんに
冷やして、あとマッシュポテトにサワークリームを添えた和洋折衷でザンギ定食にしてやろう
と思っている。箸休めにはぬか床でほどよくつかった大根があったはず。

(そうすると……汁ものもあっさりめ、かな?)

 使った器や包丁をさっと洗い終えて、みそ汁の準備。白菜の葉っぱ部分だけとモヤシにささ
がきゴボウを加えようと決めた。ダシの中で軽く煮た状態で止めておき、あとは食事の直前に
温め直して味噌を溶けばいい。
 これで、あとは10分もあれば夕ご飯にできるところまで済ますと大河はエプロンを外して
居間に戻った。竜児が目を覚ますか、やっちゃんの出勤準備完了か、どちらかのタイミングが
訪れるまでしばしの空き時間というわけ。

 慣れて、いつの間にかできるようになっていた。ほとんどなんの努力をした覚えもない。
 それは、竜児にたくさん教わったしやっちゃんがやるのを見ていた事もある。でも、ある日
独りでやってみたら悩む事も困る事もこんがらがることもなく、不器用なはずの自分が流れる
ように全部できてしまった。いつだったのかも最近なのにちょっと思い出せない。
 それはたぶん、ずっとお手伝いのつもりでいたからだろう。
 竜児の帰りが遅いとき、代わりに買い物をする。簡単に下ごしらえする。どうすればいいの
か聞いて、その通りにやって、細かいところをやっちゃんに教わっているうちに、全部済まし
てしまった日があった。そのときどや顔をするのを忘れていたので、竜児も気づかずに流れで
ふつうに夕食を済ましてしまったのだろうか。

 でも、あの細かい竜児がそんなことを見逃すなんてあるわけがなく、つまりふだんの高須家
の食事と寸分違わないものを作れた、ということで、竜児はやっちゃんが作ったと思ったのだ
ろうし、やっちゃんは竜児が仕込んで置いたご飯だと思ったってこと。

「ふ……ふふふっ、ふふっ……」

 なんでだろう?本当なら「なんで気づいてくれないの!」とキレてもまあいいところだろう
に、自身ではさほどの努力を払った覚えもなく、なにより自身で初めてできた日を覚えていな
いくらいだからそんな気もしない。なんかこう、振って湧いた幸運のように、小さな嬉しさだ
けが空腹のはずの胃の辺りからのぼってくる。
 大河は、本来は竜児の場所である居間の入り口にぺたんこ座りで、にじり寄ってこたつに膝
を滑り込ませて、両手を思い切り伸ばして突っ伏し、卓の冷んやりとした感触を頬っぺたに当
てて、膝と腿にこたつの温みを沁み入らせているうちにくすくすと含み笑い。
 しているうちに、すぅーっと。

 高須家では別に当番を決めたりしていなかった。早く帰れた方がごく自然に炊事をするよう
な倣いとなっている。竜児も、大河も外で忙しければ時にやっちゃんが済ましておいてもくれ
る。援け合うのは意識するまでもなく当たり前で、わざわざ確認する必要もなかった。


295 :こたつご飯 ◆0/FKyHtS2M :2011/12/03(土) 01:59:54.91 ID:hmk6hrU30
 すうっと眠気に襲われはしたのだけど、大河にしては異様な抵抗力を発揮してこたつ布団か
ら膝を抜いた。冷気に少し我を取り戻してこたつは魔物と思う。人を堕落させる悪魔の発明品
じゃないの?なんでこんな速攻で眠くなるの?
 ほんと恐ろしいわ……とぶちぶち呟きながらぐるりと回り込んで竜児の脇に寄ってみた。せ
っかく気持ち良く寝てるのに起こしちゃ悪い。このところ連日遅くまで勉強してるから疲れて
いるのよ、そんなことも分かってるけど。

 見れば竜児は寝がえりを打って、座布団の代わりにコートを抱きしめているのだった。

 なんだかとても損をした気分になってしまって、大河は渋面で見つめたのち、こそこそと竜
児の脇に潜り込みにかかる。こたつ布団の端をちょっとめくって、ソックスの脚先からそろり
そろり。
 うまいこと収まったから、自分のコートごしに竜児の胸に頭を預けようとして、ふと大河は
竜児のあごに畳のケバが一本貼りついているのを見た。ちくちくしちゃう。手を伸ばして、細
い指で器用に、竜児のあごに触れないようケバだけを取って捨てた。
 起こしたくないから触れられない、けれども心はひとつ。膨れ上がっても決して弾けるまで
には至らない思い。その快さに身を任せて、愛しい者の傍に居着く。そこら辺りがこたつめの
魔法効果に抗う限界と言えた。膝や腿や腰から遠慮なく侵入する温かさ、額から伝わる竜児の
胸元の温み。こんな。つむじにかかる竜児の寝息のリズムが、身の内のバランスを保つ糸を今
にも断ちそうでやばい。

 子供のころから和室で過ごした経験がほとんどない大河には、こたつの暮らしもほとんど初
めての体験で、それはもう……やばすぎた、のだが。


 ****


「たいがー。おい、大河」
「あうん?あぁ……ぐすん、あう、竜児ががが」

 どうやらこたつの温もりは恋の熱よりも人には優しく沿うらしく。

「そろそろメシにしようぜ。泰子がうまいうまい言ってもう出かけちゃったぞ」
「ええっ!」

 がばっと起き上がる。小一時間くらいの感じなのに、けっこうガン寝してしまっていた。見
れば肩口は柔軟剤でふわふわのタオルケットにくるまれている。

「いま揚げるからちゃぶ台拭いとけよ。腹へってんだろ?」
「わ……分かってるわよ。ってかこたつになってんじゃない。ちゃぶ台じゃないでしょ」
「あー。まあいいだろ?ちゃぶ台で」
「いいけど」

 台所と居間を忙しく往復して食卓を整える姿を見ながら立ち上がろうとすれば、竜児は手で
制して座っとけというしぐさ。

「お前がしたくしてくれたんだから。上げ膳据え膳でいいんだよ」
「そ、そう?じゃあふんぞり返る」

 程なくして卓上には皿が並び、差し向かいで、いただきます。


296 :こたつご飯 ◆0/FKyHtS2M :2011/12/03(土) 02:04:30.17 ID:hmk6hrU30
「から揚げっぽかったけど下味が強めに付いてたからタツタ揚げにしてみた」
「うん、そのつもりだった」
「前に言ってたザンギってやつだよな?これ」
「そうよ。どう?」
「うまいなあ。めしが進む」
「へへん♪」

 マッシュにしようと出しておいたじゃが芋は皮つきのまま単にふかしただけで添えられてい
たけど、これはこれで美味しい。付け合わせとしての設計思想はさすが竜児、間違えたりしな
いものねと思った。まあ、サワークリームを作っておいたからよほどへそ曲がりでないかぎり
は茹でるだろうけど。

 タツタ揚げを齧ってみると、ふんわりネギの香りが立ってあれっと思い、竜児の顔を見る。

「ああ、余計かもしんねえけど半分はネギの青いとこみじんにしたの巻き込んで揚げてみた」
「うん……おいしいかも。こっちの方が」
「どっちも旨いが、味が一種類だと3切れめくらいで飽きてくるだろ?だからさ」
「ネギと生姜と鶏の脂って合わせると中華料理の味になるんだね?」
「おう、たぶん広東料理だな。どれひとつ欠いても和食だから不思議なもんだ。……しかし」

 大河が起きるのを待っていて空腹だったのだろう。旨い、旨いを連発していつになく竜児が
バクバクご飯をかきこむ様子を見ると、自分自身で完遂できなかったのにミッションコンプリ
ートな気分になる。そうして、どうしても、くすくす。含み笑い。

「大河、お前はどこへでも嫁に行けるなー。自信もっていいぞ」

 なにニヤケてバカ言ってんの。へへっ。

「ほんと?うわぁ迷うなあ。どこへお嫁に行ったらいい?」
「バカ言ってんじゃねえ俺んとこに来い。毎日お前のメシを食わせろ」
「それじゃ私があんたのご飯食べられないじゃん」
「おう、そうか。じゃあ一日置きくらいで」

「んーー。週4日くらいはサービスしてやるか。……ねえ?」
「ん?」
「なんでこたつ出したの?ていうか、このうちにあったの?」
「話せばちょっと長いけど、お前も身にしみたろ?こたつは人を自堕落にさせる」
「そうね……」
「元々うちでは泰子が一番こたつの魔に魅入られていたから禁止にしてたんだ」
「あー。あーなるほど」
「俺だって見た通り偉そうなことは言えねえ。お前と知り合った冬に出さなかったのも危険だったからだ」
「危険……。そ、そうね。そうかも。これ、危険よね」
「な?ご馳走さま。旨かった!」

「ねえ?じゃ、今年出したってのはさ」
「言いたい事は分かってる」

 竜児ときたら真面目な顔で食器を片づけながら言うんですよ。

「もう危険じゃないと分かったから、解禁だ」


〜おしまい〜


※アニメの高須家にこたつが描かれないのはハプニングセッ○スを排除する別にそ(んなに力説しなくても意志の表れと受け取っていたりして
 つまり当然、以後にはあってもおかしくねえだろっ!
 君は大河といっしょのこたつに入って脚先でじゃれあっていて賢者で居続けられるのか。そこを問うために書きました(嘘)

297 :こたつご飯 ◆0/FKyHtS2M :2011/12/03(土) 02:07:35.28 ID:hmk6hrU30
※アニメの高須家にこたつが描かれないのはハプニングセッ○スを排除する意志の表れと受け取っていたりして
 つまり当然、以後にはあってもおかしくねえだろっ!(別にそんなに力説しなくても)
 君は大河といっしょのこたつに入って脚先でじゃれあっていて賢者で居続けられるのか。そこを問うために書きました(嘘)


何で>>296みたいなテキスト混濁した? orz
正しくは↑

298 :ローカルルール追記議論中@自治スレ:2011/12/03(土) 18:07:07.94 ID:GyUoevC80
>>297
その発想はなかったww
こたつの魔力に身を任せて存分に自堕落になるがいい!
主婦っぷりが板についている大河も竜児の懐に潜り込む大河もかわいいなあ
乙です!

299 :ローカルルール追記議論中@自治スレ:2011/12/03(土) 23:54:10.73 ID:T5jq1Acc0
嫁スキルの高い大河も良いですな

300 :ローカルルール追記議論中@自治スレ:2011/12/04(日) 02:09:30.27 ID:RUI1JvKG0
読みづらい

301 :ローカルルール追記議論中@自治スレ:2011/12/04(日) 15:46:05.57 ID:9uLZSMAkO
>>297
>見れば竜児は寝がえりを打って、座布団の代わりにコートを抱きしめているのだった。
最萌箇所はここだなw大河の匂いを嗅ぎ取ったに違いねえ
コタツが無い理由にも全く同意する。あれは微妙な距離の竜虎には甘い毒だ
乙でした!

…で、このコタツイチャイチャの続きを書いてもらうにはワッフルを何回書けばいいのかね

302 :ローカルルール追記議論中@自治スレ:2011/12/04(日) 16:36:27.04 ID:R5bAUZ4o0
わっふるわっふる!

303 :こたつイチャイチャ:2011/12/04(日) 21:14:37.56 ID:qdUkxZUK0

 週の半分は北風が吹いて夜冷え込むようになればもう冬本番。先日、2年ぶりにこたつを出
した高須家でもそこから動かない、いわゆる“こたつむり”が発生していた。

「にゃはぁ〜☆」
「にゃあ〜」

 昼間っからえんえんこたつみかんテレビを相手に暮らしているでかいのと、大学から帰るな
り料理の様子をふんふん嗅ぎまわって納得いくまで検分したのち寒む寒む言いながら滑り込む
ちっこいのと、この家には二匹猫がいる。

「ちょっと!すきま風入るじゃないの竜児。閉めて閉めて」
「お前な……俺がいくら冷えても平気なのかよ?」
「ファーの長〜いポカポカスリッパ買ってあげたでしょ。ぐだぐだ言わないっ。はやくご飯作るっ」
「へえへえ、じゃこれおろしとけ」
「辛くならないように拝みつつ……やさしく……」
「そう、しょりしょりとな」

 まあこんな感じでその日の炊事当番が冷え冷えの台所仕事をしているうちに、でかい猫の泰
子が「さてっ☆」と気合いを入れるとこんな時ばかりは光の速さで出勤の準備を終え、お腹の
底から温まる竜児の得意料理、白菜と豚肉のおろし鍋(今日は豆腐や茸も入った本格レシピ)で
夕飯を済ますとお尻ふりふり出かけて行った。

「にゃー」

 こたつに埋まって目を細めてる茶虎のちっこい猫の向かいで茶をすする竜児。

「こたつ好きだな」
「こんな幸せな家具があるなんてー。もう自分の部屋にも買うー」
「じゃあ明後日くらいに電器屋行くか」
「うんー」

 おうそうだ、忘れてた。と竜児が自分の部屋に引っ込み、すぐ出てきて大河の背後に回り肩
に掛けてくれたのはモッコモコ綿が詰まった丹前。

「こ、これって?」
「おう作った。帰り途にミシンメーカーのショールームがあっていつか使ってやろうとな」
「あんた私のサイズなんて……そりゃ知ってるか」
「そりゃ身頃から丈からな。そんなにぴったりしなきゃいけないモンでもねえし」
「へへへ」

 つるんと袖を通して前ひもを蝶結びに。あちこち少しずつゆったりめだが室内用の防寒着だ
からこれでちょうどいいのだ。どうよ?と広げて身体を左右に揺すってみたりする。

「あれ?あんたのとか、やっちゃんのはどうすんの?」
「とりあえずお前の分作ってみてうまく行ったからこれからだな」
「なによ、わたしゃ実験台か」
「人聞きが悪いな。彼氏が手作りの着るものプレゼントするカップルってそうねえぞ?」
「それもそうね……へへへあったかぁ」
「持って帰って自分ちで着てもいいし。そんならもう一着作ってやるから」

 へへへ……へへ……へへ……。嬉しそうな様子で良かったと思いながら竜児はこたつの向か
いに入り直す。と、胡座をかいたひざにとんとケリが入ってそのまま膝頭をさわさわと撫でま
わされた。他に誰もいないし、もちろん大河の小さな足によって。

 優しくされるのに慣れていなかった大河にも慣れは訪れる。人並みより優しい性格の竜児に
対してはひけ目を感じやすいけれども、付き合っていれば納得するもの。


304 :こたつイチャイチャ:2011/12/04(日) 21:15:30.04 ID:qdUkxZUK0
 それでもこんな風に当たり前に……特別に優しくしてもらうことにまで慣れろというのは無
理がある。嬉しくて気恥ずかしくて、もうこのまま爆発したっておかしくない。それほど竜児
に愛されていると思う恍惚と不安ふたつ我にあり。頬も耳も額も熱くテンパってしまう。

(ぜんぶ竜児が悪い!)

 いや未だに処理しきれない自分が一方的に悪いのは知ってる。でも、少し慣れるたび予想外
のこんな好意をぶつけてくる竜児の方が規格外なのであって、もうちょっと素っ気ないくらい
が普通のはずだ。釣った魚にいつまでも餌をくれる男の恐ろしさ!このまま行くとそのおいし
さに甘えてプクプク太っちゃう。そしたらその小デブが可愛いとか真顔で言われるに違いなく
て。ひーっ!

 大河はこたつの中でソックスを脱ぐと、裸足の足を竜児の股間に突っ込み、親指と中指で柔
肉を挟むと思い切りねじ上げていた。

「あ痛ててててっ!!」
「あ、ごめん」

 な、何すんだー!と涙目の竜児の表情に、舞い上がった気分もかろうじて抑えられた。

「内腿とか痛えだろ!もっと奥だったら取り返しのつかないことに!」
「ごめんごめん。ちょっとアタマおかしくなってた」

 大河は後ろ手を畳についてこたつに腰を潜り込ませると竜児の腿をすりすり撫でて遺憾の意
を示してみる。これでも暴れ方はずいぶんおとなしくなったと思うが、キャパの少なさは相変
わらず。
 まあその辺りは竜児だってじゅうーぶん分かった上で好きに……ひーっ!危ない危ない。

「ん?あっ!ちょ、ちょっとあんたっ!」
「何かなー。受けて立ってるだけだしなあ」

 こたつの中で足首を竜児に捕まえられ、敏感な土ふまずを、ついでくるぶしの周辺を触れる
か触れないか玄妙な手つきでさわさわ……と。

「ん、んぁっ!!こらっ!!うひぃっ!!!」
「んー。足も指もちっちゃくて可愛いなお前」
「ひゃ、ひゃめっ。くすぐったっぁあーーっ!!」

 竜児の目からはこたつの向こうで丹前の袖を振りじたじた暴れるくすぐったがりタイガーは
風に煽られるやっこ凧のようで楽しい。まあしかし本気でつらそうなのですぐ離してやる辺り
はこの男の甘さというか、優しいところ。
 そんなこんなでこれで終わりかと思いきや、卓上の湯飲みを傍らの盆に置き換えている。つ
まり第2ラウンド行くぞという意思表示でもあり、それを大河とは一瞬の視線のやりとりで了
解した。
 どうやら竜児もこたつのインナースペースでもぞもぞ靴下を脱ぎ裸足になったらしく猫背に
なって準備も完了。

「ほれ。さわさわ……と」
「なに?楽しいのそれ?」
「……お前が乗ってくれないとなんかアホみたいじゃねえか」

 この隙に体勢を立て直してぺたんこ正座した大河の膝頭に、やがてさわさわでなくぐーるぐ
ると円を描き始める竜児の足指。む?……むぅぅ。これはこれでピンポイントにこそばゆい。


305 :こたつイチャイチャ:2011/12/04(日) 21:16:18.37 ID:qdUkxZUK0
「じゃちょっと乗ってやろう。くすぐったいってのっ!あーもうっ」
「あ、やっぱりガマンしてたな」
「触るか触らないかがね。そんなにゴリゴリされても平気」
「これは?」
「親指」
「じゃこっち」
「中指?あ、ちょっと!」
「お、効いた」
「たぶん爪切ったときささくれ残してるよ。ちくちくする」
「そうか?……ああほんとだ。大事な女の肌に傷つけちゃいけねえ」
「なっ!?言うに事欠いてそのおっさんくささっ!」
「お、おっさんか!?俺」

 ついっと立って爪切りを出した竜児はさっと手入れして戻る。

 まあ言ってみればこの“間”が分かれ目みたいなものになった。従前のじゃれあいを続行し
ようと温かなこたつの中で伸ばされた竜児の足は、大河の膝をつるんと弾かれた勢いで奥へと
導かれる。

「お?」

 少し驚いた表情を頬づえの顔で眺めた大河の両膝は竜児の足を挟みこんで逃がさない。

「なんだよ……」
「ちょっと冷たくなってる」
「おう、こっちは温けえ。そんでもって……柔らかい」
「あの……あんまり前後に動かさないでよ」

 微妙に指先だけ触れているのか。動かしたくても大河の脚力は凄まじく、押しても引いても
動きゃしなかったけど。

「ああ。ていうか、なんでいきなりこんな雰囲気になっちまったかな?」
「やばいよね?」
「なんかな」
「どうしよ?」
「どうしようったって」
「ここで膝を緩めると襲われそうな気がするね」
「いや、そんなことは……しねえけど」

 とりあえずそっちに行ってもいいか?と竜児のつくる真顔にうん、と答えた大河は込めた力
を抜いた。その後ぐるっと回り込んで背中から小さな身体を抱え込みながら「いやまあ、」ふ
たり一体でこたつに浸かり直した竜児は言いかけた言葉を継いで。

「これでとりあえずは、とりあえずだ」
「あんたはそれでとりあえずなのかも知れないけど」
「ん?」
「私の方はどうしてくれるわけ?」

 ぐるん、と懐の中で器用に回って、おおお?と言う間もなく肩を押されて竜児は後ろへとゆ
っくり倒される。

「私だってね、あんたのこと。こうしたいもん」
「そうか、すまねえな」

 仰向けで枕のように首を抱え込まれては逃げることも留まることも難しく、そもそも逃げる
気などはなく。遠慮なく体重をかけてくる柔らかく熱い者を抱きとめた。


306 :こたつイチャイチャ:2011/12/04(日) 21:16:57.04 ID:qdUkxZUK0
「しかしなー」
「んー?」
「これでどうにかなるっていうのも何か、ちょっとした抵抗感があるんだよ」
「そうなのよね。なんかこたつに騙される感がシャクといえばシャクで」
「そういうわけで、しばらくこのままでいねえ?」
「うん賛成……あの、竜児?」
「おう?」
「あったかい丹前作ってくれてほんとにありがと」

「そういう態度をとるのはやめろ……」
「やめらんない」

 ぎゅっと首っ玉にしがみついて、鼻先を擦りつけながら耳元に響く大河の声と頬をくすぐら
れる睫毛の感触に竜児は耐える。

「好きだもの」





 さて。ここで問題です。
 このあと竜虎は何をする?

1)当然らぶらぶねっとりとギシアン!
2)竜児が超人的鈍感犬能力を発揮して耐え抜き、しばらくイチャイチャバリエーションを継続する!
3)睡魔に襲われ竜虎ともにアウト!寝落ち!変則的朝チュン!
4)お腹が減り連れ立ってコンビニへ行き弁当争奪戦!
5)その他(やっちゃんが帰ってくるとか、いきなり竜児の親父が訪れるとかね)

 正解者、というか答えを書いた人は続きを書いて読ませてねwてか冬のこたつ祭り?



〜おしまい〜

307 :ローカルルール追記議論中@自治スレ:2011/12/05(月) 21:32:40.35 ID:3gG19Iut0
炬燵隠れコネ━━━━━━('A`)━━━━━━!!!!!!!
いつちん○弄りだすか期待したのに

期  待  し  た  の  に

でも竜虎ラヴラヴおいしーです(^q^)

308 :ローカルルール追記議論中@自治スレ:2011/12/06(火) 11:26:50.99 ID:FkEE3d7xO
このスレ的には当然アレだが、敢えての寝オチだ!

309 :ローカルルール追記議論中@自治スレ:2011/12/06(火) 14:54:25.34 ID:L4vP/TQ6O
>>306
素足で膝頭コチョコチョだと…太ももつねりだと…きさま相当な上級者だな…!
続きは避難所を10レスくらいわっふるで埋めればいいんですか!?
いいじゃないかこたつに騙されれば!あまのじゃくどもめ、もっとやれ!
乙でした!

310 :306:2011/12/06(火) 20:09:26.92 ID:RykYo5Q10
こんな申し訳ないモノに感想ありがとう紳士の諸君!

>>307
期待に添えなくてすまん!しかしコタツ○○○は高確率で風邪を引く!
そんなリスクを用意周到な竜児は取らないだろうという趣旨で勘弁してくれ

>>308
俺も寝落ちだと思う

>>309
コタツ初級だと思うのだが?
ちなみに避難所に上級オチを用意しておいた。
もうコタツ関係ない感じだが注意書きに気を付けてキモがってくれたまえ!

では紳士諸君、また!


311 :ローカルルール追記議論中@自治スレ:2011/12/07(水) 23:08:22.31 ID:lXiIUsPR0
乙!
こたつでいちゃいちゃは正義

312 :ローカルルール追記議論中@自治スレ:2011/12/07(水) 23:48:17.92 ID:qR4YMPEF0
                   _,. : ⌒ヽ
                _/: : : : : : : }_
              ,: : : : : : : : : : : : : :`ヽ、
             /: :,. : --: : : : : : : ⌒ヽ: : ヽ
                /: /: : : : : : : : : : : : : : : }: \: .
           /: /: : : : : : : : : : : : : : : : : :': : : :ヽ
            /:./: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .
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          /:/:/: : : : :\ {: ハ: :l: : : : : : :/: : : : : : : .
         イ/:/: : : : ,ィチ_、_,Y: : : :/ィハ: :}: : : :.l::.
            /:{:|{: : : : 圦し刈   /: : ,イ不}下:/: : : : }:.|    とらドラ! Blu-ray BOX発売まであと二週間よ!
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        ,: : : リ: : \:{卞       、    /: :イ: :/:{
         /:/: : : : : |: : : |心、     -   ムイ: : /: :|
      /:./: : : : :_ハ: : :{:r┴、>=-r: : ´i: : :/: イ: : : :.
      ,: : イ: : : : :/ ̄:ヽ: :\___Yヽr-,: : :、: :{: : : : : : : :.
    /: :/j!: : : :,イ:::::::::::::\: :\ /,介、 ̄ヽ_\:\: : : : : :.:.
.   /: :/ j!: : :./:.{::::::::::::::l::::ヽ:ト、:、/ | }!\/:::::::.\:\: : : : : :.
   ,: : / j!: : /: : |::::::::::::::}:/:::リ:::ヾ! ! i!}::::::::',:::::::,:.\:\: : : : .
  /: /  j!: :/: : : :.,::::::\::!::::/:::::::::::\o!::::::::::}:::::::,: : :ヽ: ヽ: : ::.
.  { : {  /: :/: : : : :∨::::::::\r-// ̄::`ヽ、:::::,ィ´二ヽ: : :}: : }: : ::.
  ,: :| ,/: :/: : : : : : :∨::::::::::∨/o::::::::::::::::`ヽ、 =-ヾ!: : l: :/: : : }
   ヽ/: : :{: : : : |: : : :∨:::::::: ̄`丶_o::::::::::::::::::`ヽ、:::::}、:j:/: : : : |
    /: : : :|: : : /l: : : : :∨::::::::::::::::::::::`ヽ、:::::::::::::::::::::::::::}/: : : : : |
    {: : : : !: : :{ !: : : : : ヽ::::::::_:,..:::-::O ̄i`ヽ、::::::::::::l: : : : :.:.:.|
    \: : \: \\: : : : :`7´:::::::::::::::::::::::::::|::::::::ヽ::::::/: : : : : :.リ
      `ヽ、}: : :} \: :./:::::::::::::::::::::O::::::::}::::::::::| ̄: : : |: : :./

313 :ローカルルール追記議論中@自治スレ:2011/12/08(木) 07:40:28.31 ID:B/TRj5JM0
>>312
当然じゃないか逢坂。で、お前はどうなんだ?高須んちにはBDプレイヤーなかったよな。
泰子さん、ボーナスで買うのか?

314 :ローカルルール追記議論中@自治スレ:2011/12/08(木) 22:59:45.75 ID:1VKC87YO0
>>312
うふふ、もちろん予約済み。
お父さんの背中を流しながらおねだりしたら、一発OKもらっちゃった。

315 :ローカルルール追記議論中@自治スレ:2011/12/08(木) 23:31:09.43 ID:/8UH4DlxO
予約したよタイガー予約したよ〜
え?べべ別に木原のドアップじっくりながめようとか思ってないし!

316 :ローカルルール追記議論中@自治スレ:2011/12/08(木) 23:45:21.07 ID:R3FiRcGd0
なぁによみぃんな予約何かするわけー面倒じゃーん
そんなの発売日に駅ビルのタツヤに行きゃーいいじゃーん?

つかみんななりきりスレ行こーぜぇー

317 :ローカルルール追記議論中@自治スレ:2011/12/09(金) 01:56:11.19 ID:oZNJwNcyO
おまいら付き合い良いなw

318 :ローカルルール追記議論中@自治スレ:2011/12/09(金) 03:58:30.63 ID:Xh79Izvz0
>>315
本音がだだ漏れだぜ能登っちー

竜児と大河も予約済みだなw
お互いを舐め回すように見たりあーだこーだのたうち回ったり

319 :代理:2011/12/09(金) 14:44:46.89 ID:palUJ8gO0
684 名前:高須家の名無しさん[sage] 投稿日:2011/12/08(木) 20:22:03 ID:???
今から初投稿……と思ったら書き込めないようなので、こちらに。
もしよろしければ、代理投稿お願いします。

以降5レス使う予定です。

※SSはフィクションであり、医学的助言を提供しません。体調不良は専門家にお願いします。

320 :代理:2011/12/09(金) 14:46:22.31 ID:palUJ8gO0
685 名前:やぶさかではない 1/5[sage] 投稿日:2011/12/08(木) 20:24:22 ID:???
 虎と並び立つものは昔から竜と決まっている、なんて必死に言ってたけど。
 本当は、虎だって竜と並び立つのに必死だったりする。

 竜児のスーパー家事スキルはモテとは程遠いかもしれないが、本当に彼女泣かせなのだ。
 何をやっても勝てる気がしない、というか勝てない。
 私だってドジなりに練習してるけど、料理も掃除も落第点。散々お世話になったから、力量差は痛感している。
 焦る必要は無い、傍に居てくれればいい、そう言ってくれるのは嬉しいけど。
 私だって。してもらうばっかりじゃなくて、何かしてあげたい。
 触ればしあわせ? の手乗りタイガーなんかじゃなくて、恋人として。
 遠い未来なんかじゃなくて、今すぐに。

 今の私に出来て、竜児に出来ない事。普通じゃない私に出来る、普通の事。
 それを、ずっと探していた。

 ……そして、ついに私はそれを見つけたのだ。


***


「なあ大河、その……今日、出来るか?」

 本当は、それも竜児のほうが上手だ。でも「竜児に」という条件を付ければ、話は別だ。

「今日?」
「……おぅ」

 竜児がいかに家事の完璧超人であっても、身体構造までは変えられない。

「そんな、いきなり言われたって準備してきてないし」
「こっちで全部用意するからさ」

 自分の肩や背中まで、手はうまく届かない。届いたって力は入れられない。それが人型の限界だ。

「だいたい、もっと早く言いなさいよ。平日なんだし、こっちだって予定ってものが」
「そんな事言わずに、頼む。メシも付けるから、な?」
「全く……ちょっと待って」

 多くを背負う竜児の肩は、何時だってガチガチに硬い。並の女じゃ歯も立たないだろう。

「……ママ? 今電話大丈夫? ごめん、今日遅くなりそう……ちょっとね……食べてくるからいい……うん、分かってる。ありがと」

 あるいは、みのりんなら別だったかもしれない。でも、先に気付いたのも、傍に居るのも私。

「いいわよ。そこまで言うなら、やぶさかではないわ」

 だからきっと、これが今の私に出来る「普通の事」なのだ。


「すまねぇ、今日は何でも好きなもん作ってやるからさ」
「……じゃあ肉、簡単なのでいいから」

 いつもの放課後、いつもの通学路、いつものように竜児と帰る。
 でも今日はそのまま竜児の家に、去年と同じように。


***

321 :代理:2011/12/09(金) 14:48:27.90 ID:palUJ8gO0
686 名前:やぶさかではない 2/5[sage] 投稿日:2011/12/08(木) 20:25:11 ID:???
 ――二人で早めの夕食を終え、竜児がお風呂に入っている間。私は用意された室内着に着替えていた。
 室内着、なんて言うと聞こえはいいけど。
 実際は竜児の中学時代の芋ジャージだ。緑色一色で、もちろん胸には『3−1高須』の名札付き。
 ダサいし、貧乏臭いし、ぶかぶかで裾が余っちゃう生き恥ドレスは今もなお現役である。
 まったくもう。登校前に言ってくれれば、もっと可愛い服持ち込んだのに。

 しかし、ない物ねだりしても始まらない。
 高須家にはマイ茶碗、マイカップ、マイ座布団、マイ歯ブラシ……と大抵揃っているけど、私の着替えは無いのだ。
 毎回持ち込みも面倒だし、本当は何着か置きたいけど。洗濯して干している所を、誰かに見られるかもしれない。
 そう思うと、さすがの私も気が引けた。
 竜児に何かあったら困る。今は一番厳しくて、そして将来を決める大切な時期なのだから。
 本当は婚約者なんだし、やましい事なんて何も無いのだけど。合鍵だって預かってるし。

 まあ、今は芋ジャージでいい。卒業するまでの短い間だもの。
 それに、お古の芋ジャージだって考えようによっては悪くない。緑色だけど。
 裾は折ればいいし、着心地も悪くは無い。それにこの名札……

「……へへへ」

 おっと、つい独り言。今の時間やっちゃんは居ないし、誰にも聞こえてないだろうからいいけど。
 ちょっと恥ずかしいけど、3−1の部分だけ切り取るように頼んでみようかな?なんて他愛も無いこと考えながら。

 竜児の部屋で、
 竜児の服を着て、
 竜児のベッドに座り、
 竜児のいれたホットミルクを飲み、
 竜児の編集したMDを聞きながら、
 竜児の戻りを待つ。

 ああ、これで門限が無ければ最高なのにね。

 遺憾ながらここまでキス無し、そして今日はこのまま自粛の予定。
 だって、これから同じベッドにって時にそんな事したら、その、妙な気分になってしまう。
 心臓バクバクになって、テンションおかしくなって、マッサージどころじゃ無くなってしまう。
 もっとも、竜児のほうから求めてきたなら話は別で、私もやぶさかではないけど。
 でも、きっと無いと思う。
 竜児だって「猛毒」と言ってたぐらいだし、今日はとても疲れてるはずだもの。

 今日の目的はあくまで竜児のメンテ、残り少ない時間は全て竜児の為のもの。
 我ながら何もここまでしなくても、と思わなくも無いけど。
 マッサージの理想の条件が「お風呂で温まった後」「柔らかい場所で」なら、私はそれに応えたい。
 私からベタベタするのは明日からでいい、今日足りない分は明日取り戻せばいい。
 ……だから、我慢する。
 たった半日だけだもの、我慢できないはずがない。


 ――竜児が戻ってくるまであと1000秒、門限まであと6000秒。


***

322 :代理:2011/12/09(金) 14:50:05.04 ID:palUJ8gO0
687 名前:やぶさかではない 3/5[sage] 投稿日:2011/12/08(木) 20:25:49 ID:???
「お待たせ」
「相変わらず早いわね。ちゃんと温まった? 髪乾かした?」
「ほっとけ、俺はカラスの行水なんだよ。手抜きした訳じゃねえから安心しろ」
「そ。じゃあ、始めよっか」
「もし寝たら起こしてくれよ、まだやる事あるんだ」
「はいはい」

 意識しないよう、さりげなく。
 まずは竜児をベッドに座らせて、私は膝立ちになって肩を指圧する。
 ベッドと言っても竜児の私物だから通販のシングルベッド、本来なら二人乗りは厳しい。
 それでも、私なら何とかなる。低すぎる背を何度も嘆いたものだけど、世の中そう悪い事ばかりでもないものだ。

「この前やったと思ったら、また硬くなってるし」

 両手の親指を使って、こうグリグリと。……しかし硬い。お風呂で温めてほぐしたはずなのに、まるで鎧でも押してるみたい。
 コリコリというか、ゴリゴリという感触が指に伝わってくる。鎧は鎧でも、錆付いた鎧だ。
 今すぐ、錆を落としてあげないと。

「ったくもう。一体なにをやったら、こんなになるの?」
「休憩中にどうしても汚れが気になってな。あっちもこっちも、と掃除してたらつい深夜に……」
「何やってんのよ、このポンコツ犬。勉強は?」
「や、やったぞ一応」
「だったら早く寝なさいよ。いくら気分転換だって、物には限度ってモノがあるでしょ。馬鹿じゃないの?」
「お前にゃ言われたくねえ」

 何よ。平日は弟の面倒見なくちゃいけないのに、今日もママに無理言って変わってもらったのに。

「あっそ、じゃあもう帰ろうかな?」
「ま、待てまて! 俺が悪かった」
「分かればよろしい。……で、ここでいいの?」
「もうちょい上、手の間隔を狭くして……そうそう。後、もうちょい強く」
「ん」

 それにしても。こうして間近で見ると、やっぱり竜児の背中は大きい。
 だから、一箇所だけやっててもカバーしきれないわけで。押す場所は徐々にずらしていかないといけない。
 肩甲骨まわりを、竜児の反応を見ながら押していく。
 本当はどの辺を押せばいいのだろう?ちゃんと勉強してないし、良く分からない。確か、資格とかあった気がする。
 まあ私は、竜児以外にはやるつもりは無いし、竜児が満足してくれるならそれでいいのだけど。

「……ちゃんと効いてる?」
「おう、いい塩梅だ」
「何そのジジ臭い言い回し、時代劇の見過ぎじゃない?」
「何を言う、料理の基本だぞ」
「あんたは筋金入りね」

 褒めるならもうちょっと気の利いた言葉にすればいいのに、ホント鈍いんだから。
 ……でも、そんな古風な言葉を知ってるぐらいなら、さっきも気付いて欲しかったな。
 ねえ竜児、私「やぶさかではない」って答えたのよ?
 すまねぇ、なんて言わないで。

323 :代理:2011/12/09(金) 14:52:15.38 ID:palUJ8gO0
688 名前:やぶさかではない 4/5[sage] 投稿日:2011/12/08(木) 20:26:19 ID:???
「……もういい?」
「もっと……」
「じゃあ、肘でもいい?」
「おう」

 続ける事15分、さすがに指が痛くなってきたのでやり方変更。腕まくりして、肘のとがった部分を竜児の背中に押し当てる。
 両手から片手になるので作業効率は悪いけど、指よりも体重を掛けやすく疲れずに済む。
 それに私の肘は小……細いから、よりツボに入りやすいはず。問題は加減が難しい事で、慎重にやらないといけなくて。

「痛てえっ!」
「やだ、遺憾だわ」

 おおっと。ドジって変な秘孔を突いてしまい「ん、間違ったかな?」とはならなかったが、ノーミスにはまだ遠いようだ。
 やっぱり、ちゃんとやり方勉強したほうがいいかもしれない。後で調べてみるかな。

「これぐらい?」
「もうちょい弱く……いいぞ、そこ百やったら左頼む」
「回? 秒?」
「百数えたら、だ」

 くりくりこりこり……軽く肘を入れる度に、竜児の頭も小さくゆらゆら揺れる。
 本人は気付いて無いみたいだけど、起き上がりこぼしみたいでちょっと可愛い。竜児のくせに。
 百で終わりは味気ないので、数え忘れたフリしてちょっとサービスしておこう。もちろん竜児には内緒で。

「はい、おしまい。次は手でいい?」
「おう」

 軽く背中を叩いて合図すると、竜児は「待ってました」と言わんばかりに横になる。
 私はそのすぐ脇に移動、何度か調整してベッドからずり落ちない位置に座る。
 本当はベッドから降りたほうが動き易いんだけど、もちろんこのままで。
 ここから先は二の腕から徐々に下がって、指の付け根まで揉むだけだ。後は指を回したり、手の甲をさすったり。
 硬くは無いので、さっき休めておいた指とマッサージローラーで十分通用する。

「ほら、次。あっち向いて」
「……拭いたか?」
「気のせいよ」

 汗ばんだ手の平は竜児のシャツで拭いて、今度は反対側の腕。
 手にはツボが集中していて、肩にも効くらしいけど。やっててイマイチ物足りない。
 それは竜児の反応が薄いせいかもしれないし、その気になれば竜児自身にも出来る場所だからかもしれない。
 一年前には指を繋ぐのでさえ恥ずかしかったのに、今じゃこんなに堂々と触ってて物足りないなんて。
 私もずいぶん慣れたというか、贅沢になったものだと思う。

 ……それにしても、大きな手。そのくせ器用で、繊細で、温かくて、魔法みたいに何でも出来て。
 比べて見ると、私の手はまるで玩具みたい。……どうしてこうも違うのだろう? と思わなくも無いけど。
 今は私に出来る事をしよう。
 次は腰、背中、時間があれば足。コース内容は毎回似たようなものだ。

「腰の、どのへん?」
「……」
「このへん?」
「……ぉぅ」

 竜児の返答が鈍くなってるけど、これも平常運転。
 手からマッサージしないのも、わざわざ狭いベッドでマッサージする理由もこの辺りにある。
 畳で寝かせておいたら風邪引いちゃうし、かといってベッドまで運ぶには重い。
 そういう場面でも体格差は露骨に響く、もちろん悪い方向に。
 叩き起こせばいい? そうするのは簡単だ、実に簡単だ。でも、それじゃあまりにも味気ない。
 こういうのは最後が一番おいし……肝心なのだ。

324 :代理:2011/12/09(金) 14:54:19.24 ID:palUJ8gO0
689 名前:やぶさかではない 5/5[sage] 投稿日:2011/12/08(木) 20:27:08 ID:???
 ――時計はもう50分を回っている。
 ここまで休憩無し、さすがの私だって疲れてくるわけで。
 だから、隣で寝転がって省エネ運転になったとしてもそれは正常なことであり。
 押すというより、さするという動作になってもそれは仕方の無いことであり。
 掛け布団が邪魔だから、一緒に中に入っていても何も問題など無いのだ。

 感じるのは体温と嗅ぎ慣れた匂い、マフラーよりずっと深く私を包んでくれる。
 私はもう一人じゃない。かけがいの無い、幸せなひと時……
 でも、こういう時に限って時間は早く過ぎてしまうのだ。

「……そろそろ時間だけど、どうする?」
「……」
「……竜児?」

 返ってくるのは規則正しい寝息。竜児はみっともなく涎まで垂らして、安穏な顔で眠っていた。
 ホント、目さえ瞑っていれば悪く無い顔だけど……やっぱり連日の疲れが溜まっていたのだろう。

 出来ればこのまま、ゆっくり寝かせてあげたい。
 一緒の布団で添い寝して、寝顔をずっと眺めていたい。
 そして朝になったら、おはようのキスして起こしてみたい。

 ……でも、今はこれが精一杯。
 まだ高校生だから。私は門限までに帰らなくちゃいけないし、竜児もこれから勉強しなくちゃいけない。

 それに今着ているのは貧乏臭い芋ジャージ、ベッドだってシングルだし、そもそも私お風呂に入ってない。
 そういうのはもっと準備とかムードとか、整えてからのほうがいい。
 どうせやるなら、その時はもっと盛大にやろう。
 私の作った手料理をいっぱい食べさせて(その頃には作れるようになってるよね?)
 入浴剤たっぷりのお風呂に入れて、私も入って。
 服は趣味に走ったフリフリのネグリジェ……いや、あえて触感重視でシンプルなパジャマも。
 照明だって蛍光灯じゃなくて、もっと薄暗くて暖色系の照明に。
 もちろん、ベッドはセミダブル以上で。
 うるさい門限も無し。キスだって解禁して、それから……

 竜児も喜んでくれるかな、それとも贅沢だってぼやくかな?
 疲れているんだ寝かせてくれ、なんて言ったら殴るけど。

 よくよく考えてみれば、物だけだったら隣に住んでた頃に揃っていたのにね。
 やろうと思えばいくらでも出来た環境だったのに、何もしなかっただなんて。今から考えると惜しい事したかも。
 でも、いい。
 他人から押し付けられた物より、自分たちで掴んだ物のほうが良いに決まっている。
 まだ機は熟していない。今がっついても渋いだけ、それこそMOTTAINAI。


 そう言えば、寝たら起こしてくれって竜児に頼まれている。だから今すぐ起こして、今日はおしまい。
 そうするのが正解。
 でも……ああ、やっぱり起こせないよ。少しでも長く、寝かせてあげたい。
 だって、こんなに幸せそうなんだもの。
 いっそ、このまま時間が止まっちゃえばいいのに。

 でも、時間は止まってくれないから。明日も幸せでいたいから。
 我慢する、我慢はするけど……
 私、フィアンセだもん。少しぐらいなら、いいよね?


 だから私は目覚ましを一時間後にセットして、布団を掛け直して、涎も拭いて。
 仕上げに軽くキスを落としてから、そっと部屋を出た。

[fin]

325 :ローカルルール追記議論中@自治スレ:2011/12/09(金) 15:21:49.36 ID:palUJ8gO0
>>324
これは穏やかでいい雰囲気のSS…GJ!
役に立ちたい大河のかわいさが測定不能。高須姓にデレデレな乙女っぷりにも2828
本当に切りとったら意味も悟りそうだし竜児は照れまくるだろうなw
竜児の癒しの時間なのが凄く伝わってくるなあ、幸せそう。乙でした!

326 :ローカルルール追記議論中@自治スレ:2011/12/10(土) 01:19:30.56 ID:0nVIXxkc0
代理まで使ってご苦労様でした
とても良かったです
原作の雰囲気が欲で照る見事な文体でした

327 :ローカルルール追記議論中@自治スレ:2011/12/10(土) 23:29:19.67 ID:gfAS9o0w0
「ねぇ竜児、外見て」
「今夜は冷えるからそんな恰好じゃ、風邪引くぞ…って うぉ、星、すげぇな…」
「ね、今日はどうしてのかしら、いつもよりたくさん星が見える気が… あ!」
「なんだ?」
「月が赤い…」
「あ、いけねぇ、そういやぁ今日は皆既月食だった。俺としたことが忘れてるなんて…」
「ね、竜児」
「ん?」
「月食が終わって、満月に戻ったら…」
「おう…」
「…オオカミになっていいわよ」
「…竜じゃなかったのかよ? てか、そんなに待てねぇよ…」


〜月食の夜空を見上げながら、アニメ最終話のセリフを思い出して〜

328 :ローカルルール追記議論中@自治スレ:2011/12/10(土) 23:43:44.01 ID:3oY7FiHh0
>>324
初投下乙
手乗りタイガーとまで言われた大河が癒し系の彼女に…というか乙女に…
原作のアフターならこれくらい丸くなっていてもおかしくないなw

329 :ローカルルール追記議論中@自治スレ:2011/12/11(日) 00:00:03.01 ID:JTB+614F0
>>327
282828 二人で見てるんだろうなー

>>324
おお、新たな書き手さんが…!ヒャッホー乙です!代理も乙!
マッサージいいねいいね、でも序盤で違う期待をしたw所々仕込まれている原作ネタにニヤリ。
大河の真心が可愛くてほっこり温まるお話、GJでした

ベタっちゃベタだけど、原作の”猛毒”やそこのくだりはたまらなかったなぁ
”彼女は致死量の毒を孕んだ”と、ちゃんと1巻初対面でも使われてる表現で一貫してるんだよね
ほかにも、”香りだけで人を殺す”→「殺す気か…!?」とかw
出逢ったその日から〜という回答に説得力のある描写がしっかりある。

しかし告白されて「殺す気か…!?」って、これ以上ないほどベタ惚れな返事だと思うw

330 :ローカルルール追記議論中@自治スレ:2011/12/11(日) 00:35:56.97 ID:80+8ys830
>>329
ゆゆこすごいよな。4巻の花火シーン、竜児があーみんに「誰かが寂しいかじゃなく
お前が寂しいか」って言ってるが、10巻では「大河か必要としているかじゃなく、
お前が必要としているなら、ちゃんと伝えろ」って言ってる。

竜児ぶれがねぇ、って話でもあるけど、亜美の課題が何かってことだよな。

331 :ローカルルール追記議論中@自治スレ:2011/12/11(日) 20:24:37.06 ID:ahWqobH70
ですな

332 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/12(月) 00:40:57.57 ID:o6aInZoQ0
以下に「シンデレラなんかになりたくない」の続きを投下します。
ちょっと短いかも。
5レスくらい使います。

333 :シンデレラなんかになりたくない12 ◆x6jzI2BeLw :2011/12/12(月) 00:43:03.69 ID:o6aInZoQ0

「・・・おふたりが考えた末に、お世話になった方々の前で、愛を誓い合いたいと言うことで、この様な趣旨のお式を執り行わせて頂く事になりました。どうぞ、みなさま暖かくお見守りください」
よどみなく司会を進める川嶋亜美はここでいったん、言葉を切り会場へ視線を投げかける。
パチパチと小さな拍手がそこかしこに生まれ、大きなうねりになって会場を包み込んだ。

「みなさまの賛同を得られました。ありがとうございます」
神父や神主の前で誓いをすると言う従来からの式を選択しないで、参列者の前で永遠を誓うと言う人前式が承認されたのを受けて竜児と大河は軽く一礼した。

顔を上げながら竜児は隣の大河を盗み見る。
・・・これで良かったのか?
竜児の物言いたげな視線に気が付いたのか大河は問題ないよとばかり式台の陰に隠れて竜児の手に自分の手を重ねた。

式を挙げるに当たって竜児と大河の間で激論と言うほどではないが喉に刺さった魚の小骨のような問題があったのだ。



「式はドレスね」
「おう」
その点は竜児も異存が無かった。
「あんたが紋付はかまなんて着たら・・・」
クックッと大河は笑う。
「2代目襲名式だって言いたんだろう」
「あら、良く分かってるじゃない」
「ほっとけ・・・じゃあ、式のスタイルは教会でいいんだろ」
すぐにでも「うん」と言う返事があると思っていた竜児は沈んだ表情を浮かべた大河を見つけ、やや慌てた。
「な、なんだよ・・・なにかまずいのか?」
「・・・うん、ううん」
煮え切らない大河の返事。
それでも竜児は固く結ばれたひもを解くように大河のわだかまりを解き明かして行った。

「・・・そう言うことかよ」
「うん・・・ねえ、竜児・・・私、どうしたらいい?」
困惑を隠せないで居る大河を前に竜児はここに居ない誰かを怒鳴りつけてやりたい気分だった。
・・・なんで、こんな時まで大河を苦しめるんだよ・・・おっさんよ。

竜児が怒鳴りつけたいと思った相手は大河の実の父親、逢坂陸郎だった。
多額の負債を放置したまま、行方不明になっていた逢坂陸郎だが、最近になってその消息が知れたのだ。
・・・海外逃亡していた・・・地球の裏側、ブラジルへ。
彼の地で再起を図っているようで、やや羽振りを取り戻しているらしい。
もちろん、帰国すれば裁判所に財産を押さえられてしまうので、帰るに帰れない状況らしかった。


334 :シンデレラなんかになりたくない12 ◆x6jzI2BeLw :2011/12/12(月) 00:44:01.09 ID:o6aInZoQ0

大河は竜児にこう言ったのだ。
「ねえ・・・誰に手を引いてもらえばいいいの?」
バージンロードの先導役・・・それは新婦の父親が相場だ。
この場合・・・大河には資格者がふたり居る。
竜児としては逢坂陸郎に資格があるなんて思いたくも無いが、大河としては割り切れないところがあるらしかった。
母親の再婚相手のかりそめの父親・・・逢坂陸郎に比べればその立場に居た時間は遥かに短い。
でも、与えられた愛情は際限なく大きい。
大河は頭をふるふると振った。
気持ちとしては今の父親に手を引いてもらって構わない・・・でも、どこかで納得していない自分がいると大河は打ち明けた。
竜児は頭を抱えたくなったが、同時にそんなことを思う大河をより愛しいと感じるのも事実だった。
・・・あんなやつ、知らないわ。
そう大河が言ったとしても、竜児に大河を責める気持ちは生まれない。
生まれはしないが、心の片隅できっと「でも、なあ」と言うもやもやしたものが出て来るに違いなかった。
だから、目の前で大河が苦しんでいるのを見て、よりいっそう、気持ちが寄り沿って行くのを竜児は感じたのだ。

無意識に竜児は大河の頭を撫でていた。
「いい子だな・・・大河は」
「子供扱いしないで」
小さな口元をわずかに尖らせ、大河は抗議する姿勢を見せた。
「じゃあ」
竜児は立ち上がると大河の後ろに回り、床に座ったままの姿勢でいる大河を両手で包み込むように抱き締めた。
「ちょ、ちょっと」
急に何よと大河は身を抗う。
そんな大河の動きを封じるように竜児は両手に力を込め、鼻先を大河の大河の髪の中に潜らた。
そしてそのまま耳元でささやいたのだ。
・・・そんな大河が可愛くて、大好きだ・・・と。

「・・・ばか」
大河の返事はそっけなくそれだけだったけど、耳たぶまで真っ赤に染めて、竜児の気持ちに応えていた。


そのふたりが選んだ答えが今日の人前式だった。
あれから考えた末、竜児は言ったのだ。
「神さまに誓うんじゃない・・・みんなに認めてもらうんだ」
そのために今日まで頑張って来たんじゃないかと竜児は言う。
だから、一緒に胸を張って、並んで入場しよう・・・そう竜児は大河へ提案した。
大河は竜児をじっと見つめ、ありがとうと答えてうつむいた。
竜児は何も言わず、大河の小さな肩を抱き寄せて、そっと背中を叩いた。
竜児の胸の中で大河は小さなスンと言う音を立て、それからくぐもった声で竜児と名前を呼んだ。
「おう」と、いつも以上に優しさを込めて返事をする竜児。
・・・あんたしか、いないから。
大河のつぶやき。
「俺も・・・お前だけだ・・・大河」
同じ様につぶやく竜児。
大河はすがりつくみたいにぎゅっと竜児の胸元の服を掴んだ。
それに答えるように竜児は大河を己が腕の中にさらに囲い込んで行った。

もう言葉を交わす必要が無いほど、ふたりの心は混ざり合い、麻薬が行き渡るような幸福感に浸っていた。



335 :シンデレラなんかになりたくない12 ◆x6jzI2BeLw :2011/12/12(月) 00:48:06.77 ID:o6aInZoQ0

司会の川嶋亜美に促され、竜児は式台を前に立ち上がった。
タキシードの内ポケットから、読み上げる予定の誓いの言葉を書いた原稿を取り出し、広げる。
そしてそのまま、しばらく動かなかった。
参列者がどうしたのかと思い始める直前に、竜児は広げた原稿をたたみ、式台の上にそっと置いた。
「こういう大事な席だから・・・外さないようにって・・・何日も考えて・・・誓いの言葉って奴を考えたんだけど・・・なんか借り物の言葉みたいでしっくり来ないんだ。
だから、原稿のことは忘れる・・・今から言うことは俺の本心だし、もしかしたらこういう席で言うには不適切な言葉が入るかもしれない・・・だけど、聴いて欲しい」
そこで言葉を切り、竜児は隣の大河を見つめる。
「この世に大河って言う女の子が居てくれたことを、俺は何様でもいい、すごく感謝したい。そしてその大河が俺のパートーナーになってくれたってことにも感謝したい。・・・ドジで泣き虫で・・・わがままいっぱい・・・
正直、どうして好きになったのか・・・自己分析できねえんだよな、これが・・・おかしいけど・・・おかしくなるくらい・・・好きになっちまった」
竜児は小さく息を継ぐ。
「ケンカもしたし、顔も見たくないって時もあった・・・・・・でも、不思議とすぐにこいつの顔が見たくなるんだよな・・・声が聞きたくなるんだよ・・・どんだけ、自分の中で大河が占めてるんだろうって」
ここで竜児は会場へ顔を向けた。
「絶対に手放さない・・・何があってもだ・・・俺はこいつ、大河の隣にずっと居る。どんなことがあってもだ・・・死がふたりを分かつまでだって・・・冗談じゃない・・・
例え死んだとしても俺はお前の側を離れない・・・絶対にだ・・・だから、大河に言いたい・・・これからもずっと一緒だ、約束する」
変な誓いの言葉だけどと言い置いて、竜児は着席した。


続いて大河が席を立つ。
そして、冒頭、小さくため息をついて見せた。
「まったく、あんたときたら、アドリブしてくれちゃって」
そう言いながら、大河も取り出した原稿を伏せた。
「夜も寝ないで考えたんだからね・・・無駄になったわ・・・」
不満げな顔を見せた大河だったが、一転して花が咲くような笑顔を見せた。
「私も同じよ、竜児・・・あんたって言うのが居てくれたおかげでどれだけ救われたかわかんないくらい・・・いろいろあったけど・・・竜児が私を選んでくれたことがいちばんの喜び。
愛想つかされてもおかしくなかったのにね・・・知ってる人は知ってるけど・・・私が竜児にプロポーズされたのって・・・高校生の時・・・寒い季節で、あの頃の絶望的な私の心に灯を付けてくれたのは竜児だった。
最初の小さな炎がだんだん大きくなって・・・もう持て余すくらい・・・」
ここで大河は竜児を見る。
「安心して、私も竜児と一緒だから・・・竜と虎は並び立つって言ってくれたよね。忘れないよ、私、ずっとその言葉、信じてるから」
大河は改めて正面に向き直り、ぺこりと頭を下げた。
「誓いの言葉らしくないけど、これが私の気持ちだから」
そう言うと大河は着席した。

司会が承認を求めるまでも無く、会場は大きな拍手に包まれた。
その、長い長い拍手を聞きながら、竜児と大河は抑えきれない笑みを浮かべ顔を見合わせていた。


336 :シンデレラなんかになりたくない12 ◆x6jzI2BeLw :2011/12/12(月) 00:49:02.69 ID:o6aInZoQ0

「リングを、新郎新婦のご友人でいらっしゃいます北村祐作様、櫛枝実乃梨様にお渡しいただきます」
指輪の交換を始める旨を説明する川嶋亜美の台詞に大河も竜児も「え?」と言う顔をする。
予定ではリングガール、リングボーイは式場が用意した子役のアルバイトがやるはずだったからだ。

「そういう訳だ」
「そう言うこと」
いつの間にか会場を前から回り込んだのか北村と櫛枝が竜児と大河の脇に立っていた。
「俺たちにも出番があってもいいだろ」
「あーみんばっかり目立って面白くないし」
お茶目な表情で櫛枝はのたまう。
「高須」
北村は顔色を改め、竜児を呼ぶ。
「良かったな・・・とにかくおめでとう」
「ああ・・・ありがとうな」
差し出されたリングケースを受け取り、竜児は指輪を手にする。

「ほら、大河」
竜児に声を掛けられ、おずおずと大河は指先を竜児へ差し出す。
小指に貼られたままのバンドエイドに竜児は微笑む。
・・・また、ドジったのか。
・・・うるさいわね、さっさとはめなさいよ。
声にならない会話を交わして、竜児は大河の指先をへとリングを導いた。
大河の指先から伝わるヒンヤリとしたリングの感触。
竜児の手によって薬指へ収まり、鈍い光を放つ。
大河の心の中で本当に竜児のお嫁さんになれたんだと言う気持ちが徐々に湧き上って来る。

「次は大河ね・・・しっかりしてよ」
櫛枝に言われて、大河は気を引き締める。
うんとうなづくと大河は指輪を手に竜児に向う。

「竜児」
「おう」
小さく指先を震えさせながら大河は竜児の大きな指にリングを通して行く。

「ありがとな」
通し終えた大河へ掛けられた竜児の労いの言葉に、どっと気持ちが押し寄せて来て大河は瞳の堤防が緩むのを止められなかった。
「うん」
鼻声になるのを堪えるように大河は返事をする。
今まで流した中で最高の一滴とも言うべき珠玉の涙を大河は惜しげもなく、指先で拭う。
「笑顔・・・だよね」
泣き笑いの表情で大河は言う。
「おう」
肩を震わせそうになる大河を優しく見つめる竜児。


気遣わしげに竜児たちを見つめる川嶋亜美の視線に櫛枝は「大丈夫」と目でサインを送る。
川嶋はうなづくとマイクへ向った。



337 :シンデレラなんかになりたくない12 ◆x6jzI2BeLw :2011/12/12(月) 00:51:00.77 ID:o6aInZoQ0

「それでは、これより新婦のベールを上げて頂きます」
大河と竜児にエールを送るように川嶋亜美はベールアップの開始を告げる。


ショートと言っても背の低い大河にはミディアムに近く腰の辺りまで伸びたレースのベール。
立った大河の背中でそよ風に揺れている。
レース越しに見える大河の顔。
竜児を見るとその中で、大河は精一杯、笑顔を見せた。
その顔に二重写しで重なるもひとつの顔。
幸せの先取りだよと言いながら布団のシーツをはぎ取って、「ほら、ベール」って言った高校生の大河だった。
・・・じいちゃん家の2階だったよな。
窓辺に寄りそうに並んで将来を語ったあの時・・・。
来るはずだと信じた未来・・・それが今、目の前に開かれている。

竜児は大河の前で片方のひざを地面に付け視線の位置を少し下げた。
そして、手を伸ばすと大河の顔を覆っていたベールをゆっくり持ち上げる。
少しだけくすぐったそうな表情を見せる大河。
大河の前を覆っていたベールが無くなると、その向こうから幾度と無く見つめた大河の瞳が竜児を見返す。

・・・待たせちまったな、大河。
竜児の無言の問い掛けに大河はまばたきをする。
・・・ううん、全然待ってないよ、竜児。
まるで、そう言っているようだった。


大河はゆっくりと瞳を閉じた。
万感の想いを込めて竜児はそっと大河へ頬を寄せる。

触れ合うその先が熱を帯びてふたりを包んだ。

・・・もう、何度もしてるはずなのに。
・・・まるで、初めてみたい。

大河はそう思った。





今回はここまでです。
まあ、したこともないんで結婚式^^;

アレな点はご容赦を・・・
あと、もうちょっと続きます。

338 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/12(月) 01:26:18.26 ID:kjakXy510
>>337
すごく感動いたしました。なんだか涙が出た次第でゆっくり次もお待ちしてます。普段ROM専の者より。

339 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/12(月) 23:41:47.03 ID:GAYFNllt0
>>337
>「いい子だな・・・大河は」
竜児に同意、いい子だよ大河は超いい子。
だから幸福になるのは義務。

大河が満たされて幸福な結婚式の模様を書いている、◆x6jzI2BeLwさんGJ。

340 :ローカルルール追記議論中@自治スレ:2011/12/13(火) 22:03:03.38 ID:JDKSqYDG0
>>337
乙です!
父の事で気に病むのが大河らしい…愛しむ竜児の気持ちがすごくわかる
お互いが好きで好きで仕方ないって愛が溢れててスピーチにはこっちが赤面する程w
本当に竜虎には幸せになってほしい
続きも楽しみに待ってます

341 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/14(水) 23:33:29.18 ID:dxkbkjHr0
BD発売一週間前

楽しみですね

342 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/15(木) 23:22:14.65 ID:UEVKvBVN0
ドラマCD3、ゆゆぽの書き下ろしなんて贅沢言わないから
ジャケを竜虎にしてほしい

343 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/16(金) 00:10:19.69 ID:sEAoBfmk0
公式だと他キャラクターのファンへの配慮もあるだろうから竜虎イラストも気を使うだろうね
そこにうまぁくいちゃいちゃ要素を忍ばせて欲しいもんだなw

344 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/16(金) 01:21:16.59 ID:cHLJWCwx0
別に気を使う義理も必要もないと思うけどね
とらドラは竜児と大河のボーイ・ミーツ・ガール
この二人が鉄板で唯一無二で絶対

345 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/16(金) 01:34:43.72 ID:yJbjHeZ0I
>>337 乙 !


346 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/16(金) 21:59:10.00 ID:W4FpMRSM0
ラブ絵はアニメだとDVD8巻ジャケ、アニメスタイル表紙があるね
初々しいカップルな感じで萌えた
どっちもカメラ目線だったから今度は二人だけの世界な感じで一つ!
時間軸は本編中だろうけど、竜虎なら十分可能

男性向けラノベだから女キャラ優先なのは仕方ないとわかるんだけど、もっと竜虎押ししてほしいよな

347 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/16(金) 23:37:23.30 ID:0jd5s6U80
竜児×大河の絵なら、おつかれさまでした!の本のラストページも良い
公式絵ではないが

348 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/17(土) 08:10:12.89 ID:AhTielb50
BD発売まであと4日。当日は記念にSS投下でも、と思っていたがすまん。無理だった。

349 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/17(土) 18:03:37.72 ID:4CRiz+FM0
>>347
あの絵は密着度高くて2828するw
ヤス絵だと、最終巻ラストのが好きだ。あれが表紙でよかった
絶叫絵でウェディングが見れたら死ねる

>>348
諦めたらそこで試合終了ですよ…?

350 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/17(土) 19:37:05.53 ID:hDnpwbqz0
さりげなくヤス絵の話題を振ってくれてありがとう!
一押しは『わたしたちの田村くん』131pの真っ赤なダッフルコートを来た大河だな
ここだけでしか見れない中学時代の大河イラストだからレアですね

351 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/17(土) 23:23:24.81 ID:6Tt5l/Ev0
>>347ってどんな絵?

352 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/17(土) 23:53:33.80 ID:JrGii1X50
>>348
もっと熱くなれよ!
うそです熱くなってくださいおねがいします

>>350
かわいい、確かにすごくかわいいけどさw
もし大河が相馬や松澤と出会ったら…変わった大河なら割と誰とでも打ち解けられそうだけど、その前にあの二人の仲が想像できないな…
竜児は相馬松澤の美少女ぶりを前にして「俺の大河が一番」と心のなかで惚気てるといいw

>>351
その絵を元に壁紙作ってる人がいたよー
ttp://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira061747.jpg

353 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/18(日) 00:28:36.33 ID:+rYRX6SB0
>>352
いや、ネタにレスしてくれてありがとうw
『とらドラ!』からゆゆこ読んだから『-田村くん』後でなあ、どう見ても厨房大河だ!という激烈第一印象がぬぐえない

ちなみに大河と相馬がもし会ったら……
中学〜高一の短期間であんなに頭身が伸びた相馬に嫉妬の嵐を隠さないとみたね!
まっつぁんとは割と素で仲良くなりそう、ってか大河の方から優しく接しそうな印象

354 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/18(日) 04:35:42.66 ID:/lArf8aS0
伊欧は大河の中学の後輩って裏設定があるそうだし、パラレルとはいえ高浦兄妹とは
出会ってるから、あり得ない話ではないよね。

ゴールデンタイムに通行人バカップルとかでちらっと出てこないかなぁと思ってしまうw

355 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/18(日) 19:30:29.04 ID:2EWWCdll0
>>349
俺は最終巻表紙の大河好きだよ。顔色がどうとか批判されているけど、それまでずっと
不機嫌顔だった表紙大河が、この間だけ笑ってるんだよ。

356 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/18(日) 21:22:04.97 ID:6Wo426dF0
笑顔というところに意味があるよな
スピンオフ3表紙も、これまでとは違う優しい微笑みで感慨深かった
ただやっぱり竜虎表紙もほしかった…
竜児はキャラ立ちしている主人公だし、大河との絆もしっかり書かれてるから

357 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/18(日) 22:59:21.58 ID:ECKIclcX0
スピンオフ3の目次の所と、その隣のページの後ろ姿が好きだなぁw
あれ見てるとSSが書けそうな気がしてくるから困る

358 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/18(日) 23:00:26.18 ID:2EWWCdll0
>>356
そう言う意味じゃ、アニメはよくやったと思うよ。竜児があの三白眼を細めて優しげな
表情を作る様を見事に描いてる。俺、竜児のあの表情好きなんだよ。

BDまで三日か。

359 :【 - baby holding hands - 】 00 ◆askgvpoGB. :2011/12/18(日) 23:46:07.77 ID:B7CSvqpC0

こんばんは。
久しぶり過ぎて最後に投稿したのがいつだったか忘れてしまいましたが、二年ぶりくらいです。
BD発売でモチベが上がってる今こそ、
書き上げきれなかった最後の章を仕上げるチャンスだと思って頑張ってみました。

大河の出産を巡るドタバタ、長女の竜河が産まれてすぐの分娩室。
我が子を見守る竜虎を見守るあーみん視点の作品です。

一応、前作のアフターの位置付けです、と言っても5秒後から始まるようなものですがw
前作までの流れを知らないとニヤニヤ出来ない部分もありますので、お暇な方は下のリンクからどうぞ。

ttp://tigerxdragon.web.fc2.com/index/SS16/789a.html
ttp://tigerxdragon.web.fc2.com/index/SS16/789b.html
ttp://tigerxdragon.web.fc2.com/index/SS16/789c.html
ttp://tigerxdragon.web.fc2.com/index/SS16/789d.html

それでは。


360 :【 - baby holding hands - 】 01 ◆askgvpoGB. :2011/12/18(日) 23:47:31.45 ID:B7CSvqpC0


――そんな事を思っていると、赤ちゃんの口が段々大きく開いていくのが見えた。

「……って、ちょっ……」

やばい、と思った時には既に遅く、大きな声を上げて泣き出してしまった。

「わっ!?」
「うおっ!?」

突然の大音量に実乃梨ちゃんも高須君も驚いたように声の主を見つめる。

「あっ!? 竜児あんた何やってんのよ、泣かせてんじゃないわよ!」
「大河がでっかい声出すからだろうが……ったく、よーしよし。いい子でちゅね〜」

いやいや、どっちもどっち……だよね……と呆れていると、タイガーが片肘を付いて起き上がった。
上半身だけ起こした状態で赤ちゃんの首の下に手を差し入れて、あっという間に胸元へと抱き上げた。
その、あまりにも自然な動作に驚いていると、

「き〜ら〜き〜ら、 ひ〜か〜る〜 お〜そ〜ら〜の、 ほ〜し〜よ〜♪」

ゆっくりと、ゆっくりと、一言一言区切るように歌い始めた。
その声は小さく、かすれる様な感じなので耳を澄まさないと聞こえないくらい。

「ま〜ば〜た〜き、 し〜て〜は、 み〜ん〜な〜を、 見〜て〜る〜♪」

赤ちゃんにだけ聞かせるように俯きながら微かに身体を揺らしていて、
左手で赤ちゃんの胸元にポンポンと触れながらリズムを取って歌っている。

「き〜ら〜き〜ら、 ひ〜か〜る〜 お〜そ〜ら〜の、 ほ〜、 し〜、 よ〜♪」

そうしている内に赤ちゃんはあっという間に泣き止んだ。

ママの腕の中は居心地が良いらしく、両手を元気いっぱいに動かし始める。
タイガーはクスッと一つ微笑んで、ちらりと高須君を見て、どうよ?とばかりに片眉を上げるのはいつも通り。

「す、すげぇな……」
「ふふーん、だ。……ねぇ〜竜河?ずっとこうやって歌ってあげてたもんねぇ〜?」

そう言って赤ちゃんに……竜河ちゃんに顔を寄せて笑いかける。
あわやファーストキス強奪の危機!? と思ったけど、寸前で思い留まったらしい。

……あ、こっち見た。ちょっと睨むようにして、少し口を曲げて笑って、
そして人が変わったかのように優しい笑顔で我が子に微笑む……と。

「……フン」

あーあ、マジでやってらんねーっての。
いったい何度、こいつらに見せ付けられればいいんだろう?


361 :【 - baby holding hands - 】 02 ◆askgvpoGB. :2011/12/18(日) 23:48:27.11 ID:B7CSvqpC0

「あっ…………」

あたしの不貞腐れた溜息に反応したのかどうかは分からないが、
何かに気付いたみたいにハッとした顔をしてタイガーが言った。

「そうだ……二人とも本当にありがとね。おかげさまで何とやらってやつよ」
「何だよそりゃ……」
「いやいやぁ、わたしゃ信じてたよ。大河なら絶対大丈夫だってね!」

それを聞いたタイガーは弾けんばかりの笑顔で宣言する。

「母子ともに健康ですっ!……って、見てりゃ分かるわよね?」
「うんうん! ちょー元気ですげーよ!」
「ホントだよねぇ……あんだけ『竜児ぃ〜竜児ぃ〜』って言ってたやつとは思えないくらい元気じゃね?」
「……おう?」
「あっ、ばかちー! バラすな!」

途端にボッと頬を染めて、慌てた素振りで口止めしようとしてくるが、

「あれれぇ、いいのかなぁ?ホラホラ、怒鳴ったりしたら竜河ちゃんがまた泣き出しちゃうよ?」
「うっ…………」

なんせ相手は赤ちゃんを抱いてるんだ。そんな状態であたしに勝てるなんて思わないでよね?

「あんた……後で覚えておきなさいよ……?」
「はいはいっ、と〜♪」

我ながら大人気ないと思うけど、楽しいんだからしょうがない。チビ虎いじりはライフワークってか?

「でもま……無事に産めたのは、ほんっと二人のおかげ。いくら感謝してもし足りないくらい」
「い、いやぁ、そんなことないぜよ」
「そんな風に言われたんじゃ調子狂うっつーの……」

照れ隠しにそう言ってみるけど、タイガーはニコニコ顔のままでこちらを見ている。
あたしも、実乃梨ちゃんもニコニコ笑っていて、女三人でキャーキャー騒いでた午前中に戻ったみたい。

――あれが随分昔のことのよう。


362 :【 - baby holding hands - 】 03 ◆askgvpoGB. :2011/12/18(日) 23:49:57.60 ID:B7CSvqpC0

まだ2、3時間しか経ってないってのに、タイガーのお腹はぺったんこになってて、
その腕には新しい命があって……そんな感慨に浸っていると、
すっかり忘れ去られた存在だった高須君がおずおずと割って入ってくる。

「な、なぁ大河? その……俺もまた……竜河のこと抱きてえんだけど……」
「なによ……あ、分かった。誰からも相手にされなくって寂しかったんでしょ?竜河に癒しを求めるんじゃないっ!」
「いや、普通求めるだろう!?」

……うん、普通は求めるよね。
……だよね、今のはあんまりじゃね?
……高須君ってば可哀想。
……まぁいつも通りってやつ?

なんて感じであたしと実乃梨ちゃんが通じ合っていると、

「お生憎様。
 さっきあんたが抱いたら泣いちゃったじゃない?
 今度もきっとそうなるじゃない?
 そしたらまた私が苦労するじゃない?
 だからダメ」

…………なんという傲慢三段活用。
なんてヒドイ。言葉も出ない。代わりに涙が出そう。
「ねぇ〜竜河ぁ〜」とニコニコタイガーが上機嫌で笑いかけるその横で、半ベソ状態の高須君が哀れすぎる。

「うそうそ。冗談よ、竜児。ほら、変わってあげるから腕伸ばして……」
「……おうっ!?」

パァァ……と花が咲くように笑顔になる高須君。これが有名なアメとムチか?それとも駄犬の躾ってやつか?
ベッドに座ったタイガーが隣の高須君に竜河ちゃんを渡そうとしながら、

「はい、パパですよぉ〜……って竜児!? もっとしっかり首支えて! あぁもう、何やってんのよ!?」
「うおっ!? なんだ……やけに難しいな、なんで大河はそんな上手いんだ?」
「そりゃーママですから」

理屈など不要! と聞こえた気がした。
……でも実際にアレってそんなもんだよと、あたしの本能が囁きかける。
高須君は、と見れば「なんだよそりゃ?」とこちらも声が聞こえてきそうなほど目を見開いている。


363 :【 - baby holding hands - 】 04 ◆askgvpoGB. :2011/12/18(日) 23:51:15.95 ID:B7CSvqpC0

「大河すげー!」
「そう……なのか……な?」

冷静に考えれば、つい数年前までは幼い弟の面倒を見てたらしいし、手慣れてるのも納得がいく。
だけど高須君はそれに思い当たる余裕もなく、ぐずりはじめた竜河ちゃん相手にあたふたしている。

「文句ある?だって私出来てたでしょ?あんた出来ないでしょ?ほら、こうやるのよ……こうよ、こう!」

でもまぁ、言ってる事に間違いがあるわけじゃないし、突っ込まないであげようか……なんて。

「お、おう……こう……かな? あれ? どこが違うんだ……? おうっ!? 分かったぞ! こうか!」
「ちっがーう!!!」

……これだけ騒いでるのにちっとも動じない竜河ちゃんは、きっと将来大物になるに違いない。
っていうか、産後って絶対安静なんじゃねーの?なんて思っていると、実乃梨ちゃんが話しかけてきた。

「あーみん気付いているかね?」
「ん、何が?」
「あの高須君が……大河よりぶきっちょだよ……」
「あぁ……言われてみればそうね……いつもと逆って変な感じ」
「ママになるってすげーんだね! 高須君に勝っちゃったよー!」
「いや……勝ち負けじゃねーし……」

高須君は努力の人だから、きっと近い将来タイガーと同じかそれ以上こなせるようになると思うんだけど。
大体この暴君タイガーに子育てなんて出来るの?と一瞬だけ心配になるが、すぐに大丈夫だと思い至る。
今日だって、言葉遣いは相変わらずだったけど乱暴なことをしたわけじゃない。むしろ優しい場面に何度も遭遇した。

「そう……そうそう。腕だけじゃなくて胸に抱えるような感じね……」
「うっ? こ、これは……? やばい、大河。変な位置で止めたら腕がつりそうだ……」
「つっても耐える! っていうか、力を入れすぎなのよ。あんたが緊張してたら竜河に伝わっちゃうでしょ」

そもそも、傷の癒えた虎が、しかも子連れの虎がそんなことをする道理がない。
とすれば、さっきみたいに優しく、今みたいに力強く、自分の手の届く範囲を守っていくのだろう。

「パパの腕はどう?……ん?あはは、下手っぴだってよ?」
「ほんとかよ……うおっ!?」

竜河ちゃんが文字通り竜と虎の子供なのだとしたら、それは縄張りと呼ぶのかもしれないが、
タイガーは……あの子は人間なんだから、それは家族と呼ばれるものに違いない。


◇ ◇ ◇



364 :【 - baby holding hands - 】 05 ◆askgvpoGB. :2011/12/18(日) 23:52:46.91 ID:B7CSvqpC0


それから暫く、竜河ちゃんを抱いた高須君はベッド脇の椅子に腰掛けてタイガーに抱き方講座を受けている。
ああでもない、こうでもないと昔ながらのやり取りを繰り広げていたけど、どうやら落ち着いて来たらしい。

「お?これどうだ?何だか収まりがいいな。こんな感じでいいのか?」
「ま、悪くないんじゃない?」

高須君の腕の中もまんざらでもないのか、竜河ちゃんは静かに身を委ねている。
「んー」だか「あー」だかよく分からない言葉を発しながら、時折動いては高須君を慌てさせている。

「きっと大河に似てすっげー綺麗になるぜ?」
「竜児みたく家事上手にならないかしらね?そしたら楽できるのに」

娘の将来に幸多かれと願う高須君の慎ましやかな祈り。
そしてそれをぶち壊しにするようなグータラ未来予想図を描いてるタイガー。

「…………」
「…………」

いくら男がロマンチストで女がリアリストだと言っても、生まれて間もない竜河ちゃんに
初めに願う事がこれなのだから高須君の心痛は察して余りあると言うものだ。

おい、お前、何だかもう色々と信じらんねぇ。
と言った風情で目を眇めている高須君に掛ける言葉が見当たらない。可哀想すぎて。

「…………はぁ…………おまえな」

知らない人が見ればものすごい形相で睨んでるようにしか見えないが、
タイガーはと見れば全く効いた様子もなくペロと舌を出しておどけてみせる。

「これだけ痛い思いしたんだもの、親孝行して欲しいもんだわ」
「気が早すぎるだろ、いくらなんでも……」
「なによ。竜児は頑張れ、頑張れしか言わなかったじゃない。はぁーあ、女って損よねー」
「そ、そりゃあ……」

思ってても、それは言っちゃーいけないんじゃない?なんて思うけど、高須君は気にした様子も無い。

「……ったく」

ふっと溜息を付いて、穏やかな笑顔を浮かべる。

昔から何度も見た事がある。
ワガママ言い放題、荒れ放題、甘え放題のタイガーを全て包み込んで来たアレだ。

「ま、でも、本当に……よく頑張ったな……」


365 :【 - baby holding hands - 】 06 ◆askgvpoGB. :2011/12/18(日) 23:54:49.50 ID:B7CSvqpC0

その慈愛に満ちた表情は駄々っ子を諭す母親のようで、
本物の母親になったばかりのタイガーもさすがにきまりが悪くなったのか、

「それは…………そんなの……竜児が……いてくれたから……に決まってるじゃない」

なんて珍しく可愛い台詞。

「……お、おう」

二人とも落ち着いて来たみたいで静かな口調になってきた。
少し前の事を思い出したのか恥ずかしげに見つめ合っている。

「ずっと傍にいてやるって言ってたのに、遅くなってすまねえ」
「ううん。あっという間に来てくれたもん。全然ね……十分なの」

確かに高須君はあっという間に来たと思うし、タイガーだって高須君がいたから頑張れたんだと思う。
そう思うは……思うのだが……何やら雲行きが怪しくなってきた。

「あのさ……大河……」
「え……竜児……?」

ほんのり赤く染まった頬をしながら高須君がタイガーに近づいていく。
あの顔……どこかで見た気がする……しかも今日だ。間違いなく今日だと思う。
でも何だっただろう?色々ありすぎて忘れちゃったみたい。

「ダメか?」
「ううん…………そんなことない……実は……ね、実は……私も……」

そう言いながら僅かにあごを上げるタイガー。
そのラインはふっくら丸みを帯びていて。

なるほど、子を宿すと言うのはこんなにも……っていうか近くない?
ここどこか忘れてない?
あたしら目の前にいるの忘れてない?

「大河……」
「りゅ……竜児……」

高須君の腕に抱かれた竜河ちゃんも今や蚊帳の外。
まさかお腹の中にいる頃から教育されてたなんて思いはしないが、
まるで息を潜めてるんじゃないかって言うくらい静かにしている。

「……ん」

生まれ落ちて五分後には空気が読めるようになるなんて……恐ろしい子……じゃなくてっ!

「い……いやいやいやいや!」
「待てよ! 待てよおい! そこ! あたしらいるんだけど!?」

これはツッコミじゃない。本気の本気で止めに入ってる。
しかし眼前には瞳を閉じかける二人、近づいていく唇……なんてこと……なんて……

「直視は! 直視だけは勘弁しておくれやすぅ〜!」
「聞けよ! ねぇ頼むから聞いて! あたしの声を聞けぇ〜!」

ここまで色々見せ付けられた上に、こいつらのキスシーンまで目撃してなるものか!


366 :【 - baby holding hands - 】 07 ◆askgvpoGB. :2011/12/18(日) 23:56:17.33 ID:B7CSvqpC0

「……はっ、いけない。ばかちーなんか目に入らなかったわ」
「おおう……俺としたことが……今日はもうダメだ……おまえらと顔を合わせらんねえ」

全く恥らう様子の無いタイガーと罰の悪そうな顔をしながら照れる高須君が対照的だ。

「大河……さすがの私でもそれは恥知らずだと思ったり……ねぇ、あーみん?」
「やりすぎなんだよあんたっ!…………あんたらは……」

いけないいけない。大きな声はダメだ。せっかく静かにしてる竜河ちゃんを刺激しちゃう。
あいつらの馬鹿でかいやり取りを聞いてもびくともしなかったからといって安心は出来ない。
あたしの大きな声を聞いたら泣いちゃうかも。もしそうなったら……結構ショックかな?
だってさ、ほら、亜美ちゃん今日頑張ったし?やっぱり好いてもらいたいじゃん?

「ぶっ」

あっはは、なーに考えてんだ、あたしは……でもま、長い付き合いになりそうだよ、あなたとは。
だってさ、縁があるなんてもんじゃないでしょ?
あなたにとってはもちろん大事な誕生日だけど、あたしにとっても忘れられない一日だからさ。

「…………」

唐突に吹き出したあたしを不思議そうに見てから、思い出したようにタイガーが一言。

「あーあ、竜児のせいでばかちーに見られちゃうとこだったじゃない」
「……うるせえよ」

正真正銘の夫婦漫才を横目で眺めつつ、実乃梨ちゃんと顔を見合わせて何度目かの苦笑い。

「ねねね、大河……そんなことよりさ」
「そうそう。あたしらにも挨拶させてよ」

そう言いながらベッド脇にいる高須君に近付く。
パパの腕の中で眠っている竜河ちゃんはしわしわで真っ赤で……その全てがすごく小さくて愛おしい。
瞬きすら忘れて見とれていると、

「……んぷっ」

と今度はタイガーが吹き出した。

「……く……櫛枝……」

高須君の声と視線を追うように実乃梨ちゃんの方に目を向けると、

「ぴるぴるぴー」

と言いながら舌を出している。それだけなら微笑ましい光景と言えなくもないが、
両手の小指がありえないほど鼻の穴に埋まっている上に、ありえないほど鼻の穴を左右に拡げている。
んべっと出した舌を鼻の頭に付けようと上に伸ばした状態で超常現象のような不思議な動きをしていた。

彼女が模した生き物はおそらく提灯アンコウ。
獲物の視線を釘付けにするために女であることを捨てたような変顔を全力、全開、待ったなしで披露してくれちゃってる。

「いや、それ何か違うから……」
「そうよみのりん、それはもう少し大きくなってから……ぷぷっ」


367 :【 - baby holding hands - 】 08 ◆askgvpoGB. :2011/12/18(日) 23:57:29.53 ID:B7CSvqpC0

そうは言いつつ対抗心が湧いて来る。
……いや、竜河ちゃんを構いたくてしょうがないんだね、あたしも。

「こんにちはっ」

満面の笑みを浮かべながら竜河ちゃんの目線の高さまで屈んでひらひらと指先を躍らせる。
まぁ目が開いてるかどうかも分からないし、あたしの事が見えてるかどうか分かったもんじゃないけどね。

「……う」

当然のように竜河ちゃんの反応は無かったけど、その代わりに高須君が声を漏らした。

「あんた……」
「……ん?」

何だろうと思ってると憮然とした表情でタイガーが文句を付けてくる。

「ウチの娘だけじゃ飽き足らず旦那様まで誘惑してくるとは……見上げた根性ね?」
「へっ!?」

竜河ちゃんを覗き込んでいた視線を上げると、友達以上の至近距離に高須君の三白眼。
昔のように高須君をからかうのも楽しいだろうと思うけど、心の準備もしないで今の距離はちょっと近すぎた。
思わずのけ反りつつ距離を空けて冷静を装う。

「……ってか……あたしは竜河ちゃんしか見てないし」

同じくらい近付いていた実乃梨ちゃんは平気だったくせに……なんて思う。

「す……すまん。ちょっとビックリしただけだ……なんだ……その……」

しどろもどろになる高須君にピンと来る。

「あーそっかぁ。高須君ラッキーだったね?
 亜美ちゃんのこーんな無防備な笑顔、見れる人なんて少ないんだから」

気恥ずかしさを隠して必要以上にかわいらしく言い放つとタイガーが呆れたように反論してきた。

「あんたの腹黒分も竜河の前じゃキレイに洗われちゃったんだわね」
「そ……そうだそうだ。なぁ〜竜河も見とれちゃったんだよなぁ〜?」

なんてわざとらしい事を言いながら竜河ちゃんに逃げる高須君。


368 :【 - baby holding hands - 】 09 ◆askgvpoGB. :2011/12/18(日) 23:59:21.97 ID:B7CSvqpC0

「……おうっ?」

あたしたちがあやそうとしてもあんまり反応してくれなかったのに、
高須君がほっぺを撫でると、すぐにまたその指先がキュッと掴まれた。
なんか負けた気がするけど、こればっかりはしょうがない。

「ふふっ……竜河は本当に竜児のことが好きなのね……」

タイガーがあたしの心の声を代弁してくれた。

「そうかそうか、竜河はパパが大好きなんだなぁ〜?」

でれっでれの顔で握られた指先を上下に揺らす。それでも離そうとしない竜河ちゃんの小さな手を見て、
タイガーに潰されかけた真っ赤な手の平を見て、あーあ、と思う。

――あーあ、これから大変だねぇ高須君、と。

その小さい手がこれから大きくなって、きっと、いつか、今みたいに高須君の手をボロボロにしちゃう事もあるだろう。
タイガーがこれから先、長い人生の中で今日みたく必死で握り締める時がくるかもしれない。
だけど……高須君は、その手を離さずに、ずっとずっと、この絆を繋いでいかないとならないんだから。

「ママのことだって大好きだよねぇ、竜河ぁ〜?」

負けじと顔を寄せるのはタイガー。

「どっちも大好きに決まってるべさ!」
「ったく、あんたらは……いきなり競ってんじゃないよ」

あたしと実乃梨ちゃんも傍に寄って、こんなに広い部屋なのに、竜河ちゃんの周りに大集合。
ホント……せせこましいったらありゃしない。

――けれど、その小さな空間はすごく居心地が良くて。
――ミルクのような赤ちゃんの匂いが頬を緩ませる。

悪くないね。うん。全然悪くないよ。


◇ ◇ ◇



369 :【 - baby holding hands - 】 10 ◆askgvpoGB. :2011/12/19(月) 00:01:06.83 ID:pUj4z1Z+0


そんなことを思いながらみんなで竜河ちゃんの一挙手一投足を眺めていると、
ふとタイガーが目を真ん丸にして自分のお腹を凝視し始めた。

「あはは、大河が一番不思議なんじゃない?すっかりお腹も元通りでさ」
「ちゃんとお手入れしないと元の体型に戻りにくいらしいから気を付けなよ?」

と気遣う台詞を投げかけるが、

「ううん……そんなんじゃなくて……そんなんじゃなくてね?」

目を見開いたままワナワナと震えている。

「なんだ……どうしたんだ、大河?」

さすがに見かねて高須君が尋ねる。
体調が優れないのかと心配になるも、

「大変……私……どうしよう……すっごくお腹空いた!」

すっごくどうでもいい事だったらしい。

……なんだそんなことかよ。
……あーあ、心配して損した。
……しょ、しょうがないよね、カロリー消費するし。

三対のジト目に囲まれながらも怯まずに力説するタイガー。

「だってお昼ご飯食べてないし。
 最後に食べたのマドレーヌだし。
 しかも全然足りなかったし」
「あんだけ食って足りなかったの!?」
「さ、三人で分けて食べたから……かな?あ……あはは」

唇を尖らせて不満げに頷くタイガーに目眩がする。
……なんて事だろう。大食い担当二人を含むスイーツ大好き三人娘の
小腹を満たした山盛りマドレーヌがまさかの一人前だったとは。

「って、ちょっと待って。ということは……竜河だって腹ペコなんじゃない?」
「おう?そんなもんか?」
「……うーん。ごめんね、大河。あんまり聞かないかなぁ」
「あんた、何のために臍の緒が付いてるのか考えた事ないわけ?」

まぁ、そう言いながらも食いしん坊って遺伝したっけ?と考える。
なにせ虎も竜もそれはそれは大飯喰らいだもんね、と。


370 :【 - baby holding hands - 】 11 ◆askgvpoGB. :2011/12/19(月) 00:03:22.86 ID:pUj4z1Z+0

「きっと言葉が出せないだけで、この子も心の中で叫んでるはずよ」
「ほぅほぅ……ママンになった大河には聞こえるの?」
「そうよ、みのりん。きっとこう言ってるに違いないわ」
「へぇ……なんて言ってるんだ?」

馬鹿らしいと思うあたしとは違って、あくまでも乗っかってあげる実乃梨ちゃんと高須君。

「肉を……肉をくれぇ〜! ってね」
「はぁ!? そんなの、あんただけでしょ!?」
「大河それは……さすがに……」
「そんなこったろうと思ったよ」

相変わらずの逆風を物ともせずに勢い込みながら続ける。
……むしろ勢いが付きすぎて前のめりに倒れる寸前だったりして。
思えばこの子の自爆パターンはいつもそうだったし。

「だっ、だったら母乳の出番じゃない?そうよ!
我が子がお腹を減らしてるんだからね! 私の晴れの舞台がやって来たってものよ!」

ホラ寄越しなさい、と言わんばかりに腕を伸ばして竜河ちゃんを受け取るタイガー。
それを心配そうに見ながら高須君が尋ねる。

「大丈夫なのか?こんな産まれたてなのに」
「あんただって味見したでしょうよ」
「んばっ!? ばっ、ばかやろう! 大河お前なんっ……っ!」

特大の爆弾をまともに食らった高須君が顎をカクカクと震わせている。
何かを言おうとするが次の言葉が続かない。
なるほど。つんのめった先にはいつものように高須君がいたわけだ。
そして一番痛い思いをするのも高須君。まさに運命と言う名の予定調和。

「味見ですと!?」
「へぇ〜そうやっておねだりしたんだ。ふ〜ん?」
「ちがっ!」

何が違うと言うのか……神と、時間と、吸われた本人さえ許せば小一時間くらい問い詰めたい。
俄然瞳の輝きが増した実乃梨ちゃんと冷ややかな視線を向けるあたしの前で
真っ赤な顔を左右に激しく震わせて否定のポーズ。
椅子を鳴らして立ち上がりかけ必死で弁解しようとする高須君の言葉にかぶせるように、

「まーあたしらには関係ないけど……ねぇ〜?実乃梨ちゃん」
「……ふむ。味覚の探究者としては、やはりそこは外せなかったわけだね?」

ずずいと前のめり。赤っ恥を晒してる高須君の更に内面に切り込んで行くのが恐ろしい。


371 :【 - baby holding hands - 】 12 ◆askgvpoGB. :2011/12/19(月) 00:05:17.98 ID:pUj4z1Z+0

「と……とにかくダメだ。母乳にしろ何にしろ、先生に聞いてからにしよう」
「ぶー」

せっかくの晴れ舞台を。とか何とかブツブツ言いながら諦めきれないのか、

「ねー竜河。お腹減ったよねぇ〜?」

と胸元の我が子に視線を送る。
猫のように目を細めるのがやけにお似合いで、コイツやっぱり猫科だよね……と思ってると、

「うぷぷ。ほらほら竜児、見てみなさいよ」
「おう?竜河がどうした?」

渡りに船とはこの事か。
あたしたちの視線から逃げるように腰を屈め、タイガーと共に我が子の顔を覗き込む。

「ママのおっぱいが飲めなくて残念なのよねぇ〜?お預けされちゃって残念って顔してるわよ、あはは」
「そ、そうなのか?すげぇな。俺にはまだ見分けが付かねぇぞ?」

なんて微笑ましい会話を繰り広げる新米パパとママ。

「見て見て。この口の尖んがらせ方とかホント……竜児に似てるわ」
「おう……そうか?」

目を細めたままコロコロと転がるような声で笑うタイガー。

「竜児にお預けした時とそっくり……ふふっ」
「ぶっ!」

何とか自分のペースを取り戻そうと必死で頑張ってた高須君に容赦のない追撃。
おっぱいをお預けされる顔さえ友人達に想像されるのはさぞや恥ずかしいだろう。

「も……萌えていいかい、あーみん?」
「だから……想像したくもないっつーの!」

そんなあたしたちのツッコミも聞こえないみたいで高須君は物も言えずに立ち尽くしている。
その首から上は真っ赤を通り越して赤鬼と呼んでも差し障りがないほど。
落ち着きなく顔を揺らしながら「あ……う……」などと唸る。
只でさえ小さな黒目がギュッと収縮していて、どこから見ても人外のモノだ。
視線を合わせたら死に至るであろう怪奇光線を真っ白な病室に乱射してるようで不衛生極まりない。

「んふふ……竜河はあんまり強く吸っちゃヤだよぅ?」

その台詞を聞かされるこっちがヤだよ!と叫び出したいのを寸前で堪える。
実乃梨ちゃんのうっとりした三分開きの瞳に気付いた高須君の顔がますます赤黒くなり頭から湯気があがるよう。

「…………誰か……助けて……」


◇ ◇ ◇



372 :【 - baby holding hands - 】 13 ◆askgvpoGB. :2011/12/19(月) 00:06:31.05 ID:pUj4z1Z+0


そんなあたしの願いが伝わったのだろうか、パタパタと誰かが走ってくる音が聞こえてくる。
入り口の方を気にかけながら少し待つとキャリアウーマン風の女性と、
おめでたそうな漢字が書いてあるエプロンを付けた女性が部屋に入って来た。

「大河ちゃぁ〜ん☆ りゅ〜ちゃ〜ん☆ ――っ!? きゃあああああああああぁ☆★☆★☆★」
「大河? あらら、もう終わっちゃったのね。ま、元気そうで安心したわ」

真っ白な部屋が真っ黄色になりそうな甲高い声と、やけに冷静な声が対照的だ。

「……おっと、到着なされたようだね」
「そうだね……家族の時間だね」

実乃梨ちゃんと頷き合って、二人を迎え入れるようにベッドの脇を空けると、
落ち着いた方のお母さんがあたしに軽く目配せをして通り過ぎてく。

「ママ、ついさっきよ。終わったの」
「そう……お疲れ様、大河」
「ふあぁ〜ちっちゃくって可愛い〜よ〜」
「泰子、いきなり近付きすぎだ。大体、手とか洗ったのか?」

さっきのあたしたちと同じようにお母さん達も竜河ちゃんを取り囲んでワイワイやり始めた。
それを一歩引いた位置で実乃梨ちゃんと眺めていると、ちょいちょいと肩を叩かれた。

「あーみん、どっかでお茶でもしようか?」
「それいいね。亜美ちゃん疲れちゃったぁ」

手近なカフェでも探そうと決めて、皆に気を遣わせないようにゆっくり背を向ける。

「りゅ、竜児君?ここはやっぱり、大河の親である私が……その、抱いてもいいかしらね?」
「ほえぇ?ず〜る〜い〜! やっちゃんだって竜ちゃんの親なんだから、先に抱〜く〜の〜!」

などと可愛さ余ってちょっとした小競り合い。

「ママったらワガママ言わないでよ、もう! どうせ竜児が一番だったんだし大して変わらないわよ」
「いやいやいやいや、お義母さんがお先にどうぞ。泰子、おまえはちょっと我慢しろって」
「やだやだや〜だ〜! ふえぇぇぇ〜ん! 竜ちゃんが苛めるよぉ〜」
「おぎゃああああああああああああああああああああぁぁ!」

背中越しに大音量の泣き声が届いて来て思わず肩をすくませる。
さっきと比べるまでもなく本気の泣き方だ。
だから大きな声はダメだって……言っては……いないけど。

「うおお!?」
「ちょっとみんな静かにしてって! せっかく泣き止んだのにもぉう!」

竜河ちゃんの泣き声に負けない大声を張り上げるタイガー。
もはやここが神聖な分娩室だとは思えないくらい騒がしい。


373 :【 - baby holding hands - 】 14 ◆askgvpoGB. :2011/12/19(月) 00:09:03.41 ID:pUj4z1Z+0

「あらら。あららら。貸しなさい大河。すぐに泣き止ませるから」
「やっちゃんだって上手いんだよ〜?竜ちゃんあやしの名人だったんだから〜」
「ママったら邪魔しないでよ!」
「泰子! 黙って大河に任せとけ!」
「……いやはや、賑やかですなぁ」
「だから……ここは病院だっつーの!」

静かに出て行こうとした苦労は何だったんだろうと思いながら連れ立って入り口に向かう。
二人して肩をすくめて笑い合うと、実乃梨ちゃんは美味しい物でも食べた時みたいに満ち足りた顔をして、

「ねぇ、あーみん。あの二人の周りはいっつも騒々しくて、んでも……楽しそうだよね」
「ん……ホント……そうだね」

――昔も今も、絶対ああはならないぞと思いながら……でもいつも……いつだって楽しそうな二人が羨ましくなる。

「……あたしも」
「うん?どしたよ、あーみん?」
「あたしも楽しい家庭を作るぞーって……あはっ」

普段なら言わない恥ずかしい台詞を口に出して照れ笑い。

「おっと、奇遇だね。私もそう思ってたところだよ」
「えっ?……って事はそういう相手がいるんだ?」
「いやっ、まだだよ私は。まだまだそこまで行ってないっつーか……」
「あー。なんか怪しいなぁ?そこまでじゃないけどイイ人はいるんじゃない?」

正直に言って、実乃梨ちゃんにそういう話は全く無いと決め付けてたから思わず食いついてしまう。

「たはは……あーみんには勝てませんなぁ」
「うっそぉ〜!? ちょ……ちょっと、詳しく聞かせてよ。ねぇ、どんな人なの?」
「そういうあーみんこそ、デートのお誘いで首が回らないんじゃないかね?」
「あたしは清純派で売ってるんだから無理無理!
 映画の話だってあるんだし、今は恋人より仕事よ、仕事。それより……」

きゃっきゃと話しながら待合室を通り抜け非常口のようなドアから外に出る。

「……そういや、さっきの……謝りに行かなくていいの?」

さっきの?何の事?と思っていると警備員の制服が頭に浮かぶ。

「あー。あんなのどうでもいいの。だってこのあたしがわざわざ頭下げて謝ったんだよ?」
「黒い! 黒いぜあーみん! あの若いお医者さんとか楽しみにしてるんじゃないのかね?」

柔らかい日差しを感じて空を見上げる。
さっきはうらめしかった青空が、今はあの三人を祝福してくれてるように思える。

「そうねぇ……そしたら…………

  実乃梨ちゃんにとびっきりの笑顔を向けて。

    ……スクリーンの中でたーっぷり微笑んであげればいいのっ♪」



【 - baby holding hands - end - 】


374 : ◆askgvpoGB. :2011/12/19(月) 00:10:15.56 ID:pUj4z1Z+0

やっと完結出来ました。お付き合い頂いた方、ありがとうございます。
BDやらCDやらの発売で今以上に盛り上がるとイイですね。それでは〜。


375 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/19(月) 04:54:04.98 ID:ru8UBABQ0
>>374 乙!ずっと続き待ってたからうれしいわ

376 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/19(月) 07:13:50.49 ID:9oSMIy3/0
懐かしいSSが…
とりあえず乙でした。
竜児&大河含め、みのりんとあーみんも原作らしさをちゃんと出してて嫌味もなく、良かったです。

しかし、大河と同じく病院のベットの上で読む事になろうとは…orz

377 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/20(火) 00:15:49.91 ID:r0XOtGLu0
>>374
うおぉぉぉビックリした!まさかの二年ぶりの続きが……GJ!
幸せそうな大河の、ハシャぎながらも良い母ちゃんっぷりが可愛くてたまらん。
竜児頑張れwつっても周囲目に入らずちゅーしようとする竜児も相当重症w
相変わらずあーみんの独白がうまくてかわええ。
いつになってもラブラブな二人、そんな両親やまわりの人達から目一杯愛情を注がれている竜河、
賑やかな一家が浮かんでくるお話に心がぽかぽかしました。本当に乙でした!

>>376
つ竜虎の匂いつきマフラー
お大事に!

>>357
目次の絵はぎこちなさが萌えるw再会して間もないって所かな
デフォルメもかわいい

378 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/20(火) 22:44:59.50 ID:/I5G1+Vz0
BDBOX発送の報せが未だ来ず。
明日には届かないことが確定しました。
悔しいです。
皆さんは僕の分まで楽しんで下さい。or2

379 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/20(火) 23:30:24.11 ID:fvcgP8Zu0
地元の配送センターで日時指定待機になってた…( ̄◇ ̄;)

380 :モトをとれ! ◆0/FKyHtS2M :2011/12/21(水) 00:16:00.90 ID:wuQSQdjx0
※脱力系ですが宜しかったら。8レスほど頂きます。


 よく晴れていて、だからこそ冷え込みが厳しい冬の朝。高須竜児はなかなか朝ご飯を食べに
こない逢坂大河の部屋を訪ねてインターフォンを鳴らしたが、反応はなかった。

 実家の都合で遠方に引っ越して一年が経ち、高校卒業後、再びこの大橋市で進学のため独り
暮らしを始めた彼女の部屋は、竜児の家から歩いて3分コンビニ寄って10分わき目もふらず
走ったら信号待ちを除いて1分40秒と、お隣さんではなくなっても相変わらずご近所さんで
あって、かつてとさほど変わらない暮らしを取り戻している。
 一つだけ変わったのは、いずれ華燭の典を迎える仲であることをお互いに深く了解し合って
いる点だが、まあ、外形上はあの頃と大して変わりゃしない馴れ合い生活。

 片付かねえ、しょうがねえ、とか。言い訳しながら冷めてしまったご飯をタッパに詰め直し
て、ほとほと自分は甘くできていると呆れはしても、むしろ朝寝坊で起きない大河を起こして
ぶうぶう文句を付けながら食事をする機会など久しぶりで、楽しみの方が先に立つ竜児は入る
ぞと近所迷惑にならない程度に声を掛けて、ポケットから探り出した合鍵を差し込んで回す。
 婚約者の部屋に静かに上がり込みながら、どのみち叩き起こすというのに寝てる邪魔はすま
いと忍び足の自分に気が付いて少々おかしい。

「なんだ?おい」

 狭い玄関で靴を脱ぐと右手にユニットバス、その先の一角が狭いキッチン。オールフローリ
ングのワンルームタイプが大河の部屋で、その廊下と言える部分に、前に来た時には見た覚え
のないまあるいホットプレートのようなものがでんと置いてある。
 それをちらちら見下ろしながら居室に相当するエリアとの境を仕切っているアコーディオン
カーテンをちゃき……と空けて部屋を覗きこんだ。

 うあ……暑っついな。

 明け方は冷えるからタイマーでエアコンをセットしたのだろう、室内はほとんど初夏のよう
な温度となり空気はカラカラ。入ってすぐのベッドには掛け布団を蹴落として枕から170度
回転した大河が今にも端から落ちそうな仰向けに横たわっている凄惨な現場を目撃する。

 竜児は黙ってピっと。エアコンを切ったらローテーブルに弁当を置いて脇に座り込んだ。傍
らのちっちゃい死体みたいなのは暑いのと頭に血が上るので鮮やかなバラ色の顔色で苦しげな
表情をしている。
 この有様では二度寝三度寝当たり前〜な状況なのだろうが、暑さにムカついて意地になって
寝ているというのが読める。あとちょっと寝乱れたパジャマ姿がエロ可愛いくてじっくり眺め
ているのはもちろん本人に対しては内緒で、へその形がいいんだよとか妙にマニアックな鑑賞
モード。

 しばし眺めたら、外を歩いて冷え切っていた両手で、大河の頬を挟みこんだ。

「ひ……ひぇやらぁぁぁん、あ、冷たくて気持ちいん」

 反射的につかんだ掌と甲とに、すりすりほっぺた擦りつけて冷たさを堪能、やがて大河はぱ
っちりと目を開く。あらおはよ、なんて悪びれずふへへぇ、お愛想笑い。で、それが済んだら
また眠り姫に戻ろうと。
 
 こら寝るなもう日が高いんだから洗濯して掃除していろいろと、第一寝坊してると夜ねむく
なんねえぞ。竜児は矢継ぎ早に説教混じりで起こしにかかる。
 うっさいなあと布団の端をつかんでくるくる巻きモノとなり抵抗する大河。食品のため埃を
立てたくなくあんまり乱暴な手段をとれない竜児はとっとと餌をぶら下げることにした。

「卵焼き、甘いのと明太子入りと二種類、あるぞ?」


381 :モトをとれ! ◆0/FKyHtS2M :2011/12/21(水) 00:16:51.74 ID:wuQSQdjx0
 もぞもぞしていたロールケーキ状の布団がぴたっと動きを止め、ちょっと考えた様子ののち
逆に回転して解け、中身がころんとベッド下にまろび落ちた。

「なによ、そういうことは早く言いなさいよ。ふぁ〜〜〜ぁ」
「でかいクチだな。なんか懐かしい。拳入るかも……あ痛ぇっ!」
「私だってね、いろいろ忙しいの。たまには睡眠不足の解消が必要なの!」
「明け方まで起きてたとしてももう足りてる。汗かいたんなら風邪ひくぞ?それとも先にメシにするか?」
「ご飯。着替えたりなんなり埃立てる前に済ますものは済ます!」
「おう、そうしよう。俺も実は腹減って腹減って」
「先に食べとけばいいのに……」
「馬鹿言え。お前の顔見ないで食うメシなんか旨くねえ」

 レンジで順次温めてローテーブルに広げた朝ご飯を済ました午前10時。お茶をすすってほ
っと一呼吸つくと、いい?掃除とか洗濯とかあんたはしなくていいからゴロゴロしてなと言い
置いて大河はシャワーを浴びに行った。

 とは言え、竜児は所在無げにごろごろするのなんて最も苦手としている性分だ。響くシャワ
ーの音を聞きながらついマイふきんでテーブルを磨いたりしているうち目に付く埃が気になり
始め、導かれるままに拭いて行くと大河の机にたどり着き、置いてある新年のダイヤリーが目
に止まった。
 来年から手帳じゃなくB6判に変えるんだなと何気なく手に取り、ぱらりと表紙をめくって
しまってから、あ、いけね。これはプライバシーだとすぐ閉じ……る前に表紙裏に書かれた大
河の丸っこい字を読んでしまう。

 逢坂大河、今年の三大ニュース
 1、年をひとつとった
 2、髪が少し伸びた
 3、部屋が散らかっている

 ぶっ。
 試し書きってやつだろう、まだ年越していないから特に書く事も思い付かなくて。それにし
ても普通は十大ニュースのところ4つめ以降が出てこず飽きたとみえる。部屋が散らかってる
て……現在形か?辺り見回してそのまま書きつけて、あそれで気が逸れたんだな?いろいろと
突っ込みどころが可笑しくて、まるで書き込んでいるその場を目撃したかのように竜児のツボ
に入る。

(いや、いけねえいけねえ。見て……ないと)

 元通りの場所に元通りの形に置いて、そんなことには言及しないと誓う。そうすると余計に、
波状的に、思い出し笑いがこみ上げて来るが。

 ぷーとか息をつきながら湯上がりの大河が部屋に戻って来たときに、そういや髪が伸びてる
な、春先に比べたらと気が付いてもう止められなくなってしまい、くっくくっく笑いをこらえ
ながらブローを手伝い始めた。
 当然ながら、大河には不審がられる。

「なに?アタマなんか付いてる?」
「い、いや済まねえ。さっき掃除しててうっかり新年のダイヤリーめくっちまってさ」

 ほらあれ、と机を指差しあっさり白状してしまう。たとえキレられても殴られても構わない
から、面白い事や楽しい事があったら大河と半分に分けあいたいのだ、竜児は。


382 :モトをとれ! ◆0/FKyHtS2M :2011/12/21(水) 00:18:02.87 ID:wuQSQdjx0
「こないだ買ったばっかで何も書いてないよ。あれ?書いたかな」
「おう、悪い」
「書いたわ。つまんない事。なんか新品のまま置いとくの落ち着かなくて」
「すまん、ツボった」
「?どこが?」
「髪伸びたんだな……ぶっくくく。いや悪い。ほんとに悪い。これから気を付ける」
「べつにあんたに見られて困ることなんてないけど」

 ……貸しにしとくわ。
 少しばかりムっとして、大河は竜児を睨み上げる。別にプライバシーを盗み見られたからと
いうわけではなく、笑いのツボがズレているのがちょっと不満なのだ。

「ふん。さぁて、こうしている間に時間を有効に使って、お掃除しちゃお」

 ラグに転がっていたリモコンを手に取ると、ピッ。カーテンの向こうでフィーンと微かなモ
ーター音が聴こえてきた。なんだそれ?と背後で髪を手に小分けして梳いていた竜児が大河の
手元とカーテンの向こうを交互に見比べる。

「ん。昨日買ったの。お掃除ロボット『サンバ』。入る時あんたも見たでしょ?」
「ロボット!あれが!」

 ホットプレートかと思ったなどと言いながら腕を伸ばしてアコーディオンカーテンを半分ほ
ど開けた向こうに、LEDを明滅させながら床を動き回る円盤を目撃。ほお?と切れ長の三白
眼をより一層細めて見つめると、「悪い、あと自分でやってくれ」言い置いて婚約者の御髪の
世話を放棄、廊下に行ってしゃがみ込むとサンバの動きを目で追いながら通過した跡を指でこ
すってみたりする。
 うーん、ほう?ほおお?すっかり興味を奪われもう夢中の竜児に対しては、大河、意外にも
ふふん♪と満足げ。そうだろう、昨夜は自分も同じ興奮を味わったのだからモトは取らないと
いけない。ていうか興味の引かれ具合は自分よりも竜児の方が強力だという確信も持てたから
まさに思い通りで、そりゃ部屋が散らかっている、のあとダイヤリーの試し書きなんぞに戻れ
なかったわけだ。

 お?おおおお、とサンバに追いかけられるような形になって竜児は居間へ戻ってくる。

「満遍なく吸い取ってる。障害物も避けてる。センサーとAI搭載だな?」
「アメリカ製よ」

 かみ合ってはいなくても男と女の会話というのは理解しあえるもの。

「床に置いてあるものを台に上げて、あとはスイッチだけだ?」
「アメリカ製だからね」
「俺ら何?追い立てられて逃げ回るのか?」
「ううん。床にマーカー置いてあるでしょ?あれで掃除する範囲を設定できる」

 廊下と居室の境、壁際に置いてある小さなマーカー。たぶん赤外線かなんかでラインを引い
てあるだろうことは竜児にもすぐ分かった。本体はそれを越えてこちらへ来ることなく、忠実
に廊下の掃除を続けている。壁にガンガンぶつかる事もなく寸前で向きを変え、周縁に備えた
ブラシで角や隅を念入りに掃き出しては本体が吸い上げる。

「ほう〜?」
「部屋の掃除に移る時もボタンひとつ。私はベッドの上に寝っ転がる。というわけ」
「へえええええ?」

 ふたりして掛け布団とともにベッドに這い上がって座りこみ、スイッチを切り替えると部屋
に入って来たサンバの動きを目で追いかける。
「ね?こうしてるうちにお掃除完了っていう」「おう。おおおお?」


383 :モトをとれ! ◆0/FKyHtS2M :2011/12/21(水) 00:18:53.04 ID:wuQSQdjx0
 得意げな大河はセルフで髪を乾かし終わり、竜児の肩にぽふんと頭を預ければ以心伝心、そ
っと優しく背を抱かれればここはベッドのうえ。湯上がりのいい香りに健康優良青年たる竜児
には抗うすべはなくちゅっちゅっいちゃいちゃウッシッシ。ウシシは古すぎか私。てへ。

 ……とか小さな胸と頭で描いた日曜の昼下がりなのだったが、寄りかかった身体を支えてく
れる腕がなかなか動いてはくれない。あれ?と思いつつ大河が見上げてみれば……いけない、
あれは何度か見た事がある。

 色恋沙汰よりも、金銭欲よりも、家事全般をいかにエレガントにまとめ上げるかたぶん竜児
にしか分からない美意識に取り憑かれた目。
 静かに優しい表情をしてくれるときは好きだけど、世間一般の尺度での竜児のそれは怖い顔
と言っていい。それに比べたら今の表情の方がキリっとして不敵なツラ構えで、惚れた欲目か
も知れないけどイケメンに見えるはず。かぁっこいいと思わないでもないが、決して手放しで
褒めるべき顔でもない。あれは、変態の目だ。

 変態の視線がお掃除ロボットを注視して、口元を吊りあげてへえとかほうとか感嘆の吐息を
漏らしてる。はぁどおしよ?コマセが効きすぎて餌たる自分に魚が食いついてくれない状態と
いうか、うん。はははぁ!釣り失敗!
 多少でも掃除は手を使って心をこめてやるもんだという反発があるだろうと思っていて、こ
んなに変態的に憧れ一辺倒に陥るとまでは予想していなかった。まだまだ竜児と正確に心を一
つにするにはたくさん峠を越えていく必要があると思い知らされて……まあ、うん。

 面白いね。ぜんぜん退屈なんかしない。
 キスしても、セックスしても、きっと結婚してもこどもができても、どんなに距離が近くな
ってもきっとこう。私とあんた。

 肩を抱く片手を捕まえて両手で弄んだ。別にいちいち咎めだてするほどの事じゃないのは分
かってる。ちゃんと今したい事、してほしい事を態度で伝えればいいだけだから、掌をほどい
て、五本の指をひとつずつ握ってみる。
 少し間があったけどそれはきちんと正確に伝わり、竜児は大河に向き直る。即座に竜児は大
河に押し倒されて、初めて気づかずに凶暴な飢えた虎を焦らし続けていた罪に思い至った。
 睡眠欲、食欲と満たされたら次は……なんて女だよと苦笑しながらも思う。でもそこが可愛
らしくてたまらなかったんだ、最初から。


 ひと心地ついた頃までにサンバのお掃除はベッドの下まで二度三度と入念に済まされ、充電
ポイントにおとなしく帰っていた。

「なあ?」
「んー?」
「拭き掃除はやってくんねえのか?あれ」
「それは後で自分でやんないと」
「ちょっと興奮したけどよく考えたら只の掃除機か。幾らするんだ?」
「七万八千円」
「ななっ!……割に合わねえような気がしてきたな」

 うーん。難しい顔をして大河も考え込む。ボタンひとつでお掃除が全部済むような気でいた
からこそ思い切って購入したのだが、水拭きやら障害物の片付けやらを考え合わせるとそれほ
ど手間を省けるってほどでもない。掛かる時間で言ったら、たぶんフル装備でやる気満々の竜
児にやってもらった方が半分で済むだろうし、第一お互いに楽しい。


384 :モトをとれ! ◆0/FKyHtS2M :2011/12/21(水) 00:19:45.99 ID:wuQSQdjx0
「ちょっといいな欲しいと思ったけどなあ」
「ね、いいなと思ったのをショウビジネスのチケット代みたいに換算したら?」
「うーん。それでも俺とお前の分で1万円行かないだろ?」
「そうねえ。割に合わなかったわね」
「音が静かだし壁とか傷つけないメリットが1万円ぶんくらいか?あれなら深夜でも掃除機かけだけできる」
「あ、忘れてたけど最初に買おうと思った動機がそれよ」
「まあここに帰るの平日は深夜だけだからな。他の掃除機じゃあ選択できないわけだし」
「なんとかモトをとる屁理屈がないかしら?」
「屁理屈だって最初から認めるのか?」

 しばらく考え込んで、やがて大河はあんたん家へ持って行こうと言いだした。

「モトをとるために!」
「なんでうちの掃除をロボットにやらせるとモトが取れるんだよ?」
「やっちゃんを喜ばせるの」

 なるほど!と竜児も気が付いた。
 母の泰子ならサンバのお掃除風景を二度三度楽しむのは必至。そのぶんだけチケット代換算
項目で得が積算される。普通の掃除機と同じ収支に達したところで大河の部屋に戻せば、少な
くとも心理的には安く良い買い物をしたことになる、というわけだ。

 大河にしてみたら自室のお掃除環境は今までと同様でもなんら不都合がないことに気が付い
てしまったので、むしろ長時間過ごす高須家で活用できた方がいい。戻ってこなくても構わな
いと告げた。

「2センチまでの段差は越えるらしいから大丈夫でしょ。ふすま開け放してお掃除ショウよ!」
「ウチで使わせてくれるのは楽しそうだな」
「よし、さっそく午後いこ!重いからあんた持って」
「おう!」


 結論から言おう。泰子には超ウケた。

 こたつの上を片付けたら布団を上にまくりあげ、高須家のふすまをもちろん泰子が寝ている
部屋も開けてサンバを放ったら、最初こそなあにー?と瞼をこすって訝しげだったが、布団を
避けて周囲の埃を吸い込んで行く様子を見ながら、お?おおおおお、お?とさすが母子で竜児
とそっくりな感嘆声を漏らしながらもっそりもそもそ起き出した。
 居間、竜児部屋、台所から風呂場前に至るまで延々と四つん這いで後を追いかけながら見物
したくらいで、どう見ても竜児や大河の木戸銭より高価なキャッシュバック☆と言える。

「な、なぁぁぁぁにぃ?あれ☆」
「お掃除ロボット『サンバ』だよ、やっちゃん」

 大河が胸を張って鼻の穴をふんと広げる。両手はもちろん腰。

「ほ、ほへえ〜〜☆」
「アメリカ製。使い方はね……」

 取説を広げながら姉妹のように頭を寄せ合うのを見て、こういうのを大団円と言うのだろう
と竜児も満足。めでたしめでたし。


 だが。これで終わらないのが竜虎なのである。



385 :モトをとれ! ◆0/FKyHtS2M :2011/12/21(水) 00:20:25.55 ID:wuQSQdjx0
 一週間ほど経って、突然サンバが壊れた。ボタンを押してもモーター音すらしないから相当
深刻な故障らしく、おそらく初期不良製品に当たったのだろうと思った竜児と大河は、保証期
限内でもあることで気楽にメーカーサービスを呼んだ。

「あー、モーター全部焼き切れてますねえ」
「交換っすか?」
「あはは、いやいや。ご購入直後は正常に動作されたとのことですよね?」
「はあ」
「つまり初期不良ではないです」
「というと?」
「重いもの上に乗せて長時間運転されませんでした?」

 黙って後ろから覗きこんでいた大河がついーーーっと視線を逸らすのを竜児は見逃さない。

「サンバは俗に『猫の乗りもの』などと呼ばれておりまして、まあネコくらいならいいんですが」

 泰子がそーーーっと自室に引っ込んで音もなくふすまを締めるのを竜児は目撃した。

「乗って遊ぶらしいんですね。その。こちら様は小さなお子様はいらっしゃらない?」
「あ、ああいえ……今日はちょっと親戚の家に出かけておりまして。そうですか……」
「取説にもですね、ちゃんとご注意がイラスト付きでございまして、はい」
「な、なるほど。そうすると修理は」
「申し訳ございませんが、免責で有償となってしまいます。はい」

 テコテコテコッっとサービスマン氏。慣れっこなのだろうか?手垢のついた電卓を叩いて部
品代など修理費の見積もりを打って竜児に見せる。
 竜児はそーっと大河の顔色をうかがう。
 大河はカクカクとコマ落としのように不審な挙動で、かろうじてふるふる頭を振る。

「うーん。結構掛かりますね。……じゃあ修理はナシで」
「左様でございますかー。どうも申し訳ございませんが、ではこのたびは出張費だけ申し受けます」
「はい……」

「修理されないということで、技術費はサービスさせていただきます。あと向こう3カ月以内
にやっぱり修理という事になりましたら、その際は出張費の方は頂きませんので、こちら作業
伝票の番号をご提示いただければ。ええ。それから些少ではございますが、同型製品を新たに
ご購入ご検討いただけるようでしたら、こちら5%値引きさせていただくクーポンとなってお
りますので宜しかったらお使い下さい。ええ、こちらが使用できる店舗さまの一覧で。そうで
す店舗さまで割引かれた額からさらに5%です、はい。あと……」

 廃棄する場合のユーザー負担の説明を聞いて、自治体のゴミ収集に出すよりメーカーリサイ
クルの方がMOTTAINAI度が少し減りそうと分かり、やはり目配せしあって持って行っ
てもらう事に。

 という顛末で、昨今珍しくなった実直そうな技術社員はサンバを抱えて帰って行った。

「い、いやあ。まあ。なんていうか……ね?」

 これだけバツの悪そうな大河も珍しい。事情も事情だし、渋面の竜児に睨み下ろされてはさ
すがに恥ずかしいと見える。

「うちの小さなお子様、絶対バレてたなあれ……」
「ち、小っさなこどものやったことだから叱らないであげ……た方がいいと思うの」
「お前は何を言ってるんだ」


386 :モトをとれ! ◆0/FKyHtS2M :2011/12/21(水) 00:21:10.45 ID:wuQSQdjx0
 つかお前の資産だから別にお前がいいならいいんだけどよ。と竜児のフキゲン演技もここま
で。真相が読めた先刻から可笑しくてたまらなかったところで、肩が小刻みに震える。だか
ら笑うなっつーの!大河の方は本当に少しばかり不機嫌だ。
 そこにすっとふすまが開いて、りゅうちゃぁーんと珍しくか細い泰子の声。

「ごめぇん大河ちゃん☆やっぱダメだったねえぇ」
「やっぱって……お前もまさかっ!」
「大河ちゃんと遊んでたのー。竜ちゃんのいないとき」
「じゃあ大河の掃除機を半分うちのせいで……す、済まん。ごめんな?」

 事情が分かれば笑い事ではなかった。土下座もやぶさかでない。

「弁償するからねぇ?」
「いいよそんなの。そうだ、やっちゃん、あれ見せてあげて」

 大河と泰子が自分の携帯を開いて竜児に見せた。

「ほお?ほーー。ぶっ!くっくくくく……」

 それは竜児のいないとき。ふたりそれぞれにサンバに乗って遊んでる姿を撮った短い動画だ
った。泰子が体育座りの時はほとんど間欠的にしか動かず、代って軽めの大河がちょこんと正
座したサンバはジリジリとではあっても居間の中を動いていた。重心を真ん中に置かないとい
けないらしく背筋がぴんと伸びていて、その真面目くさった感じと、クルリクルリ回りながら
ほぐれてきて嬉しそうに笑い出してく表情も楽しそうで。

「ね?なんていうか……そう、モト。モト取れたからもういい」
「そうか。ま、こんな顔できたんだからいいのか」
「うん」

 画面は上下に揺れていて見づらいし、音もついてないけれど、撮っている泰子も大笑いして
いるのが分かる。
 それはまるで遊園地の乗り物、そうコーヒーカップのようにも竜児には思えて、急に。

「でもなあ大河、俺すねていいか?」
「あんただけこのお笑い空間にいなかった恨み?」
「おうそうだ。ひとのオフクロとずいっぶん楽しそうじゃねえか」
「いずれ私のお義母さんでもあるんだし、いいじゃん」
「良くねえ」
「まあまあ、二人とも仲良くしよーよ☆」

「別に仲悪くねえ、ちょっとすねてるだけだ。……そうだ」

 揃って泰子にハグされて、例によって大河はちょっと苦しいのだが、緩んだところで竜児が
思い付いたように言い出した。大河の脳天に泰子の額に順繰りに軽く頭突きを入れて、それは
恥ずかしそうに。

「暖かくなったらでいいからどこか遊園地に行こう。……つかお前ら俺を連れてけ」

 ネタだとばかり思って受け答えていたら竜児がマジすねていたでござる。
 大河はくっと吹きかけてしまう。やっぱり……おもしろい。


387 :モトをとれ! ◆0/FKyHtS2M :2011/12/21(水) 00:22:46.90 ID:wuQSQdjx0
「いいよ。……と言いたいとこだけどまあ無理ね」
「なんでだよ」
「あんたが連れてくのがスジに決まってるでしょ」
「いつからそんなこと決まったんだよ」
「すっごい昔、宇宙は無だったのね?そこにビッグバンというのがあって……」
「おいおいおいおい話そっから始めんのかよ、50億年かかるだろ」
「……」
「無視すんな」

 ニコニコしながら言い合いを見守っていた泰子が、竜ちゃーん、大河ちゃんの気持ちも分か
ってあげなきゃー、ふたりで行っておいでーとまとめにかかる。お……ん……と口ごもった竜
児もその辺が落とし所なのはよく分かっている。だいたい家族そろって遊園地で遊ぼうなんて
頃はとうに過ぎているわけだし。

「よし、じゃあこうしよう!」

 でもその辺の空気を遮ったのは大河だった。「やっちゃん、連れてって?あんな面白いの竜
児だけ知らないのはやっぱ可哀想」「そうだねえ☆じゃ、三人で行こっかぁ」「うん!で、そ
れとは別の日、竜児は私を別の遊園地に連れてく。これで公平。三方一両得ってやつね」

 どうよ?得意げな大河を見て、それお前が一番得だよなーと思ってはみるが、別に泰子も俺
もなにか損するわけでもないので竜児は突っ込むのをやめた。自分の子供じみた希望も取り入
れられた事だし、まあ、楽しみなのは間違いない。
 そして。


「モト取るどころか、大もうけよ!いい買い物しちゃった!」

 大河もひたすらいい気分なのだった。



〜おしまい〜


※サンバに乗って遊んでる大河を想像するための参考動画
ttp://www.youtube.com/watch?v=sRWcgM3a_AI

BD発売だっちゅうのにこんな日常系投稿してすんまっせんでしたー。

388 : ◆Eby4Hm2ero :2011/12/21(水) 05:23:46.74 ID:0w6AaiEc0
アニメスタッフがやってくれた!
詳しくは言わんが、新作『弁当の極意』のラストは超!必!見!

>>359
GJ!
完結乙!
母親な大河、いいなあ……
そして所構わずイチャつき始める竜虎萌えw

>>380
こちらもGJ!
お掃除ロボに乗る大河……いかん、見てみたいw
できれば遊園地デート編も是非〜。

389 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2011/12/21(水) 05:27:57.27 ID:0w6AaiEc0
お題 「思って」「指」「寝て」



「あら珍しい」
 呟く大河の目の前には、すやすやと夢の中の竜児。
 寝巻きに着替えてないし机の上にはテキストやらノートやらが広げたままだし、どうやら少し仮眠するつもりが本格的に寝てしまったようで。
「手伝おうかと思っても、相手がレポートじゃどうしようもないものねえ……」
 日曜だから時間はあるし、じっくり観察していたい気もするけれど、さすがにそういうわけにもいかないし。
「竜児ー、朝よー」
 囁きながら指先で頬を突付いてみても反応はなし。
「むー……」
 少し考えて、ちゅっと唇にキスをしてみるが。
「……やっぱり起きないか」
 身を離し、見下ろす大河の顔に浮かぶのは柔らかな微笑み。
「しかたない、今日のご飯は私が作りますか。とりあえずしじみのお味噌汁と……夜は元気が出るような……山芋とかうなぎとかいっちゃおうかしら?」
 音を立てないように気をつけて、大河が静かにドアを閉めた数秒後。竜児はむっくりと身を起こし。
「……あのタイミングで起きられるわけねえだろ」

390 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/21(水) 06:45:32.92 ID:RshjCn2h0
>>GJ
神妙な顔でサンバに乗ってる大河見たいな!

>>388
うぉ!何となくアレかなと予想が付くけど、週末までお預け。

>>389
いや、起きられるだろう。竜児ずるいwww

391 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/21(水) 11:35:22.54 ID:U7oKuL1M0
>>388
おぉ、三題噺氏が!
大河が作ろうとしているメニューが恐ろしすぎるw

アニメ新作見た。(三題噺氏以上の感想は伏せる)
ブックレットは冒頭からのけぞった。

392 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/21(水) 13:11:55.84 ID:+lK5tnv40
新作視聴中、死にそう?

393 :387:2011/12/21(水) 20:32:03.03 ID:wuQSQdjx0
>>388
まとめサイトに遊園地デートの良作品が既にいくつかありますし、そちらをお楽しみいただければと
例えば↓描写のバランスが苦くて酸っぱくて甘くて個人的にイチオシ
ttp://tigerxdragon.web.fc2.com/index/SS21/1029.html
時系列通りでありながら両想い達成後デェトなイメェジが織り込まれてるとこなんか2828もんです

>>389
ところで朝食にしじみ汁ってことは、昨夜ふたり呑みで宿酔い対策?
それとも夜ごはんと目的連動して亜鉛摂らせとこうって意図?
あ、別に答えは求めてないっす
三題噺氏がこれ書いた気分は新作OVA見たら全く同感(キリッ
あの弁当爆発しろっ!

394 : ◆fDszcniTtk :2011/12/21(水) 22:35:55.82 ID:RshjCn2h0
>>393
え、あ、うん、紹介ありがとう(いんこちゃん風)

今新作見終わった。たまんねぇ。竜児の表情とか、迷走具合とか、あれとか、これとか、
しかもちょっといい話。全編これ「アニメスタッフよくやった!」感にあふれてる。

そして、何?この敗北感…。それなりに甘ったるいSS書いてたつもりだけど、やっぱプロは
すごいわ。オリオン座くらい遠い。BD-BOX買ってよかった(感涙)

395 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/21(水) 23:12:18.38 ID:PFmppYCJ0
>>380
日常的イチャラブに2828させてもらいました!
後半は仲良し3人家族に和むまくり。GJです。

>>389
三題噺氏キター!
竜児は真っ赤なんだろうなw大河かわいいよ大河

新作見た。アニメ版で一番好きな話になった。
ラストで泣きそうに

396 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/21(水) 23:31:53.74 ID:aUtujVIY0
OVA神回だったな
あの弁当話をこうするとは

397 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/21(水) 23:38:16.84 ID:XgjE9rdkO
このスレの住人ならマストバイな出来

398 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/22(木) 01:28:17.73 ID:H0YOzBrq0
あんなに竜児を見る大河を見れるなんて。
いやー、視線見ているだけで2828できた。

399 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/22(木) 03:04:20.29 ID:jHa3mhG20
どんどんおかしくなる竜児に気遣わしげな大河が好きだったから
ちゃんと表現されていてよかった!

400 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/22(木) 22:16:26.74 ID:trtvhNB70
買ってよかった!
レコーダーごと買ったけど全く後悔してない!

401 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/22(木) 22:41:01.02 ID:bLYnvCK10
やっぱ新作OVAは盛り上がるねw
ラストシーンで三人娘の服が幼くも背伸びでもなくきっちり18、9歳っぽいのも好きだ
竜虎スレなのに申し訳ないが、みのりんが少しフェミニンな感じだったところに萌えた
萌えたちゅうより、そう、安心感パネェ!

402 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/22(木) 23:02:03.78 ID:trtvhNB70
なんというかすごく幸せな気持ちになった。初めてアニメ最終回見たときと同じような。

ブックレット読んでから新作見たんだけど、ブックレットの対談でスタッフもキャストもとらドラが好きだって口をそろえて言ってたけど、
それが表面上の建前じゃないってことは新作見て確信した。ものすごく作り手側の愛を感じる。
みんなどんだけ「とらドラ!」好きなんだよw

あと頭の中で2期できてるならちょっとでいいんで書いてください、ゆゆこ先生!

403 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/22(木) 23:43:21.34 ID:tvbcg0JR0
ブックレット竜の巻、ヤスの書き下ろしで机の上に並んでいるのは、各巻裏表紙の
デフォルメキャラだな。スピンオフからも応援にきてるが、30歳以上お断りらしい(w

404 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/23(金) 00:28:03.06 ID:2rRwRczh0
ちょっと前にヤス絵イラストの話題があったようだが
4巻口絵7pのおねむ大河を推すやつはいないのかーーーーっ!
どう見ても隣のゆりちゃんより頭身あって大河じゃない感があるけど

これが竜児主観なのだと考えてみたらどうだろう?
4巻の内容的に・・・、・・・ちょっと来るものがないか?

405 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/23(金) 00:47:36.06 ID:SIb1otp50
警告夢から思わずやってしまった竜児の未来妄想ということですね!

イチャラブ後日談が本当にちょっとでいいから読みたいなあ

406 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/23(金) 01:14:00.60 ID:2rRwRczh0
後日談ではないけどスピンオフの『夏休み』と『イモ』は深読みすれば相当イチャラブだと思うぞ
初読のときは「ゆゆこ、この時期にこいつらやってると伝えたいのか?」と本気で考えたもんだ

407 :まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY :2011/12/23(金) 01:26:10.97 ID:O7vnon0C0
ブルーレイ&新作OVA見たけど、凄すぎて言葉が出ないぜ…
家宝にいたします。


あ、まとめサイト更新しました。
ゆゆぽ先生、2期やってもいいのよ?

408 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/23(金) 02:05:00.97 ID:+zi4SUdp0
しかし橋本由香利のインタビューが無いのは片手落ちだろう。

409 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/23(金) 07:38:51.54 ID:AAsTCTBI0
>>408
とらドラ!で劇伴曲が果たした役割は大きいよな…
橋本由香利、某生存戦略のアニメでもいい仕事してるし。
でもなんとなくだが、本人としてはOSTのライナーノーツで十分と言うかもしれない。
だから、長井監督とマリーが「曲を合わせた時、鳥肌!」みたいなの語り合っているのが
見られたら嬉しかったかも。(「Lost my pieces」が流れるシーンとか…)

とらドラ!の曲は、自分のiTunesで再生回数がとんでもないことになっているw

>>407
乙です&いつもありがとうございまっす!
しかし、真ん中あたりのタイトル群がカオスだwwww

410 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/23(金) 18:48:56.39 ID:Qyyzcqtn0
>>407
乙です!
同じく真ん中あたりのタイトルでワロタw

411 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/23(金) 21:10:32.48 ID:Qyyzcqtn0
連レスごめん
OVA本当に素晴らしいね、何度も見ちゃう
ただ、スピンオフは竜児は大河に俺のが一番と思われたいとか嫉妬で
暴走していったようにしか読めなかったので、そのへん消されてたのは残念だった
自分基準から相手のためにと気づく展開でも問題なかったかなと

でも、終始コメディな原作をあんないいテーマで仕上げてくれるとは思わなかったし、
大河は良い嫁だし、しょっぱおにぎりを食べたがる竜児に竜虎萌えだし
一粒で二度おいしい感じでやっぱり満足だ
大河の喜び様に不機嫌な竜児は見てとれたしなw
アニメ竜児って優等生だったから、原作に近いガキっぽさが全開だったのも嬉しかった

ラストは本当に感無量……末永く幸せにな!

412 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/23(金) 21:54:21.39 ID:1knZsYOm0
>>407
乙です!

このスレで絶賛ということは、きっと新作は竜虎成分超盛り……ゴクリ。
早く見てみたいなぁ。

413 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/23(金) 22:20:49.37 ID:2rRwRczh0
>>407
まとめ乙です
真ん中あたりって何のことかと思ったら・・・ブッフォ!

         蛇
新作の竜虎成分は、↑竜←虎な感じがほとんどかなw

あと最後は虎=鶏竜

414 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/24(土) 01:23:30.37 ID:3T9VUHj20
>>407
まとめいつもありがとうございます。

思えば自分の初SSは大河がおにぎり作る話だったなと。新作見た後だと消去してしまいたいくらい恥ずかしいシロモノだ。


>>402書き込んだ後でニコ生でやってた生ラジオの動画見たら間島さんが同じこと言ってて吹いたw
「みんなどんだけとらドラ好きやねん!」ってw
あのメンツからして竜児と川嶋中心のトークになるのは仕方ないけど個人的にはくぎゅの感想がもっと聞きたかったな。
あれだけ熱のこもった演技してたんだから思い入れも相当あるだろうと思うけどコメントはいつも短めだよね。意外とドライなのかね。


それにしても完全生産限定版ってことは無くなったら終了だろうから、ここの住人はどうせ「とらドラ!」が好きすぎる人しかいないんだからお金の工面ができるなら絶対買ったほうがいい。
正直アマゾンなら3万切る値段で買えるし「25話+大ボリュームのブックレット+特典映像+新作OVA」なら安い買い物だと思う。
人に薦めたくなって今まで書いたことのないレビューまで書いてしまったよw

415 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/24(土) 01:30:37.04 ID:J0CIL19T0
DLSiteのとらドラ!同人リスト
http://doujinlist.info/toradora

416 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/24(土) 02:08:40.01 ID:sKHJXL+MO
>>407
まとめありがとうございます。いつもながら的確なタイトルつけて貰えて嬉しいっす!
あとやっぱり真ん中の思わせぶりタイトル群で吹いたw
うおーBD早く届けー!

417 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/24(土) 18:54:05.28 ID:I4JySBtv0
>>412
おう、そりゃもう…みてられない、よし、今のところもう一度って感じだ

418 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/24(土) 22:20:42.66 ID:JHC0lxVH0
今年は色々あったから、イルミネーションなども控えめで、いまいち盛り上がりに欠ける
クリスマス大好きの大河もショボーン(´・ω・`)だろうな

419 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/24(土) 22:43:51.66 ID:ZvN71PLp0
お互いがいる幸せを噛み締めてるよ

420 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/24(土) 23:48:49.52 ID:I4JySBtv0
大河はクリスマスの賑やかな所じゃなくて、一つ一つの家の灯りに幸せを感じるところだからな。
家族と過ごすクリスマスになったし、恋人は凶眼サンタクロースだし、いうこと無いだろう。

421 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/25(日) 00:34:08.06 ID:imN0v1EU0
>>419
>>420
いいね! なんか胸がほっこりした。

ところで新作OVAでの、竜児が暗黒面に落ちた時の極悪フェイスへの言及が無いなw
あれはちょっとビビったww てか、悲鳴をあげない、あーみんさすがだわ。

422 :めりくり ◆0/FKyHtS2M :2011/12/25(日) 00:43:35.54 ID:IpqRe7G40
地味〜なクリスマスものをおひとつ
どうやら新作OVAでも大河は実母との世帯ごと大橋に帰って来たと示されて
ああもうこれで卒業後単身上京設定のいちゃえろ書けないなあと思いましたが
別になんの不都合もないなw

↓7レスほど頂きます。このスレの皆さんにもメリクリ

423 : ◆SDgyzlIVWY :2011/12/25(日) 00:43:39.35 ID:BOPB5/T/0
イブが終わるまでに投下しようと思ったらイブ終わってたorz

駄文ですが、少し借ります。

「聖夜の奇跡」

時期は高3のクリスマス・イブです



424 :めりくり ◆0/FKyHtS2M :2011/12/25(日) 00:45:09.36 ID:IpqRe7G40
わ、投稿がかぶることなんかあるんだ。
>>423氏お先にどうぞ。こちらは午前1時過ぎに再開します。


425 : ◆SDgyzlIVWY :2011/12/25(日) 00:50:53.55 ID:BOPB5/T/0
ちょっとパソコンの調子悪いのでお先にどうぞ・・・

426 :めりくり ◆0/FKyHtS2M :2011/12/25(日) 00:55:29.04 ID:IpqRe7G40
>>425了解しました。じゃお先に7レスほど行かせてもらいます。
アニメ版のアフターイブです。


(うーーーーーっ)

 寒い。寒い寒い寒い。風にひゅーっと吹かれると襟口から袖口からコートの裾の合わせ目か
ら持ち去られていくヌクヌクMOTTAINAI!元々女子にしては筋肉質で代謝機能も優秀、
冷え症とは無縁な身体を授かった逢坂大河といえど寒いものは寒い。結局は薄くて小柄だから、
熱しやすく冷めやすい物理法則にには勝てやしないのだ。一刻も早く家に帰ってこたつの力を
借りて、あと熱々ココアにでもあっためてもらおうと考えていた。

 大河が帰るべき家は婚約者と将来の義母が待つぼろい借家と、実母義父実弟が待つ4LDK
マンションと現在ふたつあったがいま大きな荷物を抱えて向かっているのは借家の方だ。なん
と言ってもクリスマスを迎えるのだから、当日は大事な家族と過ごすけど、イブは愛する者に
寄り添って過ごすのがいい。

(竜児、喜ぶかな?)

 抱えたプレゼントが彼を喜ばすことは間違いないと分かっていて、足取りも軽く鉄製の外階
段を登ると扉を開ける。

「おかえりぃ〜〜ぃいらっしゃぁ〜ぃ↓」

 某新婚さんイジリ番組司会者のお馴染みイントネーションで泰子が声をかけた。ただいまぁ
お邪魔しまぁすと返して大河は上がり込む。付き合いも長くもう気遣いは無用、居間のこたつ
から寝っ転がったまま伸びて、台所のある板の間に顔を出した泰子、この家では本人と大河だ
けがこう呼ぶ愛称やっちゃんにえへ♪と笑みを向けて。

 おう早いな、悪りぃがいま手が離せねえとガスレンジの前に立つ婚約者、高須竜児は火にか
けてる鍋から目を離せないでいた。自慢のベシャメルソースをいままさに注いで、焦がさぬよ
うダマにせぬよう、ちょうどよく火を通した具と合わせる、クリームシチューの成否が決まる
瞬間であったから無理もない。後からの調味や煮返しでフォローも効くけど、ミルクのおいし
さを最大限活かそうとこだわるなら、ここの火加減とかき回しを適当に済ますわけにいかない
ことぐらいは大河にも分かっている。

 だから邪魔にならないよう近づいて、手元と真剣な顔をじっくり眺めた。
 美味しいものを作って、分けあって一緒に食べるのはいい。私にとってもそれは幸いの原点
と、そんなことも思い出しながら。

 とか浸ってみるのも身体の冷えを思い出すまで僅かな間のこと。ぶるっと震えが来て、そう
だったそうだったとコートも脱がず居間のこたつに滑り込む。脚にしみこむような温かさにに
ゅっはぁ〜と頬も緩んで、突っ込んだ手で自分の腿裏を揉みながら肩をぷるぷる揺すったりと
こどものような仕草をしてしまう。

「そと、寒かったねえぇ?」
「うんーー暖かぁ〜……お?」

 こたつの角、角でくっつくような格好で笑みを投げかける泰子の装いには気が付いていて、
大河は頃合いをみて反応してみた。やっちゃんいつもと違うね?

「そ、イブはかき入れどきなのぉ☆ どぉ?サンタコス無理なーいぃ?」
「うん、かわいいかわいい♪あ、ミニスカサンタなんだね。でも……」
「やっぱここぉ?」


427 :めりくり ◆0/FKyHtS2M :2011/12/25(日) 00:56:29.11 ID:IpqRe7G40
 こたつから立ち上がって、肘でシェイキンしながらくるっと回る泰子は永遠の23歳、ベルベ
ット地のきらきらサンタコスは、でも網タイツのせいで女王様感がすごいように大河には感じ
られたのだけど、仕事着だからアンバランスな方がいいのかなあ?お客さんのシュミって私じ
ゃいまいち分かんないしと正直に伝える。

「駅前でチラシ配るからぁ。アミアミだとなんか暗くて見えにくいかなぁ☆って」
「あ、逆にもっと目立つ方向なんだね。じゃ、あのペカペカストッキングの方がいいんじゃない?」
「光る生地のやつとスパンコールのやつとぉ……」
「生地の光る方が。あとチークも少し濃い目にした方がいいかも」
「お店に行ってからキツ目だと稲毛さんが突っ込むからねぇ〜でもいっかぁ。イブだしね☆」
「あーそっか。私じゃやっぱどうしたら一番いいか分かんないよ」
「いーのいーの。大河ちゃん若いんだから“すこしキレイに”しとけばいいんだよぉ」
「う、うん」
「ちょっとだけチーク塗ってみよ☆あとカゲをちょいちょいと……」
「え?ええ?」
「アレルギー大丈夫?」
「このくらいなら……」

 サンタコスの泰子に助言していたつもりが、いつの間にやら部屋に引き込まれてメークされ
てる大河はちんまり座りこんで、自分では普段それほど念入りにしないから、なにやら気恥ず
かしいといった顔。
 そうこうしているうちに、台所の竜児が作りたてのシチューと炊きたてご飯を出し始めた。

「え?え?もう夕飯なの?早くない?」
「泰子がもう出かけるんで先にな。かき入れどきだから毎年こうだ」
「ええっ!?聞いてないよそんなのーっ!」
「え?あ……」

 不思議そうな顔で、竜児は大河の顔を見てからしまったと思った。自分のうちでは正月はと
もかくクリスマスは自らに関係のない世間のイベントであって、年末の忙しさの中に埋もれて
いるのが常識だったから。
 でも、今年はそろって静かに過ごしたいと思うのが常識の家族がひとり増えていたのだった。
気を回すのをすっかり忘れていたことに竜児は気づいて、とても申し訳ない気分に襲われてし
まう。高二で知りあってもう3年近いのに、彼女がクリスマスに寄せる思いは聞いていて共感
もしているというのに。それでもいっしょに過ごすのは今年が初めてなのだから無理もないこ
とだが。

「ごめん……言うの忘れてた……じゃねえな、その……もっと早くなんか、気が付けば」
「ん?あ、そか。べべ別に怒ってるわけじゃないから、お仕事ならアレだし、ちょっと考えれば分かる事だし」

 そんなことでどうこう言うほど私もワガママじゃないのよ。……ってえええっ?やっちゃん
シチューをご飯にかけて食べるの?しょっ、醤油かけるのぉぉぉ?

「え?うん。おいしいよ?やっちゃん流のクリームシチューなのでぇっす」
「お前も、食うか?」
「そ、それは後で。てか忙しいけどそれなら先に済まさなきゃ!やっちゃんメリクリ!りゅーじ、メリクリ!」


428 :めりくり ◆0/FKyHtS2M :2011/12/25(日) 00:57:26.28 ID:IpqRe7G40
 大河は鞄から泰子へのプレゼント、畳に置いていた包みを竜児へのプレゼントとして差し出
した。うんありがとう、と泰子はスプーンを置いて押し戴き、自分が用意しておいた大河への
プレゼントを持って来て、めりくり☆と微笑んで渡した。
 開けて開けてと気忙しく大河が急かす。
 パッケージをほどいたら、泰子へのプレゼントはシルクのグローブだった。薄手だから指先
の細かい動きを妨げずに防寒の機能を持つ、本来の素材の良さを実用に活かしたうえで装いの
上品さも備えた手首まで包んでくれるそれは、決して高価ではない代わりに、流行りではない
からどこにでも置いているというモノでもない。
 きっと足を向けて探してくれたのだろうとじんわり嬉しい泰子は、指先のささくれにひっか
けないようさっそく両手にはめて握ぎ握ぎと。

「うわぁ、あったかいよ。柔らかいからお財布の小銭もはめたまんまで探せちゃうぅ☆」
「シルクの手袋やくつしたってほんとは実用的なんだよ。やっちゃん持ってないようだったから」
「ありがとねー、大事に使うよー。やっちゃんのも開けてみて☆」
「うん。……わ、カチューシャのセット?」
「大河ちゃん髪のまとめいつもゴムだからと思って。さっと寄せたりまとめたりはこっちの方が楽だよー」
「そっか、考えた事もなかったよ。こんどどんな風に使うのか教えて?」
「うん、もちろーん。まとめるときの仕草もかわいいんだよん」
「お、俺には」

 こんな高価なもの貰ってもいいのか?大きなつづら……じゃない、包みを開け終えた竜児が
すこし震え声で割って入る。

「び、びたくらふとの高級鍋……憧れの……ではあるけどさ」
「うん。ほんとは圧力なべとどっちにしようか迷ったんだけどね」

 膝立ちでえっへんと。ぷんっと鼻息をひとつ放って大河は得意顔。

「あんたの料理にかける変態的な思いを考えるとね。用途の幅が広い18-8ステンレス多層構造鍋の方がね」
「ありがとうっ大河!これで夢にまで見た無水料理ができるっ」
「その成果を味わうのはもちろん私っ」
「おおっ、そうだとも!うっまいものいろいろ作ってやるからなあっ!!」
「その意気だっ」

 ちなみに多層構造鍋っていうのは、ステンレスの扱いやすさを備えつつ、熱伝導率の飛躍的
改善を達成した製品で、水をほとんど使わずに煮もの蒸しものを作れる性能を備えている。竜
児が言った無水料理とは、主に野菜をそうして加熱することを指していて、熱伝導媒体たる湯
を介して食材の栄養素とおいしさを溶け出ささず損なわずに済むというメリットがあった。お
まけに炎を強火にする必要がないのでエコ!という。

 高価と言っても額でいったら驚くほどでもないのだが、既にひとそろい鍋が揃っている状況
から、高性能だからといって買い替えたり、まだ十二分に使える旧家財を廃棄する事など死ん
でもできないと考えるなら、夢のまた夢と言っても間違いではない。羨ましいなあ、使ってみ
たいなあと日々思ってはいても現状の鍋が使用不能になるまでは決してこうした製品を手に入
れることはあり得ない。つまり、こんな風に貰っちゃう場合を除いては、竜児にとって夢のよ
うな贈り物なのだ。

「びたくらふとの価値が分かるなんてお前は主婦の鑑だ!」
「まあね。栄養士目指してるくらいだし当然よね。まだ主婦じゃないけど」
「さっそく今夜、なにか追加の一品をこれで作るからな!」
「うんっ!あんたは最高の血統の駄犬よ!」
「何言ってんだか全っ然分かんねえっ♪」


429 :めりくり ◆0/FKyHtS2M :2011/12/25(日) 00:58:23.76 ID:IpqRe7G40
 妙なテンションで笑いあう息子と義理の娘(予定)をにこにこ横目に、シチュー掛けごはんお
醤油ぶっかけ丼を食べて、エロサンタ泰子は出勤して行った。冷え込むと伝えられる今夜も指
先が凍えることもなく張り切って仕事ができることだろう。


 残された竜児と大河、見つめあってちょっと家族関係でなしにいい感じに移ろうとしかけた
その矢先、泰子が出かけるのをまるで見透かしていたみたいに、ノックの音がした。

「あ、こんばんは。こんな時分になにか?」
「相変わらず腰が引けてるねえ竜児くん。いやさ竜ちゃん」

 馴れ馴れしいこの声は……と応対に出た竜児の尻を大河がひょいと顔を突き出して見てみれ
ば、それは1階に住む高須家の大家であった。慌ててこたつを出て玄関に向かい、こ、こんば
んはと挨拶。いつぞやに泰子が倒れてるから鍵あけろと狂乱して以来、大河もこのおばあちゃ
んには頭が上がらないでいる。

「おや、奥さんもご無沙汰で」
「ま、まだ籍入れてない……です」
「あ?ああ〜〜そう?いけないねえ、ちょっとボケ始めたかも。毎日楽しそうだからついそう思っちゃって」
「……」
「ああ、やだよう。別にイヤミで言ってるんじゃないからね。早く孫見せてほしいなってね」
「は?まご?」
「ああまあアタシの孫じゃないけどね。あ、違うわ、ひ孫だ」

 大家から見れば泰子が娘の世代に相当するらしい。ちなみにいつ竜児に対する二人称が気易
く“竜ちゃん”に変わったのかは定かではなかった。永遠の謎と言えるが、ふたりが再会した
今年の春からは嫌味を言われることも、箒の柄で天井(高須家から見れば床)を小突かれること
も無いのは事実で、その辺りなのかも。時と場合によっては高二の頃よりうるさいかもしれな
いのに、だもんだから。

「あーそうそう。別にいっしょにクリスマスを祝おうとかそんなんじゃないんだよ。
 今年も田舎から無事に届いたんでね。これ、おすそ分けにねと思って」

 それは毎年貰っている山東菜だった。遠く明治の頃に我が国に伝えられた、中国山東省が原
産の白菜で、きれいに結球しないデカい菜っ葉。市場にも出回るが年末限定だから店ではあま
り見ないレアものだ。普通の白菜よりカロテンなどミネラルの含有量が格段に多いのが特徴で、
味が濃く美味しい。そのためお浸しをはじめ白菜と同様煮もの炒め物蒸し物と万能に用いられ
るがなんと言っても漬物が素晴らしい。
 流通に適したように育種改良されたものもあるが、生産量が今や極端に減ってしまい、こう
して生産農家の縁者を通じて細々と味わわれている冬の味覚のひとつだ。竜児は山東菜の漬物
の葉の部分を海苔の代りに巻いたおにぎりが大好物で、いつか大河にも食わせたいとも思って
いた。その漬物の袋と、生の2〜3株を提げて今年も大家のおばあちゃんが来てくれた。

「浸けるのは大変だからね。無くなったらまたおいで。年寄りの独り暮らしじゃ食べきれない」
「あ、ありがとうございます。いつも。……そうだ、シチュー召し上がりませんか?」
「なぁんかほっとする匂いがすると思ったらシチューかい。もらうよ」

 と言っても、上がり込みゃしないわさ。へっへっへ。おばあちゃんが笑う。
 大河が気を利かせて高校時代に使っていた弁当箱を出してきて、出来たてのクリームシチュ
ーを盛る。耐熱容器だからこのまま温められる。竜児は電子レンジから焼き終わって馴染ませ
中のローストチキンを取り出すと一部を削ぎ、ひとくち大に切り分けて、湯がいておいたブロ
ッコリーにちゅっとマヨネーズ、添えたひと皿をつくり、ラップをかけて、弁当箱とともにコ
ンビニ袋に収める。
 それを渡しながら、

「あり合わせで済みませんが、作りたてですから良かったら」


430 :めりくり ◆0/FKyHtS2M :2011/12/25(日) 00:59:12.42 ID:IpqRe7G40
 お愛想笑い。と言ってもガキンチョの頃からの顔なじみだから別段うざい、というほどでも
ない。小言も言われたが世話も焼かれて、特に泰子とは仲がいい感じだったから。

「ふふぇっ、これはこれは、ありがたいねえ。お世話様。頂きますよ」
「ちょっとチンして、乳くさかったら醤油が合いますからね」
「あいよ。アンタたちも暖かくしな。おいとましますよ」

 外階段をゆっくり降りながら、大家のおばあちゃん。腰は曲がっていても相変わらずカクシ
ャクとしていて、めりくり♪と振り返りもせず片手を上げた。


「ねえ?」
「おう?」
「なんかいいね?1階と2階で同じご馳走食べるのって」
「そうだな。ちょっと早いけど、もうメシにするか?」
「うん。なんか匂いでおなか減って来た」
「じゃ、ちょっと準備するからな。もらった山東菜をさっそくおひたしにしてみる」

 この鍋で、と嬉しそうな竜児。


 かつて大河とは約束したのだった。クリスマスには鶏ドーン!牛ドーン!と。
 その年にはかなえられず、次の年にも叶わず。
 やっと、迎えられたのだ。互いに念を押す事もなく覚えている。

(ん、ま、イーヨ)

 聞いたら、このように応えた大事なペット、インコちゃんの許しも得て、高須家の電子レン
ジのサイズからいって、ごく小さめではあったけど、逆にそれゆえに竜児が苦労して探してき
た丸鶏に香味野菜を詰め、秘伝のタレでローストチキンに。普段より高めの国産牛肉をごろご
ろたっぷり具のメインにした熱々クリームシチューを。もちろんブッシュ・ド・ノエルもどき
な自己流ロールケーキも手作りで、前日のうちに焼いたものが冷蔵庫で冷えている。

 大好きな、大切な大河と過ごす初めてのクリスマス。

 まあ、そこに山東菜のおひたしなんて場違いな一品が加わっても、おいしければいいだろう。

 一枚一枚、丁寧に流水で洗い、ざくに刻んで、キンキンに熱したびたくらふとに水をひと匙、
それは真珠のように丸まって転がり、蓋をされれば中に高温の水蒸気が満たして行く。そこに
葉を素早く投入。すぐ蓋をして。あとは焦げ付かないように大きくタテに揺する。中は見えな
いから勘と音が頼りだ。その間に指図をもらい、大河は容器をぐるぐる回して擦りゴマを小皿
にとる。戸棚からおかかの小袋を取り出し、混ぜ、醤油で和える。
 ん?と深皿を竜児に渡せばタイミングぴったり。大量の湯気とともに蓋が開く。

 粗熱がとれたら、ゴマオカカ醤油の塩気トッピングをのっけて、食べてみろという竜児の促
しにつまんでみれば、しゃっきりとして、甘くて、それは白菜とは全然違う味のコクを感じて
驚いてしまう。こんな野菜、食べた事ない。



431 :めりくり ◆0/FKyHtS2M :2011/12/25(日) 01:00:04.56 ID:IpqRe7G40
「キャンドルを点けたいとこだけど、うち乾燥し切った木造だし、勘弁な?」
「しょーがないわねえ。じゃ、蛍光灯を豆球に、あとテレビで……こんなとこかな?」
「おう、そうだな。ほれ、プレゼント」
「遅っそい!と一応文句付けといて、へへ、ありがと。何かなー?」

 包みが簡素で、やっぱり暖かになるものかなーと予想しつつガサガサと開けてみる。

「……こんな高いもの」
「それがな、同じものなんだけど大して高くなかったんだ」

 シンプルなカシミアのマフラー。但し色違い。

「デフレってすげえなと思った。けどちゃんと調べた。モノは俺のと同じだ。使ってくれよ」
「うん。……でもあんたから見てこの色、合ってる?」
「おう。そう思ったから選んだんだ」
「ふへ♪じゃあ今日からこの色好きになるね」
「うちの中で巻くのかよwまあそのうち暑くなるけどな……さ、冷めないうちにメシにしよう」
「そうね。お?いわゆるスパークリングワインなんか出てくるわけ?」

 へへっとニヤケながら竜児が栓を抜こうとすると、途中からやらせてやらせてと大河が奪っ
てく。おい危ねえだろやめとけ、ちゃんと目だけ防いでおいてよ!顔狙ってんのかよ!うっさ
い胸狙ってるけど私ドジだから逸れるかもしれないでしょっ、ポンッ!コンッ!あてっ!

「あああああっ、こぼれるこぼれるっ」
「とととと!」

 しゅわしゅわとフルーティな香りが広がる中、綺麗に磨いたグラスに注ぎ分けて、ほっと息
をつく。目線を交わしあって、どちらからともなく笑い出した。

「初めてだね、あんたと私で一緒のクリスマス」
「おう。……大好きな、……き綺麗なお前と一緒の……クリスマス」
「はっ?はぁぁっ?恥ずかしいなもうっ。なんなのよ」
「だってお前。化粧してるし。すっげえ綺麗だ」
「そ、そうなの?やっちゃんにちょちょちょいっと塗ってもらっただけなのに」
「こんなに変わるんだ……って。き、緊張するな」
「むー」

 大河は取り上げたワイングラスを卓上に置くと、1分待って!と駈け出した。境の暖簾をバ
ッとかき分けて、洗面所でわっしゃわっしゃ、カオを洗い始める。
 お、おい、大河ぁ?竜児の声掛けも聞こえていないようで、洗顔フォームを凍りそうな冷水
で泡立て、本格的に化粧落とし。慌てて竜児が持ってきたふわふわタオルで水気を拭いとった
後は、あまりの冷たさに塗ってもらったチークよりも鮮やかに朱を差した頬で、でもさっぱり
とした表情になってる。

「あんたが緊張するようなメークはやだ。ぜったい嫌。これでいい?」
「いいも悪いもねえけど。つうか、いいばっかりだけどな」

 緊張しなくて済むように、慣れるように、いずれまた見せてくれよ。竜児はグラスを掲げて
促した。ゆっくり大人になるんだろ?と。


432 :めりくり ◆0/FKyHtS2M :2011/12/25(日) 01:02:18.41 ID:IpqRe7G40
「……そうだね。いずれね。きっき気が向いたら……ね?」
「おう」

 ちんと軽くグラスを合わせて。

「メリークリスマス」
「メリー……クリスマス」


 うおおおおー、皮ぱりぱりーっ。鶏ドーンうまっ!ローストチキンだろ?鶏ドーンが正式名
称だと思ってんのか?なわけないでしょっ、符牒ってやつよ。あ、なんか良い香りがついてる
ね?おう、玉葱とセロリとコリアンダーだ。シチューもおいしっ!おうっ好きなだけおかわり
しろっ。ごっ、ご飯にかけてお醤油でって、やっちゃんがやってたの、おいしいの?

「ふっ、自分で試してみろよ」
「じゃあ、キモそうだけどちょ、ちょっとだけ試して……みようかな」
「小皿にメシ盛って、上から掛けて、ほれ?」
「む?むーん。うん、まんまだとふつうにご飯には合うね……ってよりドリアだわこれ」
「まあそこは予想つくよな。で、そこに醤油だ」
「ふん。うん。ん!ななななにこれっ!」

 旨っまぁーーーーー!!

「牛肉にも醤油はベストマッチングだしな。これって冷や飯にあつあつシチューかけたときも味変わるんだぜ?」
「すっごい!魔法みたい!おいしっ」

 ふーーーっ暑くなってきちゃった。もらったばかりのマフラーをほどいて、大河は愛おしげ
にたたむ。竜児は冷やかしもせず、目を細めてそんな仕草を黙って眺めた。寂しかったり、悲
しかったり。何かに耐えながらイブの夜を迎えることは、きっともうないだろう。

 この聖夜に、ささやかな願いを込めて。




〜おしまい〜


聖夜だからこそえろ回避なへそまがりですんまっせん!
>>423氏にもお邪魔してすみませんでした。待ってるよ♪

433 : ◆SDgyzlIVWY :2011/12/25(日) 01:08:42.33 ID:BOPB5/T/0
GJです

こちらはパソコンの調子が悪すぎるorz 年内にこれたらいいほうかも・・・
期待してた人すんません・・・

434 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/25(日) 02:50:17.23 ID:I8tryNkX0
>>432
クリスマス・プレゼントありがとう。泰子ってテレビ版ではお好み焼き屋じゃなかったっけ、
と思いつつ、読み終わる頃には竜児のシチューに釣られて腹が鳴ってたYo!

>>433
うぉー、パソコン早く治るといいね。

>>421
あれ、俺しなかったかな。21日に見てすぐここに書き込んだから、ネタバレ避けたか。
北村が写真撮ったときの竜児の表情で声出して笑ったよ。

435 :感染症に関するいくつかの注意事項 ◆fDszcniTtk :2011/12/25(日) 10:00:09.29 ID:I8tryNkX0
「大河、知らないのか。
口の中には雑菌がたくさん居るんだ。歯と歯茎の間にできるプラークは食物かすに雑菌が大量増殖しているやつだし、それ以外にも口の中にいつも住んでいる雑菌がたくさんいる。そもそも口の中は体の中でありながら外という難しい場所だ。
口から入って消化器官に至るまで、体の中だが、実際には血管やなんかが露出しているからな。そう言うところに食べ物という異物が流れ込むんだから、体の免疫系統の相当部分が口から始まる消化器官に集中している。
つまり、口の中には考えられないほどたくさんの雑菌が居る上に、薄い粘膜が気づけば血やら体液やらにまじって攻撃的な白血球がどんどん出てくる。そういうところなんだぞ。だから唾液ってのは」

北村、亜美、実乃梨、春田、能登、摩耶、奈々子といった古い友達が久々に集まった高須家のホームパーティー。一同が息を呑む中、竜児は脂汗を流しながら目を血走らせて必死の説得を試みる。だが大河は聞いちゃいやしない。

そして柔らかそうな頬を桜色に染め、見る物をとろかすような微笑みを浮かべながらフライドチキンをはさんだ箸を突き出す。

「はい竜児、あーーーーーーん」

(おしまい)

436 :聖夜の奇跡 ◆SDgyzlIVWY :2011/12/26(月) 00:36:39.33 ID:YS0ZmACi0
 気づいたとき竜児は知らない街にいた。
 しかもなぜかサンタの格好をして。当然クマでもヌーディストでもないきちんとした
サンタの服で背中には袋も背負っている。
 周囲の家からは団欒の声が聞こえてきてるというのに、通りに人気は感じられない。
 訳も分からず辺りを歩いていると、一軒だけ妙な家があることに気がついた。

 その家は窓から明かりが一切消えていて、聖なる夜を祝う声も全く聞こえてこない。
まるでこの世界から取り残されたように。目立ちたくない様子だが、周りの家が明る
い雰囲気に満ちているせいかかえって逆に目立ってしまっている。

 不審者オーラ満々でその家を覗きこむ竜児だが、やがてあることに気がついた。

 ・・・あのクリスマスツリーに飾ってある星って・・

 そう思った瞬間にはもうその家の敷地に入ってしまっていた。

 * * *

 ツリーが見える大きな窓に近づいてよく観察する。
・・・間違いねぇ。なんでこんなところに。
 そう思っていた竜児だが急に聞こえてきた声によって急に思考を中断させられる。

 

「・・・サンタさん?」

 ふと視線を落とすとそこには今よりずっと幼いが、見間違えようがない。

・・・逢坂大河がそこにいた。

「ねえ、サンタさんなんでしょ?そうでしょ?」
 幼い大河は窓の外にいる竜児に興味津津。とてとてと窓辺まで歩いてくると
あっさり鍵を開け竜児を家の中に招き入れた。不用心すぎるだろ、
とはこの雰囲気ではさすがの竜児も言い出すことはできない。
 今も大河は大きな目をさらに輝かせ、竜児のことを見つめてくるのだ。

「ああ、そうだよ」
 実際はサンタでもなんでもないがこんな純真な目で見つめられて
否定できる奴なんかいやしない。現にサンタの「格好」はしてるんだから
全く嘘というわけでもない。

「プレゼントは?」
・・・まあそう来ますよね、普通。

「えーと・・・」
 どうすりゃいいんだよ。子供といっても大河は大河、持ってきてない
なんていった日にはなんて言われるか分かったもんじゃねえしな。
 そう思いつつも一応竜児は袋の中を探ってみる。


437 :聖夜の奇跡 ◆SDgyzlIVWY :2011/12/26(月) 00:38:14.18 ID:YS0ZmACi0
「お!こんなのでどうだ?」
 袋の中から見つけたのはドラゴンをモチーフにした
一見枕のようにも見えるぬいぐるみ。
「・・・可愛くない」
 こいつこんなに小さかったときからこんなだったんか?とは思わない。
実際本当に可愛くないし、おまけに目つきも悪い。非常によろしくない。
「でも・・・ありがと」
 しかしクリスマスの時いい子なのは小さい大河も同じらしい。
まるで宝物をもらったかのように大事そうに胸に抱きかかえて、
そんな無邪気な様子に当然のことながら竜児の胸もなんだか暖かい気持ちになる。

「でも・・・なんでどらごんのぬいぐるみなの?」
 簡単じゃねえかそんなの。でもな、
「大河がもうちょっと大人になったら、誰かが教えてくれるかもしれないな」
 それを言うのはここじゃないんだよ、大河。

 * * *

「もう帰っちゃうの?」
 泣きそうな声でそう言う大河。竜児とて傍にいたいのは山々だが
ずっとそうしているわけにもいかない。大河の親だっていつ帰ってくるか
分からないのだ。
「ごめんな、他の家にもいかなくちゃならないから」
「うん・・じゃあしょうがないよね・・。」
 ごめんな、ともう一回今度は心の中で謝る。
「ねえ・・また来てくれる?」
・・・それは、

「大河がいい子にしていたら、また来るよ。」
 俺はお前の、いやお前だけのサンタだからな。

 そこで竜児の意識は途切れた。

 * * *

「はあ・・・」
 日当たりの悪い高須家の居間。時間は午後5時43分。
竜児はこの日4回目のため息をついていた。
「やっちまった。」
 力なく見下ろすのは炊飯ジャー、分量はきっちり4合半。
どう考えても竜児と泰子の二人が一食で食べるには多すぎる。
 こりゃ明日米は炊かなくてもいいかもな、と思いながら夕飯の準備を再開する。

 逢坂大河と高須竜児が離れ離れになってもうすでに10カ月が過ぎた。
当初はこういうミスもかなり繰り返したが最近ではもう
ほとんど無くなったはずなのに・・・と思いながら時計を見やる。


438 :聖夜の奇跡 ◆SDgyzlIVWY :2011/12/26(月) 00:39:28.62 ID:YS0ZmACi0
 大河は3日おき、午後8時に電話をしてくる。
たしか今日は新しい家族と食事に行くためその予定は急きょ明日へ延期になって、
そのことが竜児の憂鬱にさらに拍手をかける。

 それもこれもあんな夢を見たせいか・・・
俺がサンタで、大河が子供で・・・どう考えても無理あるだろ。

 そして想う。
 あいつはやっぱり今年もエンジェル大河様を演じてるのだろうか、と。

 * * *

「あれ?」
 午後7時、いきなり携帯にメール。
 北村の奴め、今年はクリスマスパーティーには行かないって言ったはずなのに
まだ懲りねえかと思いながら送り主を見て・・・固まる。送信元は「大河」。

 メール内容は、
題名、
大発見!!
内容、
あんたに去年クリスマスに来たサンタさんのこと話したよね?
実はそのサンタさんから貰ったらしいプレゼントが今日見つかったのよ!
ママが家出て行っちゃったときに間違えて持って行ったみたい。
画像、送るね。

添付されていた写真は

「マジかよ・・」

どこかで見たあの全然可愛くない、やたら古そうなドラゴンのぬいぐるみだった。




 以上です。昨日投下できなかった奴です。
 駄作だけど後悔は・・(多分)していない。
 

 ではよい皆さんお年を。

439 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/26(月) 02:27:14.97 ID:crAjlmx20
いいねえ
大河の思い出サンタは陸郎だろうという固定観念を覆されたw
やっぱこども大河は竜児の顔が少しこわかったのだろうか
このときの慣れでリアル初対面では気にならなかったのか
あーいろいろ想像が膨らむな

440 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/26(月) 07:38:10.46 ID:Dv5y2/MR0
>>432
GJ!2人が満たされたクリスマスを過ごせてこっちも幸せだ
あったかいクリスマスをありがとうございます!

>>435
熱弁に何事かとwww見守る一同に加わりたいぜ…

>>438
竜児の想いが見せた幻か、聖夜が叶えた優しい奇跡か…本当に想像が膨らむなぁ
大河はドラゴンのぬいぐるみを抱いて眠るのだろうなとwGJでした!

441 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/27(火) 00:35:23.02 ID:tI6PwrNV0
>>432
料理の記述がやけに具体的だなぁ、私は料理できないからここまで詳しく書けません。
大家さんも丸くなってて、良い感じでした。

>>435
人、それを無駄な抵抗と呼ぶ。さあ覚悟を決めて食べるのだ、狂おしくな!
私も見守る一同に加わりたいものです。

>>438
スピンオフ3に出てくるタイガーぬいぐるみと、思わずセットにしたくなるなぁ。
お前だけのサンタ、良い響きです。

442 : ◆fDszcniTtk :2011/12/27(火) 00:41:27.15 ID:JvbdBAjK0
>>440, 441
感想ありがとう。BD発売記念に即興で書いたんだけど、やっぱり粗が多くて後悔がのこってる。
血管露出してねーYo!

正月開けたら書き直すかも。そのときは生暖かく見守っておくんなまし。

443 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/27(火) 02:20:25.18 ID:IOJDnvd00
>>434
まあ竜児と泰子と高須本家の関係が正常化した意味合いで泰子が昼の仕事にって事ですが
アニメの方ではそこ切り落としてますから
というより水商売で竜児育てたやっちゃんが好きなんですw
>>440
地味〜にしあわせなクリスマスもいいもんだと
>>441
とらドラ!は食べ物がおいしそうなのが魅力で、また食べるところの作画がたまらんw
アニメ4話の鶏からバックンとか、別荘カレーのもぐもぐ具合とか
どっちも同じアニメーターですけどほんと美味しそうで、しかも大河のアップが美人顔っていう
原作の精緻なガラス細工のようなあごのラインっていう記述をちゃんと描写してると思います
新作OVAでも塩辛おにぎりダシ茶漬けシーンを描いてますね

竜児はカレーをスパイス調合で作るくらいだから、シチューも市販のルーは使わないだろうと
オーブンもひとつですし、温かく供するなら鶏か牛どっちかは煮ものだろーとか思いました

大家はまあ、ワケアリ泰子を入居させるくらい親切なばあちゃんだろうと思っていまして
泰子にも竜児にも、後半は大河にも半分保護者的な意識は持ってるんじゃないかな?
それでも他人なので適度な距離保っていたって解釈です。正統的ツンデレですわ。
2階で竜児が泣き喚いた晩はさぞかし心配したことでしょうw


444 : ◆mCyFSpkrFSwI :2011/12/27(火) 20:20:44.10 ID:Cuf7CxuW0
みなさんマジでGJ!

そしてトリップなしの頃の絵もまとめて下さったまとめ人さんに大感謝です!

一応アス比4:3の壁紙サイズにしてみました・・・
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2435392.png

445 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/27(火) 21:42:26.16 ID:xKvhdWB80
おおおおお!
その苺、竜児の口に入ってから爆発しろっ!

マジごちそうさまでした。くそw

446 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/28(水) 23:13:24.47 ID:d11H7wHp0
このあと口に付いたクリームをぺろぺろするんですよね

447 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/12/29(木) 02:07:09.30 ID:gIpbgv1C0
そうです

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